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【令和8年度改定】後方支援の評価が3つ変わる|カンファ緩和・新加算・初期加算見直し
令和8年度診療報酬改定では、在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援(緊急入院等)を担う医療機関の評価が見直されます。高齢者救急の増加と地域包括ケアシステムの推進を背景に、協力医療機関や包括期病棟が後方支援を担う体制と実績をより適切に評価することが、今回の改定の目的です。
見直しの内容は3つあります。第1に、協力医療機関と協力対象施設が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。第2に、200床未満の中小病院が後方支援を担う体制と実績を評価する「包括期充実体制加算」(1日80点)が新設されます。第3に、地域包括ケア病棟の在宅患者支援病床初期加算について、対象患者の拡大と点数のメリハリ化、包括範囲の見直しが行われます。
① カンファレンス頻度の大幅緩和——月1回から年3回へ
協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。現行の頻回なカンファレンス要件が届出の障壁となっていたことを受け、実効性のある連携関係を保ちながら業務効率化を図る見直しです。この見直しは、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算の2つの加算に共通する施設基準の変更です。
ICTによる情報共有を行う場合、カンファレンス頻度は現行の年3回以上から年1回以上に緩和されます。ICTを通じて日常的に情報を共有できている場合、対面等でのカンファレンスは年1回で足りることになります。
ICTによる情報共有を行わない場合、カンファレンス頻度は現行の月1回以上から原則年3回以上に緩和されます。さらに、一定の実績(年2件以上の入院受入れまたは往診)がある場合は、カンファレンスは年1回以上で足りることとされます。
カンファレンスの実施方法についても柔軟化が図られます。入退院支援加算1における連携機関とのカンファレンスと兼ねることが新たに認められ、既存のカンファレンスと統合することで業務負担をさらに軽減できます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】協力医療機関のカンファレンス頻度が大幅緩和|月1回→年3回へ
② 包括期充実体制加算(80点)の新設——200床未満病院の後方支援を評価
在宅医療や介護保険施設の後方支援を充実させるため、包括期入院医療に「包括期充実体制加算」が新設されます。急性期病院一般入院料・急性期一般入院基本料(A100)の病棟を持たない200床未満の中小病院が、地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟で後方支援を担う体制と実績を評価する加算です。
加算の点数は1日につき80点で、入院日から14日間を限度に算定できます。14日間すべて算定した場合、1入院あたり最大1,120点の増収となります。
対象医療機関の要件は3つあります。1つ目は、許可病床数が200床未満(医療資源の少ない地域では280床未満)であることです。2つ目は、救急医療もしくは下り搬送を受け入れる体制を有していることです。3つ目は、A100の病棟を有しない病院であることです。
施設基準は、「病院の規模・病棟構成」「後方支援の体制と実績」「入退院支援加算1の届出」の3つの柱で構成されています。地域に密着した中小病院が後方支援を担う実態を、体制と実績の両面から評価する趣旨で設けられた加算です。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】包括期充実体制加算(80点)を新設|200床未満病院の後方支援評価
③ 地域包括ケア病棟の初期加算等の見直し——3つの変更ポイント
地域包括ケア病棟における在宅医療や協力対象施設の後方支援機能をより高く評価する観点から、初期加算等の見直しが行われます。見直しは、在宅患者支援病床初期加算の対象患者の範囲、点数の評価体系、退院支援に係る包括範囲の3点に及びます。
在宅患者支援病床初期加算①の対象が「救急搬送された患者」から「緊急入院した患者」に拡大されます。この変更により、救急車による搬送以外の緊急入院(在宅療養中の患者の直接来院や介護保険施設からの救急搬送によらない緊急入院など)も、高い点数の対象に含まれます。
点数体系はメリハリのある評価に変わります。介護老人保健施設からの入院では、緊急入院した患者は580点→590点に引き上げられる一方、それ以外の患者は480点→410点に引き下げられます。介護医療院・特別養護老人ホーム・軽費老人ホーム・有料老人ホーム等または自宅からの入院でも同様に、緊急入院した患者は480点→490点に引き上げられ、それ以外の患者は380点→310点に引き下げられます。
退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料が包括範囲から除外されます。これにより、地域包括ケア病棟においてもこれらの指導料(各400点)を別途算定できるようになり、退院支援の取り組みへのインセンティブが強化されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】地域包括ケア病棟の初期加算が変わる|3つの見直しポイントを解説
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、在宅療養患者や介護保険施設等入所者の後方支援を担う医療機関の評価が3つの観点から見直されます。協力医療機関のカンファレンス頻度は月1回から原則年3回に大幅緩和され、届出のハードルが下がります。200床未満の中小病院には包括期充実体制加算(1日80点・14日間)が新設され、後方支援の体制と実績が新たに評価されます。地域包括ケア病棟の初期加算は、対象の拡大・点数のメリハリ化・包括除外の3点で見直され、後方支援機能と退院支援の充実が図られます。これらの改定は、在支病・在支診・後方支援病院や地域包括ケア病棟を有する医療機関にとって、体制整備と届出準備を進めるべき重要な変更です。
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【令和8年度改定】地域包括ケア病棟の初期加算が変わる|3つの見直しポイントを解説
令和8年度診療報酬改定では、地域包括ケア病棟における在宅医療や協力対象施設の後方支援機能をより高く評価する観点から、初期加算等の見直しが行われます。今回の見直しは、在宅患者支援病床初期加算の対象患者の範囲、点数の評価体系、そして退院支援に係る包括範囲の3点に及びます。
見直しの内容は、大きく3つです。第1に、在宅患者支援病床初期加算の①の対象が「救急搬送された患者」から「緊急入院した患者」に拡大されます。第2に、緊急入院した患者の点数が引き上げられる一方、それ以外の患者の点数は引き下げられ、メリハリのある評価体系に変わります。第3に、退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料が包括範囲から除外され、別途算定が可能になります。
在宅患者支援病床初期加算の対象が「緊急入院」に拡大
今回の改定で最も大きな変更は、在宅患者支援病床初期加算の①の対象患者の範囲が広がることです。従来は「救急搬送された患者」または「他の保険医療機関で救急患者連携搬送料(C004-2)を算定し搬送された患者であって、入院初日から当該病棟に入院した患者」に限られていました。改定後は、この要件が「緊急入院した患者」に変更されます。
この変更により、救急車による搬送以外の緊急入院も、高い点数の対象に含まれるようになります。たとえば、在宅療養中の患者が病状の急変により医療機関に直接来院して緊急入院した場合や、介護保険施設から救急搬送によらずに緊急入院した場合も、①の区分で算定できるようになります。地域包括ケア病棟が担う後方支援の実態に即した見直しといえます。
点数はメリハリのある評価体系に変更
点数体系も見直されます。緊急入院した患者には手厚い評価が行われる一方、それ以外の患者の点数は引き下げられます。
介護老人保健施設から入院した患者の場合、緊急入院した患者は590点(現行580点、+10点)、それ以外の患者は410点(現行480点、▲70点)に変更されます。介護医療院、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム等または自宅から入院した患者の場合も同様に、緊急入院した患者は490点(現行480点、+10点)、それ以外の患者は310点(現行380点、▲70点)に変更されます。
この点数設定は、急性期患者支援病床初期加算の評価体系を参考にしたものです。緊急入院を受け入れる際の医療機関の負担をより適切に評価するとともに、後方支援機能の強化を促す狙いがあります。なお、意思決定支援の実施は引き続き算定要件として維持されます。
退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料が包括範囲から除外
3つ目の見直しは、包括範囲の変更です。地域包括ケア病棟入院料の包括範囲から、B005退院時共同指導料2とB005-1-2介護支援等連携指導料が除外されます。
退院時共同指導料2(400点)は、入院中の患者に対して退院後の療養上必要な説明・指導を多職種が共同で行った場合に算定するものです。介護支援等連携指導料(400点)は、入院中の患者に対してケアマネジャー等と連携して退院後の介護サービス等について指導を行った場合に算定するものです。これらが包括範囲から除外されることで、地域包括ケア病棟においても別途算定が可能になります。
この見直しの背景には、地域包括ケア病棟における退院支援の充実を図る意図があります。在宅復帰を促進するためには、退院時の多職種連携やケアマネジャーとの連携が欠かせません。これらの指導料を別途算定可能とすることで、退院支援に係る取り組みへのインセンティブが強化されます。
まとめ
令和8年度診療報酬改定における地域包括ケア病棟の初期加算等の見直しは、後方支援機能の強化と退院支援の充実を目指すものです。在宅患者支援病床初期加算は、対象を「救急搬送」から「緊急入院」に拡大し、緊急入院患者への評価を手厚くする一方で、それ以外の患者の点数を引き下げるメリハリのある体系に変わります。さらに、退院時共同指導料2と介護支援等連携指導料の包括除外により、退院支援の取り組みが促進されます。地域包括ケア病棟を有する医療機関は、これらの変更点を踏まえた体制整備と算定対応が求められます。
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【令和8年度改定】包括期充実体制加算(80点)を新設|200床未満病院の後方支援評価
令和8年度診療報酬改定では、在宅医療や介護保険施設の後方支援を充実させるため、包括期入院医療に新たな加算が設けられました。この加算は、許可病床数200床未満で、救急医療や下り搬送を受け入れる体制を有し、急性期病院一般入院料・急性期一般入院基本料(A100)の病棟を持たない中小病院が対象です。こうした医療機関が地域包括医療病棟または地域包括ケア病棟で後方支援を担う体制と実績を、本加算で評価します。本稿では、この「包括期充実体制加算」の内容を解説します。
包括期充実体制加算の要点は3つあります。第一に、加算の点数は1日につき80点で、入院日から14日間を限度に算定できます。第二に、対象となる医療機関は、許可病床数200床未満かつA100の病棟を有しない病院で、救急医療または下り搬送の受入体制を有する病院に限定されます。第三に、在宅医療や介護保険施設の後方支援について、十分な体制と実績の両方が施設基準として求められます。
加算の概要:1日80点・14日間が上限
包括期充実体制加算は、1日につき80点を算定できる新設の加算です。算定期間は、入院した日から起算して14日間を限度とします。14日間すべて算定した場合、1入院あたり最大1,120点の増収となります。
この加算の対象患者は、地域包括医療病棟入院料または地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料を算定する病室を含む)を算定している患者です。算定要件上、第3節の特定入院料のうち包括期充実体制加算を算定できるものを現に算定している患者に限られる点に注意が必要です。
対象医療機関の要件:200床未満・救急等の受入体制・A100病棟なし
対象医療機関の要件は、病床規模、受入体制、病棟構成の3点で定められています。
病床規模については、許可病床数が200床未満であることが必要です。ただし、基本診療料の施設基準等別表第六の二に掲げる地域(医療資源の少ない地域)に所在する医療機関は、280床未満に緩和されます。
受入体制については、救急医療もしくは下り搬送を受け入れる体制を有していることが求められます。この要件により、本加算は単に病床規模が小さいだけでなく、地域で実際に救急や下り搬送の受け皿として機能している病院を対象としています。
病棟構成については、区分番号A100に掲げる急性期病院一般入院料および急性期一般入院基本料を算定する病棟を有しない病院であることが求められます。なお、ここで除外されるのはA100の病棟に限られ、それ以外の入院料を算定する病棟(特定機能病院の入院基本料など)は対象外とはなりません。
これらの要件は、大規模な急性期病院ではなく、地域に密着した中小病院が後方支援を担う実態を評価する趣旨で設けられています。
施設基準の全体像:体制・実績・入退院支援の3つの柱
施設基準は6つの要件で構成されており、大きく「病院の規模・病棟構成」「後方支援の体制と実績」「入退院支援体制」の3つの柱に整理できます。
「病院の規模・病棟構成」に関する要件は3つあります。1つ目は、許可病床数が200床未満(医療資源の少ない地域では280床未満)の病院であることです。2つ目は、地域包括医療病棟入院料(A304)または地域包括ケア病棟入院料(A308-3)を算定する病棟を有することです。3つ目は、急性期病院一般入院料および急性期一般入院基本料(A100)を算定する病棟を有しないことです。
「後方支援の体制と実績」に関する要件は2つあります。1つ目は、地域において高齢者の救急患者を受け入れ、在宅医療や介護保険施設等の後方支援を担うに十分な体制が整備されていることです。2つ目は、在宅医療や介護保険施設等の後方支援に係る実績を十分に有していることです。
「入退院支援体制」に関する要件は、入退院支援加算1の届出を行っている医療機関であることです。入退院支援加算1は、退院困難な要因を有する患者に対し、入院早期から退院支援を行う体制を評価するものであり、後方支援を担う医療機関に欠かせない機能として位置づけられています。
改定の背景:包括期病棟による後方支援機能の強化
今回の加算新設の背景には、高齢者救急の増加と地域包括ケアシステムの推進があります。個別改定項目の「基本的な考え方」では、高齢者救急、在宅医療および介護保険施設の後方支援を更に充実させる観点から、地域包括医療病棟入院料および地域包括ケア病棟入院料について、これらの体制および一定の実績を持つ医療機関を更に評価するとされています。
こうした後方支援機能を包括期病棟で担う中小病院の役割は、従来の診療報酬体系では十分に評価されていませんでした。包括期充実体制加算は、体制と実績の両面からこの後方支援機能を評価し、地域における包括期入院医療の充実を図るために新設されたものです。
まとめ
包括期充実体制加算は、許可病床数200床未満で救急医療や下り搬送の受入体制を有し、A100の病棟を持たない中小病院を対象に、在宅医療・介護保険施設の後方支援体制と実績を評価する新設の加算です。1日80点を入院から14日間算定でき、施設基準として病院の規模・病棟構成、後方支援の体制と実績、入退院支援加算1の届出が求められます。算定にあたっては、対象となる特定入院料を現に算定している患者であることが条件となります。該当する医療機関は、施設基準の詳細を確認のうえ、届出の準備を進めてください。
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【令和8年度改定】協力医療機関のカンファレンス頻度が大幅緩和|月1回→年3回へ
令和8年度診療報酬改定では、協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。この見直しは、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算の2つの加算に共通する施設基準の変更です。背景には、現行の頻回なカンファレンス実施が医療現場の負担となっており、届出が進まないという課題がありました。今回の改定は、実効性のある連携関係を保ちながら業務効率化を図ることを目的としています。
見直しのポイントは3つあります。第一に、ICTによる情報共有を行う場合のカンファレンス頻度が、現行の年3回以上から年1回以上に緩和されます。第二に、ICTによる情報共有を行わない場合の頻度が、現行の月1回以上から原則年3回以上に緩和されます。第三に、カンファレンスを入退院支援加算1の連携機関とのカンファレンスと兼ねることが可能になります。
改定の背景:頻回なカンファレンスが届出の障壁に
今回の見直しの背景には、現行のカンファレンス要件が医療機関の届出を妨げているという実態があります。
令和6年度診療報酬改定では、介護保険施設等の入所者の病状急変時に備えた後方支援体制を強化するため、協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算が設けられました。これらの加算では、協力医療機関と介護保険施設等が平時から情報共有を行うことが施設基準として求められています。
この施設基準のうち、カンファレンスの頻度要件は、ICTを活用する場合で年3回以上、ICTを活用しない場合で月1回以上と定められていました。しかし、令和6年度改定の結果検証に係る特別調査では、カンファレンスの頻回な実施やICTの整備が困難であるという意見が寄せられ、加算の届出が伸び悩んでいることが明らかになりました。
こうした現場の声を受けて、今回の改定では、実効性のある連携関係を維持しつつ業務効率化を図る観点から、カンファレンス頻度の大幅な緩和が行われます。
変更点①:ICTによる情報共有ありの場合——年3回から年1回へ
ICTを活用して情報共有を行う場合のカンファレンス頻度は、現行の年3回以上から年1回以上に緩和されます。
この要件を満たすには、2つの条件を両方クリアする必要があります。1つ目は、入所者の診療情報と病状急変時の対応方針を、あらかじめ患者の同意を得たうえで介護保険施設等から協力医療機関に提供し、協力医療機関の保険医がICTを活用して常時確認可能な体制を有していることです。2つ目は、介護保険施設等と協力医療機関が、入所者の病状急変時の対応方針等を共有するためのカンファレンスを年1回以上実施することです。
現行では、ICTによる常時確認体制を整備したうえで年3回以上のカンファレンスが必要でした。改定後は、ICTを通じて日常的に情報を共有できている場合、対面等でのカンファレンスは年1回で足りることになります。
変更点②:ICTによる情報共有なしの場合——月1回から原則年3回へ
ICTを活用しない場合のカンファレンス頻度は、現行の月1回以上から原則年3回以上に大幅に緩和されます。
改定後の要件では、介護保険施設等と協力医療機関が、入所者の病状急変時の対応方針等を共有するためのカンファレンスを年3回以上実施することが求められます。さらに、一定の実績がある場合はカンファレンスの頻度がさらに軽減されます。具体的には、協力対象施設入所者入院加算では当該施設から年2件以上の入院を受け入れた場合、介護保険施設等連携往診加算では年2件以上の往診を行った場合に、カンファレンスは年1回以上で足りることとされます。
この実績要件による軽減が認められる場合には、加算ごとに求められる情報共有の条件が異なります。協力対象施設入所者入院加算では、入退院に際して施設職員と入所者の急変時の対応方針および入院依頼時の連絡方法等について適切な情報共有を行うことが条件です。介護保険施設等連携往診加算では、往診に際して施設職員と入所者の急変時の対応方針および往診依頼時の連絡方法等について適切な情報共有を行うことが条件です。
変更点③:カンファレンスの実施方法の柔軟化
カンファレンスの実施方法についても、柔軟な取扱いが新たに規定されます。
ビデオ通話による実施は、現行と同様に引き続き認められます。この点は従来から変更はありません。
入退院支援加算1の連携機関とのカンファレンスとの兼用は、今回新設される規定です。協力対象施設入所者入院加算と介護保険施設等連携往診加算のいずれについても、カンファレンスが入退院支援加算1における連携機関とのカンファレンスを兼ねることが認められます。すでに入退院支援加算1の届出をしている医療機関にとっては、既存のカンファレンスと統合することで、業務負担をさらに軽減できます。
対象となる2つの加算の整理
今回の見直しは、以下の2つの加算の施設基準に共通して適用されます。
協力対象施設入所者入院加算は、介護保険施設等の入所者が病状急変で入院が必要となった際、協力医療機関が入院を受け入れた場合に入院初日に算定する加算です。往診が行われた場合は600点、それ以外の場合は200点が算定されます。
介護保険施設等連携往診加算は、介護保険施設等の入所者が病状急変した際、協力医療機関の医師が往診を行った場合に算定する加算です。200点が算定されます。
いずれの加算も、対象となる医療機関は在宅療養支援病院、在宅療養支援診療所、在宅療養後方支援病院、および地域包括ケア病棟入院料の届出を行っている病棟・病室を有する病院です。
まとめ
令和8年度診療報酬改定により、協力医療機関と介護保険施設等が行うカンファレンスの頻度要件が大幅に緩和されます。ICTによる情報共有を行う場合は年3回以上から年1回以上に、ICTによる情報共有を行わない場合は月1回以上から原則年3回以上に変更されます。加えて、入退院支援加算1のカンファレンスとの兼用も認められ、業務効率化が図られます。協力対象施設入所者入院加算や介護保険施設等連携往診加算の届出を検討している医療機関にとっては、施設基準のハードルが下がる重要な改定です。
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【令和8年度改定】入院医療の評価を総まとめ|全21項目の改定ポイントを一覧解説
令和8年度診療報酬改定の個別改定項目「Ⅱ-1 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価」では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携を推進するため、入院医療に関する合計21の項目が見直されます。この記事では、「Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備」の18項目と「Ⅱ-1-2 人口の少ない地域の実情を踏まえた評価」の3項目について、全体像をまとめます。
21項目に共通するのは、病院の機能・実績と地域の実情に応じた評価の強化です。Ⅱ-1-1の18項目では、急性期入院医療の入院基本料新設、高度急性期の区分簡素化と実績要件の導入、地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設における患者状態の適切な反映、DPC/PDPSの精緻化などが実施されます。Ⅱ-1-2の3項目では、医療資源の少ない地域の対象拡大、外来・在宅診療を支援する病院への新加算、歯科巡回診療の新評価が導入されます。
Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備(18項目)
Ⅱ-1-1では、入院医療の評価体系が大幅に見直されます。18項目は、急性期入院医療(①〜④)、高度急性期入院医療(⑤〜⑧)、地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設(⑨〜⑫)、看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPS(⑬〜⑮)、短期滞在手術・地域加算・名称変更(⑯〜⑱)の5グループに分かれます。
①〜④ 急性期入院医療の見直し
急性期入院医療では、救急搬送件数や手術件数の実績を施設基準に組み込んだ評価の強化が行われます。①急性期病院一般入院基本料等がA・Bの2区分で新設され、②重症度、医療・看護必要度にはA/C項目の追加と救急患者応需係数が導入されます。③急性期総合体制加算は総合入院体制加算と急性期充実体制加算の統合により5区分に再編され、④特定機能病院入院基本料はA・B・Cの3区分に分かれます。
⑤〜⑧ 高度急性期入院医療の見直し
高度急性期入院医療では、ICU・HCU・SCUの3つの管理料に実績要件が新設され、ICUと救命救急入院料では区分が簡素化されます。⑤特定集中治療室管理料は6区分から3区分に簡素化され、実績要件が新設されます。⑥ハイケアユニット入院医療管理料は実績要件の新設と点数の引き上げが実施されます。⑦救命救急入院料は4区分から2区分に統合されます。⑧脳卒中ケアユニット入院医療管理料には超急性期治療に関する実績要件が追加されます。
⑨〜⑫ 地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設の見直し
地域包括医療病棟から障害者施設等入院基本料まで、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映させる見直しが行われます。⑨地域包括医療病棟は手術・緊急入院の有無で3区分に再編され、⑩回復期リハビリテーション病棟には強化体制加算の新設や実績指数の基準新設など9つの変更が実施されます。⑪療養病棟は医療区分2・3の内容が見直され、⑫障害者施設等では廃用症候群の評価が療養病棟に準じた体系に変更されます。
⑬〜⑮ 看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSの見直し
看護体制の強化、高額薬剤への対応、包括払い制度の精緻化が実施されます。⑬障害者施設等入院基本料の看護補助加算は算定可能期間が入院31日目以降に拡大されます。⑭除外薬剤には生物学的製剤とJAK阻害薬が全入院料共通で追加されます。⑮DPC/PDPSでは標準病院群の細分化や機能評価係数Ⅱの算出方法の変更などが行われます。
⑯〜⑱ 短期滞在手術・地域加算・名称変更
手術の外来移行促進、地域手当の再編、加算名称の明確化が実施されます。⑯短期滞在手術等基本料は外来実施率が高い手術の点数差縮小と入院手術対応加算の新設が行われます。⑰地域加算は級地区分が7段階から5段階に再編されます。⑱看護補助体制充実加算は「看護補助・患者ケア体制充実加算」に改称されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】入院医療の全18項目を総整理|Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備を完全網羅
Ⅱ-1-2 人口の少ない地域の実情を踏まえた評価(3項目)
Ⅱ-1-2では、人口規模が小さい二次医療圏における診療所数の減少や医師の高齢化を踏まえ、3つの評価が見直し・新設されます。医療資源の少ない地域の対象拡大、外来・在宅診療を支援する病院への新加算の新設、歯科巡回診療の新評価が主な内容です。
① 医療資源の少ない地域の対象地域の見直し
対象地域は、令和5年医療施設静態調査等の最新データに基づき37医療圏から39医療圏へ拡大されます。32医療圏が引き続き該当し、7医療圏が新たに追加され、5医療圏が除外されます。除外された医療圏で既に届出を行っている医療機関に対しては、経過措置が従来の2年間から約6年間へ延長されます。
② 医療提供機能連携確保加算の新設
地域の外来・在宅診療を支援しながら緊急入院の受入体制を確保する医療機関を評価する「医療提供機能連携確保加算」が新設されました。入院初日に算定する600点の加算と、情報通信機器を用いた医学管理を行った場合に月1回算定できる50点の上乗せ加算で構成されます。対象地域は、人口20万人未満かつ人口密度200人/km²未満の二次医療圏および離島等の地域です。
③ 歯科巡回診療の新評価
歯科医療が十分に提供されていない地域での巡回診療に対して、2つの評価が新設されました。第一に、初診料・再診料に加算できる「地域歯科医療加算」100点が新設されます。第二に、巡回診療時の処置・手術・歯冠修復及び欠損補綴に対する所定点数の30%加算が新設されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】人口の少ない地域の実情を踏まえた評価|3つの改定項目を総まとめ
まとめ
令和8年度改定の「Ⅱ-1 患者の状態及び必要と考えられる医療機能に応じた入院医療の評価」では、合計21項目が見直されます。Ⅱ-1-1の18項目では、急性期入院医療の入院基本料新設と加算統合、高度急性期の区分簡素化と実績要件導入、地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設における患者状態の適切な反映、DPC/PDPSの精緻化、短期滞在手術の見直しと地域加算の再編が実施されます。Ⅱ-1-2の3項目では、医療資源の少ない地域の対象が39医療圏へ拡大され、医療提供機能連携確
【令和8年度改定】人口の少ない地域の実情を踏まえた評価|3つの改定項目を総まとめ
人口規模が小さい二次医療圏では、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあり、従事する医師の高齢化も進んでいます。こうした状況を踏まえ、令和8年度診療報酬改定では、人口の少ない地域の実情に配慮した3つの評価の見直し・新設が行われました。
3つの改定項目の概要は、以下のとおりです。第一に、医療資源の少ない地域の対象地域が37医療圏から39医療圏へ拡大され、経過措置も約6年間に延長されます。第二に、地域の外来・在宅診療を支援しながら緊急入院の受入体制を確保する医療機関を評価する「医療提供機能連携確保加算」(入院初日600点・月50点)が新設されます。第三に、歯科巡回診療に対する「地域歯科医療加算」100点と処置等の30%加算が新設されます。
① 医療資源の少ない地域の対象地域の見直し
医療資源の少ない地域の対象地域は、令和5年医療施設静態調査等の最新データに基づき見直されます。対象地域は令和6年度改定時の37医療圏から39医療圏へ拡大されます。
今回の見直しでは、32医療圏が引き続き該当し、7医療圏が新たに追加され、5医療圏が除外されます。新たに追加されるのは、北海道富良野・紋別、岩手県二戸、埼玉県秩父、三重県東紀州、島根県大田、岡山県真庭の7医療圏です。除外されるのは、北海道南檜山、岩手県宮古、長野県木曽・大北、滋賀県湖北の5医療圏です。
対象地域から除外された医療圏で、すでに届出を行っている医療機関に対しては、経過措置が従来の2年間から約6年間へ延長されます。この延長は、医療資源の少ない地域に配慮した施設基準等による届出を行っている医療機関の運営の安定性を担保する目的で実施されます。
▶ 詳細はこちら:【令和8年度改定】医療資源の少ない地域が37→39医療圏へ拡大|新規7圏・除外5圏の全容
② 人口の少ない地域で医療を提供する機能を連携して確保する評価の新設
人口の少ない地域における外来・在宅医療の提供体制の維持が困難になっている課題に対応するため、「医療提供機能連携確保加算」が新設されました。この加算は、地域の外来・在宅診療を支援しながら緊急入院の受入体制を確保する医療機関を評価するものです。
医療提供機能連携確保加算は、入院初日に算定する600点の加算と、情報通信機器を用いた医学管理を行った場合に月1回算定できる50点の上乗せ加算で構成されます。対象地域は、人口20万人未満かつ人口密度200人/km²未満の二次医療圏および離島等の地域です。
施設基準では、病棟要件に加えて、外来・在宅診療支援の実績要件と緊急入院の受入実績要件の3つを満たす必要があります。外来・在宅診療支援の実績要件では、常勤医師の派遣、代替医師の臨時派遣、巡回診療、情報通信機器を用いた診療の4項目のうち2つ以上を同一の二次医療圏内で満たすことが求められます。
▶ 詳細はこちら:【令和8年度改定】医療提供機能連携確保加算(600点・50点)の新設を徹底解説
③ 歯科巡回診療に係る適切な推進
歯科医療が十分に提供されていない地域では、歯科巡回診療車を用いた巡回診療が行われています。これまで巡回診療に対する診療報酬上の評価はありませんでしたが、令和8年度改定で2つの評価が新設されました。
第一の評価は、初診料・再診料に加算できる「地域歯科医療加算」100点です。この加算は、歯科巡回診療車の中で歯科診療を実施した場合に算定できます。算定にあたっては、保険医療機関が自治体等と連携し、巡回診療実施計画を提出する必要があります。
第二の評価は、巡回診療時の処置・手術・歯冠修復及び欠損補綴に対する所定点数の30%加算です。地域歯科医療加算を算定した患者に対して巡回診療時に処置等を行った場合に算定できます。ただし、処置の通則第5号に掲げる加算との併算定はできません。
▶ 詳細はこちら:【令和8年度改定】歯科巡回診療の新評価「地域歯科医療加算」100点を新設
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、人口の少ない地域の実情を踏まえた3つの評価が見直し・新設されました。医療資源の少ない地域の対象地域は37医療圏から39医療圏へ拡大され、経過措置も約6年間に延長されます。医療提供機能連携確保加算(入院初日600点・月50点)は、地域の外来・在宅診療を支援しながら緊急入院を受け入れる医療機関を新たに評価します。地域歯科医療加算100点と処置等の30%加算は、自治体と連携した歯科巡回診療を推進します。該当する地域の医療機関は、対象地域の確認と届出の検討を進めてください。
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【令和8年度改定】歯科巡回診療の新評価「地域歯科医療加算」100点を新設
歯科医療が十分に提供されていない地域では、歯科巡回診療車を用いた巡回診療が行われています。しかし、これまで巡回診療に対する診療報酬上の評価はありませんでした。令和8年度診療報酬改定では、自治体と連携した歯科巡回診療を適切に推進するため、新たな評価が設けられました。
今回の改定では、歯科巡回診療に関して2つの評価が新設されました。第一に、初診料・再診料に「地域歯科医療加算」100点が新設されました。第二に、巡回診療時の処置・手術・歯冠修復及び欠損補綴に対して、所定点数の30%に相当する加算が新設されました。本記事では、これら2つの新設評価について、算定要件と留意事項を解説します。
地域歯科医療加算100点の新設
地域歯科医療加算は、歯科巡回診療車を用いた巡回診療を行った場合に、初診料・再診料に100点を加算できる新たな評価です。
この加算の対象となるのは、巡回診療によらなければ歯科医療の確保が困難な地域、または専門歯科医療機関が身近にない地域に居住する患者です。対象となる患者に対して、歯科ユニット等を搭載した歯科巡回診療車の中で歯科診療を実施した場合に算定できます。
算定にあたっては、保険医療機関が自治体等と連携し、巡回診療実施計画を提出する必要があります。この「自治体等との連携」が、本加算の重要な要件です。
自治体連携の3つの要件
自治体等との連携は、次の3つのいずれかに該当する必要があります。
第一の要件は、自治体等が設置している保険医療機関が歯科巡回診療車を所有していることです(イに該当)。自治体立の医療機関が巡回診療車を保有しているケースが、この要件にあたります。
第二の要件は、都道府県の定める医療計画等の自治体の計画に基づく巡回診療であることです(ロに該当)。都道府県が医療計画の中で位置づけた巡回診療が、この要件にあたります。
第三の要件は、上記イまたはロに準ずるものです(ハに該当)。イ・ロには直接該当しないものの、実質的に自治体と連携した巡回診療と認められるケースが、この要件にあたります。
これら3つの要件のうち、いずれに該当するかを診療録と診療報酬明細書(レセプト)の摘要欄に記載する必要があります。
巡回診療時の処置等に対する30%加算の新設
地域歯科医療加算を算定した患者に対して巡回診療時に処置等を行った場合、所定点数の30%に相当する点数が加算されます。
この30%加算の対象となるのは、処置、手術、歯冠修復及び欠損補綴の各通則です。いずれも、地域歯科医療加算を算定した患者に対して巡回診療時に実施した場合に算定できます。
ただし、処置の通則第5号に掲げる加算を算定する場合は、この30%加算は算定できません。両者は併算定ができない点に注意が必要です。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、歯科巡回診療に対する2つの評価が新設されました。初診料・再診料への「地域歯科医療加算」100点と、処置・手術・補綴に対する所定点数の30%加算です。いずれも自治体等との連携が前提であり、巡回診療実施計画の提出やレセプト摘要欄への連携区分の記載が求められます。歯科医療が十分に提供されていない地域での歯科診療を推進するうえで、今回の改定は重要な一歩といえます。
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【令和8年度改定】医療提供機能連携確保加算(600点・50点)の新設を徹底解説
人口の少ない地域では、診療所の減少と医師の高齢化が進み、外来・在宅医療の提供体制の維持が困難になっています。こうした課題に対応するため、令和8年度診療報酬改定では、地域の外来・在宅診療を支援しながら緊急入院の受入体制を確保する医療機関を評価する「医療提供機能連携確保加算」が新設されました。
医療提供機能連携確保加算は、入院初日に算定する600点の加算と、同加算の施設基準を満たす医療機関が入院患者に情報通信機器を用いた医学管理を行った場合に月1回算定できる50点の上乗せ加算で構成されます。この加算の対象地域は、人口20万人未満かつ人口密度200人/km²未満の二次医療圏および離島等の地域です。施設基準では、医師派遣や巡回診療などの外来・在宅診療支援の実績と、緊急入院患者の受入実績の両方が求められます。本稿では、対象地域、施設基準、算定要件の3つのポイントから、この新加算の全体像を解説します。
新設の背景:人口の少ない地域で深刻化する医療提供体制の課題
医療提供機能連携確保加算が新設された背景には、人口の少ない地域における医療提供体制の危機があります。ここでは、外来医療の現状と、それを支える連携の仕組みについて説明します。
人口規模が小さい二次医療圏では、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあります。従事する医師の高齢化も進んでおり、地域の外来診療を維持することが難しくなっています。実際に、ヒアリング調査では「隣接自治体の診療所で診療できる医師がいなくなり、近隣病院が新たに医師派遣を担うことになった」「派遣元の病院にとって派遣先が増え、派遣回数を減らしたいとの要望があった」といった切実な声が寄せられています。
こうした地域では、へき地医療拠点病院や近隣の病院が中心となり、医師派遣、代診医派遣、巡回診療の「主要3事業」と情報通信技術を活用した遠隔医療を組み合わせて外来医療を支えています。この支援体制を診療報酬上で評価し、持続可能なものとするために、医療提供機能連携確保加算が創設されました。
加算の概要:入院初日600点と情報通信機器活用の月50点
医療提供機能連携確保加算は、入院医療に関する2つの点数で構成されます。1つ目が入院初日の加算、2つ目が1つ目の施設基準を満たす医療機関がさらに情報通信機器を活用した場合の上乗せ加算です。
1つ目は、入院初日に算定する600点の加算です。この加算は、施設基準を満たす医療機関に入院している患者について、入院初日に限り所定点数に加算します。対象となる患者は、入院基本料(特別入院基本料等を除く)または特定入院料のうち、医療提供機能連携確保加算を算定できるものを現に算定している患者です。
2つ目は、上記600点の施設基準を満たす医療機関が、入院患者に対して情報通信機器を用いた医学管理を行った場合に、月1回に限り50点をさらに加算するものです。具体的には、医学管理等(特掲診療料第1部第1節)に掲げる医学管理を情報通信機器を用いて実施した場合に算定できます。
対象地域:人口20万人未満・人口密度200人/km²未満の二次医療圏と離島等
医療提供機能連携確保加算の対象地域は、人口と人口密度の2つの基準で定められています。具体的には、人口20万人未満かつ人口密度200人/km²未満の二次医療圏および離島等の地域が対象です。
対象となる二次医療圏は、北海道から沖縄県まで全国に広がっています。北海道では南檜山、北渡島檜山、後志、南空知など多数の医療圏が該当します。東北では青森県の西北五地域・上十三地域・下北地域、岩手県の胆江・両磐・気仙・釜石・宮古・久慈・二戸などが含まれます。関東では埼玉県秩父、東京都島しょが該当し、中部では新潟県の魚沼・佐渡、長野県の上伊那・飯伊・木曽・大北・北信などが対象です。九州・沖縄では、長崎県の五島・上五島・壱岐・対馬、鹿児島県の熊毛・奄美、沖縄県の北部・八重山など、離島を多く含む地域が含まれています。
これらの二次医療圏に加えて、離島振興法に基づく離島振興対策実施地域、奄美群島振興開発特別措置法に規定する奄美群島の地域、小笠原諸島振興開発特別措置法に規定する小笠原諸島の地域、沖縄振興特別措置法に規定する離島の地域も対象に含まれます。
施設基準:届出に必要な3つの要件
医療提供機能連携確保加算の届出には、病棟要件、外来・在宅診療支援の実績要件、緊急入院の受入実績要件の3つを満たす必要があります。
病棟要件
施設基準の第1の要件は、対象となる病棟の届出です。一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料、専門病院入院基本料、地域包括医療病棟入院料、または地域包括ケア病棟入院料に係る届出を行っている病棟を有することが求められます。
外来・在宅診療支援の実績要件
第2の要件は、対象地域における外来・在宅診療体制の確保に係る実績です。以下の4つの項目のうち、2つ以上を同一の二次医療圏内で満たす必要があります。
ア 常勤医師の派遣による診療の実績として、対象地域に所在する他の医療機関に常勤医師を派遣して診療を実施した日数の合計が、直近1年間に40日以上であること。
イ 代替医師の臨時派遣の実績として、対象地域に所在する他の医療機関に対し、医師の休暇時等における代替医師を臨時に派遣して診療を実施した日数の合計が、直近1年間に4日以上であること。
ウ 巡回診療の実績として、対象地域において巡回診療を実施した日数の合計が、直近1年間に20日以上であること。
エ 情報通信機器を用いた診療の実績として、対象地域に居住する患者に対して情報通信機器を用いた診療を実施した日数の合計が、直近1年間に40日以上であること。
緊急入院の受入実績要件
第3の要件は、緊急入院患者の受入実績です。上記のア・イに定める他の医療機関から紹介を受けた患者、またはウ・エによる診療を受けた日から3か月以内の患者であって、病状の急変等により緊急で入院が必要となった者の受入れを、当該年度において3件以上実施していることが求められます。さらに、「救急医療対策事業実施要綱」に規定する第二次救急医療機関または第三次救急医療機関であることも必要です。
離島加算の引き上げ:18点から25点へ
医療提供機能連携確保加算の新設に加えて、離島における入院医療の応需体制をさらに推進する観点から、離島加算の評価も引き上げられました。
離島加算は、従来の18点から25点に引き上げられます。この引き上げにより、離島で入院医療を提供する医療機関の経営基盤の安定化が図られ、離島における入院医療の継続的な提供が支援されます。
【令和8年度改定】医療資源の少ない地域が37→39医療圏へ拡大|新規7圏・除外5圏の全容
令和8年度診療報酬改定では、「医療資源の少ない地域」の対象地域が見直されます。この見直しは、令和5年医療施設静態調査等の最新データに基づき、医療資源の少ない地域に配慮した評価を適切に行う目的で実施されるものです。対象地域の変更は、施設基準の緩和措置を受けられるかどうかに直結するため、該当地域の医療機関は確認が必要です。
今回の見直しにより、対象地域は令和6年度改定時の37医療圏から39医療圏へ拡大されます。具体的には、北海道富良野や埼玉県秩父など7医療圏が新たに追加される一方、北海道南檜山や長野県木曽など5医療圏が除外されます。対象地域から除外された医療圏で、すでに届出を行っている医療機関に対しては、経過措置が従来の2年間から約6年間へ延長されます。
見直しの背景と選定基準
今回の見直しの背景には、人口減少地域における医療提供体制の変化があります。人口規模が小さい二次医療圏では、2012年から2022年にかけて診療所数が減少傾向にあり、従事する医師の高齢化も進んでいます。こうした状況を最新の統計で正確に把握し、対象地域を適切に設定し直す必要が生じました。
「医療資源の少ない地域」の選定には、2つの基準が用いられます。1つ目は、医療従事者の確保が困難な地域であることです。具体的には、「人口当たり医師数が下位1/2」かつ「人口当たり看護師数が下位1/2」の要件を満たす必要があります。2つ目は、医療機関が少ない地域であることです。こちらは、「病院密度が下位15%」または「病床密度が下位15%」のいずれかを満たす必要があります。この2つの基準を両方満たす二次医療圏が、対象地域として指定されます。
これらの基準に加え、離島振興法等の特別法で指定された離島地域も対象に含まれます。具体的には、離島振興対策実施地域、奄美群島、小笠原諸島、沖縄の離島が該当します。
対象地域の変更内容:新規追加7医療圏と除外5医療圏
令和8年度改定では、令和6年度の37医療圏のうち32医療圏が引き続き該当し、7医療圏が新たに追加され、5医療圏が除外されます。その結果、対象地域は合計39医療圏となります。
新たに追加される7医療圏は、以下のとおりです。北海道からは、富良野(富良野市、上富良野町、中富良野町、南富良野町、占冠村)と紋別(紋別市、佐呂間町、遠軽町、湧別町、滝上町、興部町、西興部村、雄武町)の2圏が追加されます。東北からは、岩手県二戸(二戸市、軽米町、九戸村、一戸町)が追加されます。関東からは、埼玉県秩父(秩父市、横瀬町、皆野町、長瀞町、小鹿野町)が追加されます。中部・近畿からは、三重県の東紀州(尾鷲市、熊野市、紀北町、御浜町、紀宝町)が追加されます。中国からは、島根県大田(大田市、川本町、美郷町、邑南町)と岡山県真庭(真庭市、新庄村)の2圏が追加されます。
一方、除外される5医療圏は、以下のとおりです。北海道南檜山(江差町、上ノ国町、厚沢部町、乙部町、奥尻町)、岩手県宮古(宮古市、山田町、岩泉町、田野畑村)、長野県木曽(木曽郡)、長野県大北(大町市、北安曇野郡)、滋賀県湖北(長浜市、米原市)の5圏です。これらの地域は、直近の統計で選定基準を満たさなくなったため除外されます。
対象地域に指定されることで受けられる施設基準の緩和
医療資源の少ない地域に指定された医療機関は、通常とは異なる緩和された施設基準で届出を行うことができます。この仕組みは、医療従事者の確保が困難な地域でも必要な医療を提供できるように設けられたものです。
緩和の内容は、大きく2つに分かれます。1つ目は、施設基準における人員配置要件の緩和です。たとえば、入退院支援加算では、常勤の看護師・社会福祉士に代えて、非常勤の複数人配置でも要件を満たすことができます。2つ目は、病棟機能の混合を認める措置です。医療機関が少なく機能分化が困難な地域では、1つの病棟で複数の機能を担うことが認められています。
経過措置の延長:除外地域の医療機関への配慮
対象地域から除外された医療機関に対しては、経過措置が設けられます。従来、この経過措置の期間は2年間でしたが、今回の改定では大幅に延長されます。延長の目的は、医療資源の少ない地域に配慮した施設基準等による届出を行っている医療機関の運営の安定性を担保することです。
経過措置の具体的な内容は、改定の時期に応じて2つに分かれます。1つ目は、令和6年3月31日時点で、令和6年度改定前の対象地域に存在し、医療資源の少ない地域の評価に係る届出を行っていた医療機関です。この医療機関は、令和12年5月31日まで従前の届出が有効となります。2つ目は、令和8年3月31日時点で、令和8年度改定前の対象地域に存在し、同様の届出を行っていた医療機関です。この医療機関は、令和14年5月31日まで従前の届出が有効となります。いずれも、従来の2年間から約6年間へと大幅に延長されたことになります。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、医療資源の少ない地域の対象地域が37医療圏から39医療圏へ拡大されます。北海道富良野・紋別、埼玉県秩父など7医療圏が新たに追加される一方、北海道南檜山、長野県木曽・大北など5医療圏が除外されます。除外地域で既に届出を行っている医療機関に対しては、運営の安定性を担保するため、経過措置が従来の2年間から約6年間に延長されます。該当する地域の医療機関は、自院が対象地域に含まれるかを確認し、届出の見直しを検討してください。
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【令和8年度改定】入院医療の全18項目を総整理|Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備を完全網羅
令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携を推進するため、入院医療の評価体系が大幅に見直されます。個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」には18の項目が含まれます。この記事では、18項目の全体像を5つのグループに分けて解説します。
18項目に共通するのは、病院の機能と実績に応じた評価の強化です。急性期入院医療では、救急搬送件数や手術件数の実績が入院基本料や管理料の施設基準に組み込まれます。高度急性期の管理料は区分が簡素化され、実績要件が新設されます。地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設の各病棟では、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映する評価に改められます。看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSでは、看護体制の強化、高額薬剤への対応、包括払いの精緻化が行われます。短期滞在手術・地域加算・看護補助者の名称変更では、手術の外来移行促進や地域手当の再編が実施されます。
①〜④ 急性期入院医療の4つの見直し
急性期入院医療では、入院基本料の新設、看護必要度の見直し、加算の統合、特定機能病院の区分再編の4つが実施されます。いずれも、病院の機能に着目した評価を強化する内容です。
① 急性期病院一般入院基本料等の新設では、救急搬送件数や全身麻酔手術件数の実績を施設基準に組み込んだ新たな入院基本料がA・Bの2区分で新設されます。急性期病院Aは1日につき1,930点(7対1、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上)、急性期病院Bは1日につき1,643点(10対1、4つの選択肢から1つを充足)です。
② 重症度、医療・看護必要度の見直しでは、A/C項目の対象治療等の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定の柔軟化の3点が改定されます。救急患者応需係数は、病床あたり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数(上限10%)を基準該当割合に加算する仕組みです。
③ 急性期総合体制加算の新設では、総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、5区分に再編されます。加算1は14日間合計5,500点で、最も高い総合性と集積性が求められます。加算5は人口20万人未満の地域への配慮を目的とした新設区分です。
④ 特定機能病院入院基本料の見直しでは、全88病院に適用されていた一律の評価がA・B・Cの3区分に再編されます。7対1の点数はAが2,146点、Bが2,136点、Cが2,016点です。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】急性期入院医療の4つの見直し|入院基本料・必要度・加算・特定機能病院を総整理
⑤〜⑧ 高度急性期入院医療(ICU・HCU・救命救急・SCU)の見直し
高度急性期入院医療では、4つの管理料に共通して「実績に応じた評価」が導入されます。区分の簡素化と実績要件の新設が主な改定内容です。
⑤ 特定集中治療室管理料の見直しでは、広範囲熱傷の区分統合により6区分から3区分に簡素化されます。管理料1には救急搬送件数年間1,000件以上、全身麻酔手術件数年間1,000件以上、小児関連病床5割以上の病院では全身麻酔手術年間500件以上、のいずれかを満たす実績要件が新設されます。広範囲熱傷への対応は「広範囲熱傷管理加算」(200点)として独立します。重症度、医療・看護必要度には「蘇生術の施行」等3項目が追加され、SOFAスコアの患者割合要件は1割から2割に引き上げられます。
⑥ ハイケアユニット入院医療管理料の見直しでは、実績要件の新設、重症度・医療看護必要度の見直し、点数引き上げの3つが実施されます。HCU管理料1は6,889点から7,202点に、管理料2は4,250点から4,501点にそれぞれ引き上げられます。実績要件を満たせない既存届出治療室には、注5による救済措置(4,401点)が新設されました。
⑦ 救命救急入院料の見直しでは、4区分から2区分に統合されます。広範囲熱傷の区分(入院料3・4)は廃止され、「広範囲熱傷管理加算」に移行します。番号体系も再編され、現行の入院料2(2対1看護)が新しい「入院料1」に、現行の入院料1(4対1看護)が新しい「入院料2」になります。
⑧ 脳卒中ケアユニット入院医療管理料の見直しでは、超急性期治療に関する実績要件が新設されます。「超急性期脳卒中加算」と「経皮的脳血栓回収術」の合計が年間20回以上であることが施設基準に追加されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】ICU・HCU・救命救急・SCUはこう変わる|区分統合・実績要件・点数を一覧解説
⑨〜⑫ 地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設の見直し
地域包括医療病棟、回復期リハビリテーション病棟、療養病棟、障害者施設等入院基本料の4項目では、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映させる見直しが行われます。
⑨ 地域包括医療病棟の見直しでは、入院料が手術・緊急入院の有無で3区分(イ・ロ・ハ)に再編されます。入院料1(急性期病棟を併設しない医療機関向け)と入院料2に分かれ、最高点は入院料1・イの3,367点です。85歳以上の患者割合に応じた平均在院日数の緩和も導入されます。
⑩ 回復期リハビリテーション病棟入院料等の見直しでは、9つの変更が行われます。入院料1を対象とした「回復期リハビリテーション強化体制加算」(80点/日)の新設、入院料2・4への実績指数32以上の基準新設、全日のリハビリテーション提供体制の基本要件化が主な内容です。全入院料で点数が引き上げられ、入院料1は2,229点から2,346点になります。
⑪ 療養病棟入院基本料の見直しでは、医療区分2・3の内容が見直されます。感染症処置と他の処置の併施時に医療区分3として評価されるほか、末期
【令和8年度改定】入院医療の提供体制整備|短期滞在手術・地域加算・看護補助者の3項目を解説
令和8年度診療報酬改定の個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」では、入院医療の評価体系に関する複数の見直しが行われます。本稿では、このうち⑯短期滞在手術等基本料の見直し、⑰地域加算の見直し、⑱看護補助者に係る加算の名称の見直しの3項目を取り上げます。
3項目の見直しの概要は次のとおりです。第1に、短期滞在手術等基本料は、基本料1の点数引下げ、基本料3の対象手術追加、DPC対象病院での基本料3算定への統一、外来実施率が高い手術の点数差縮小と入院手術対応加算の新設という4つのポイントで包括的に改定されます。第2に、地域加算は、人事院勧告に伴い級地区分が7段階から5段階に再編され、点数と対象地域が変更されます。第3に、看護補助者に係る加算は、直接患者ケアの評価内容にあわせて「看護補助体制充実加算」から「看護補助・患者ケア体制充実加算」に名称が変更されます。
⑯ 短期滞在手術等基本料の見直し
短期滞在手術等基本料は、手術の外来移行を促す観点から大幅に見直されます。改定のポイントは4つあります。第1に基本料1の点数引下げ、第2に基本料3の対象手術追加、第3にDPC対象病院での基本料3算定への統一、第4に外来実施率が高い手術の点数差縮小と入院手術対応加算の新設です。
基本料1については、包括評価の実態に合わせた点数の適正化が行われます。「ロ イ以外の場合」の区分は、麻酔を伴う手術が1,588点から795点へ、それ以外が1,359点から680点へ、いずれもほぼ半額に引き下げられます。
基本料3については、在院日数や医療資源投入量が安定している手術が新たに対象に追加されます。既存の対象手術も、実態を踏まえた点数に見直されます。
DPC対象病院については、従来DPC算定としていた短期滞在手術を、基本料3で算定する仕組みに改められます。この変更により、病院の類型にかかわらず統一された評価が適用されます。
外来実施率が高い手術については、2つの施策が講じられます。第1に、これらの手術の基本料3の点数が見直され、入院で実施した場合と外来で実施した場合の点数差が縮小されます。第2に、外来での手術実績を一定程度有する病院が、医学的に入院が必要な患者に対して入院で実施した場合に算定できる「入院手術対応加算」が新設されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】短期滞在手術等基本料の4つの見直しポイントを解説
⑰ 地域加算の見直し
地域加算は、令和6年の人事院勧告に伴い、級地区分と点数が見直されます。改定のポイントは3つあります。第1に級地区分が7段階から5段階に再編されること、第2に各級地の点数が変更されること、第3に点数が大きく変動する地域に経過措置が設けられることです。
級地区分の再編は、人事院規則の見直しに基づいています。令和6年の給与法改正により、級地区分の設定が市区町村単位から都道府県単位を基本とする取扱いに変更されました。この再編後も、対象医療機関数はほぼ同水準(4,722施設→4,855施設)が維持されます。
点数体系は、現行の7段階(18点・15点・14点・11点・9点・5点・3点)から5段階(18点・14点・11点・7点・4点)に整理されます。1級地の18点は据え置きですが、2級地以降は新たな点数となります。
経過措置は、点数が著しく変動する地域を対象に、令和9年5月31日まで設けられます。対象地域の医療機関は、自院の所在地がどの級地に該当するかを告示等の公表後に確認することが重要です。
▶ 詳しくはこちら:地域加算が7区分から5区分へ|点数・対象地域の変更点を解説
⑱ 看護補助者に係る加算の名称の見直し
看護補助者に係る加算は、直接患者ケアの評価内容にあわせて名称が変更されます。対象となるのは、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の4つの入院料における「看護補助体制充実加算」です。
名称変更の背景には、累次の改定で看護補助者に係る加算の名称や評価内容にばらつきが生じていたことがあります。同じ「看護補助体制充実加算」という名称でも、入院基本料等によって評価する内容が異なっていました。
改定後は、上記4つの入院料の「看護補助体制充実加算」が「看護補助・患者ケア体制充実加算」に改称されます。提供された資料の範囲では、今回の見直しは名称の変更であり、点数の変更は確認されていません。該当する入院料を届け出ている医療機関は、届出書類や算定管理資料の名称確認が必要です。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】看護補助体制充実加算が「看護補助・患者ケア体制充実加算」に名称変更
まとめ
令和8年度改定の「Ⅱ-1-1 医療提供体制の整備」における⑯~⑱の3項目は、いずれも入院医療の評価体系に関する見直しです。短期滞在手術等基本料は、基本料1の適正化、基本料3の拡大とDPC統一、外来実施率が高い手術の点数差縮小と入院手術対応加算の新設により、手術の外来移行と入院の適切な評価の両立が図られます。地域加算は、級地区分が5段階に再編され、点数と対象地域が変更されます。看護補助者に係る加算は、「看護補助・患者ケア体制充実加算」に改称され、評価内容が名称で明確化されます。各項目の詳細は、上記のリンク先の記事をご確認ください。
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【令和8年度改定】看護補助体制充実加算が「看護補助・患者ケア体制充実加算」に名称変更
令和8年度診療報酬改定では、看護補助者に係る加算の名称が見直されます。看護補助者に係る加算等は、累次の改定で整理、追加や修正が行われてきました。その結果、名称や評価内容にばらつきが生じています。今回の改定では、主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者の評価について、その内容にあわせて名称を変更します。
今回の名称見直しのポイントは2つです。第一に、対象となるのは療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の4つの入院料における「看護補助体制充実加算」です。第二に、これらの加算の名称が「看護補助・患者ケア体制充実加算」に変わります。
名称変更の背景:累次の改定による名称と評価内容のばらつき
名称変更の背景には、看護補助者に係る加算の名称や評価内容にばらつきが生じていたことがあります。
看護補助者に係る加算等は、累次の改定で整理、追加や修正が行われてきました。その結果、名称や評価内容にばらつきが生じています。たとえば中医協の議論資料によると、「看護補助体制充実加算」という同じ名称が複数の入院基本料等で用いられているにもかかわらず、当該加算で評価する内容は入院基本料等によって異なっていました。
こうした状況を踏まえ、今回の改定では、加算の内容にあわせて名称を見直すこととされました。
改定の内容:「看護補助・患者ケア体制充実加算」への名称変更
今回の改定では、主として直接患者に対し療養生活上の世話を行う看護補助者の評価について、名称を「看護補助・患者ケア体制充実加算」に変更します。
名称変更の対象は、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の4つの入院料における「看護補助体制充実加算」です。
具体的な変更内容を、療養病棟入院基本料を例に示します。現行の「看護補助体制充実加算1(80点)」「看護補助体制充実加算2(65点)」「看護補助体制充実加算3(55点)」が、それぞれ「看護補助・患者ケア体制充実加算1(80点)」「看護補助・患者ケア体制充実加算2(65点)」「看護補助・患者ケア体制充実加算3(55点)」に変わります。身体的拘束を実施した日に「看護補助・患者ケア体制充実加算3の例により算定する」という規定についても、名称が変わります。
なお、提供された資料の範囲では、今回の見直しは名称の変更であり、点数の変更は確認されていません。
医療機関での対応:届出書類の名称確認を
該当する入院料を届け出ている医療機関では、加算名の変更に伴う届出書類や院内の算定管理資料の記載を確認してください。名称変更の詳細な取扱いについては、今後発出される通知や事務連絡を注視する必要があります。
まとめ
令和8年度改定では、看護補助者に係る加算の名称が見直されます。対象は、療養病棟入院基本料、障害者施設等入院基本料、地域包括医療病棟入院料、地域包括ケア病棟入院料の4つの入院料です。これらの「看護補助体制充実加算」は、直接患者ケアの評価内容にあわせて「看護補助・患者ケア体制充実加算」に改称されます。該当する入院料を届け出ている医療機関では、届出書類や算定管理資料の名称確認とあわせて、今後の通知等を確認してください。
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地域加算が7区分から5区分へ|点数・対象地域の変更点を解説
令和6年の人事院勧告により、国家公務員の地域手当の仕組みが見直されました。この見直しに連動して、診療報酬の地域加算も改定されます。地域加算は、医業経費の地域差に配慮して入院基本料等に上乗せされる加算です。今回の改定では、地域加算の級地区分と点数が変更されるため、対象地域の医療機関は自院への影響を確認する必要があります。
今回の改定のポイントは3つあります。第1に、級地区分が現行の7段階から5段階に再編されます。第2に、各級地の点数が変更され、1級地(18点)は据え置きですが、2級地以降は新たな点数体系となります。第3に、点数が大きく変動する地域には令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。
級地区分の再編:7段階から5段階へ
今回の改定で最も大きな変更点は、級地区分が7段階から5段階に再編されることです。この再編は、人事院規則で定める地域の見直しに基づいています。
現行の地域加算は、1級地から7級地までの7段階で構成されています。1級地は東京都特別区、2級地は横浜市や大阪市など、7級地は札幌市や新潟市などが該当し、市区町村単位で級地が設定されています。
改定後の地域加算は、1級地から5級地までの5段階に再編されます。この再編の背景には、人事院規則の見直しがあります。令和6年の給与法改正により、級地区分の設定が市区町村単位から都道府県単位を基本とする取扱いに変更されました。具体的には、都府県単位で級地を指定したうえで、中核的な市を個別に指定する方式に改められています。
なお、この再編後も地域加算を算定できる医療機関数に大きな変化はありません。現行の対象医療機関数は病院・有床診療所あわせて4,722施設であるのに対し、見直し後は4,855施設と、ほぼ同水準が維持されます。
点数の変更:各級地の新たな評価
級地区分の再編に伴い、各級地の点数も変更されます。以下に、現行と改定後の点数を示します。
現行の点数体系は、1級地18点、2級地15点、3級地14点、4級地11点、5級地9点、6級地5点、7級地3点の7段階です。
改定後の点数体系は、1級地18点、2級地14点、3級地11点、4級地7点、5級地4点の5段階となります。1級地の18点は据え置かれますが、2級地以降は点数が整理されます。
この点数変更により、級地が変わる地域では加算額が増減します。改定後の具体的な対象地域と級地区分は、告示や事務連絡で示されます。自院の所在地がどの級地に該当するかを、告示等の公表後に確認することが重要です。
経過措置:点数が大きく変動する地域への配慮
今回の改定では、点数が著しく変動する地域に対して経過措置が設けられます。この経過措置は、急激な収入変動を緩和するためのものです。
経過措置の対象は、別に定める地域に所在する保険医療機関です。対象となる医療機関は、令和9年5月31日までの間、算定する区分の調整が行われます。
経過措置の具体的な対象地域は、今後の告示や事務連絡で明らかになります。対象地域の医療機関は、改定後の級地区分と現行の級地区分を比較し、自院の点数がどの程度変動するかを事前に把握しておくことが重要です。
対象地域の設定基準
地域加算の対象地域は、2つの基準に基づいて設定されます。1つ目は、人事院規則で定める地域です。2つ目は、当該地域に準じる地域です。
人事院規則で定める地域とは、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第11条の3第1項に規定される地域を指します。この地域は、国家公務員に地域手当が支給される地域として定められています。
当該地域に準じる地域は、今回の改定では「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」(令和7年11月11日総務副大臣通知)別紙2に定める地域手当の支給地域を参考に設定されます。
まとめ
今回の地域加算の見直しでは、級地区分が7段階から5段階に再編され、各級地の点数が変更されます。点数が大きく変動する地域には、令和9年5月31日までの経過措置が設けられます。対象地域の医療機関は、自院の所在地が改定後にどの級地に該当するかを確認し、収入への影響を試算しておくことが重要です。
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【令和8年度改定】短期滞在手術等基本料の4つの見直しポイントを解説
令和8年度診療報酬改定では、手術の外来移行を促す観点から、短期滞在手術等基本料が大幅に見直されます。今回の改定は、基本料1の評価適正化にとどまらず、基本料3の対象手術追加やDPC対象病院への算定拡大、さらには外来実施率の高い手術に対する新たな加算の創設を含む、包括的な改定です。
今回の見直しは、大きく4つのポイントに整理できます。第1に、基本料1の点数が引き下げられ、包括評価の実態に合った水準に適正化されます。第2に、基本料3の対象手術が追加され、既存の手術も実態を踏まえた点数に見直されます。第3に、DPC対象病院でも基本料3を算定する仕組みに変更されます。第4に、外来実施率が特に高い手術について、入院と外来の点数差を縮小する評価の見直しが行われるとともに、医学的に入院が必要な患者に限定した「入院手術対応加算」が新設されます。
改定の背景|手術の外来移行と算定方式の統一
今回の見直しの背景には、短期滞在手術の外来移行が十分に進んでいない現状と、算定方式が医療機関の類型によって分かれている問題があります。
短期滞在手術等基本料は、医療の質の向上と効率化を図るために設けられた仕組みです。日帰り手術を対象とする基本料1と、4泊5日までの入院手術を対象とする基本料3の2種類があります。基本料1は術前・術後の管理や一部の検査を包括的に評価し、基本料3は入院基本料や検査、手術、麻酔などを含む幅広い診療行為を包括しています。
これらの対象手術のうち、水晶体再建術と内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術は、特に算定回数が多い手術です。水晶体再建術(眼内レンズ挿入・その他)は総数165,699件のうち外来実施率が65.1%、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満)は総数164,217件のうち外来実施率が79.1%に達しています。しかし、入院外実施率が0%の病院も一定数存在し、医療機関ごとのばらつきが大きい状況です。
この入院実施の理由として、「原則、外来で実施している」と回答した医療機関では、「臨床上、入院での周術期管理を行う必要性が高いため」が最多でした。具体的には、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術では出血リスクの高い症例(抗血栓薬内服中、病変数が多い等)が、水晶体再建術では全身麻酔を要する症例(認知症により安静保持が困難等)が挙げられています。
さらに、白内障の水晶体再建術については、OECD諸国の多くが90%以上を外来で実施しているのに対し、日本の外来実施割合は54%にとどまっています。都道府県別でも32%から90%まで大きな格差があり、外来移行の余地が指摘されています。
算定方式の面では、入院で短期滞在手術を実施した場合、DPC対象病院のDPC算定病床ではDPC算定、DPC対象病院以外の病院では基本料3、有床診療所では出来高算定と、医療機関の類型によって算定方法が複数に分かれていました。同じ手術に対して異なる算定方式が適用される状況は、公平性の観点から課題となっていました。
ポイント1|基本料1の評価適正化
短期滞在手術等基本料1は、包括評価の実態に合わせて点数が引き下げられます。
基本料1は、日帰り手術の術前・術後管理と一部の検査を包括的に評価する仕組みです。令和4年度の改定で全身麻酔を伴わない手術における麻酔科医の配置要件が緩和されて以降、特に診療所での算定回数が顕著に増加しました。病院の算定回数は令和3年の約4,000件から令和6年の約15,000件へ、診療所は約6,000件から約124,000件へと急増しています。
しかし、基本料1を算定する場合と算定しない場合の手術実施月の総請求点数の差は、基本料1の点数とほぼ同程度でした。たとえば、内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術の場合、基本料1を算定した場合の総請求点数は8,592点、算定しない場合は7,350点で、その差は1,242点です。基本料1の点数1,359点と同程度であり、包括評価による効率化の効果は限定的であったことが明らかになりました。
こうした実態を踏まえ、「イ 主として入院で実施されている手術を行った場合」の区分は1点増(2,947点→2,948点、および2,718点→2,719点)にとどまる一方、「ロ イ以外の場合」の区分は大幅に引き下げられます。麻酔を伴う手術の場合は1,588点から795点へ、それ以外は1,359点から680点へ、いずれもほぼ半額に引き下げられます。
ポイント2|基本料3の対象手術追加と点数見直し
短期滞在手術等基本料3は、在院日数や医療資源投入量が一定範囲に収斂している手術が新たに対象に追加されます。
新規追加された手術の例として、K048骨内異物除去術の「11 中手骨」(15,207点)、K872-3子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術等の「2 組織切除回収システム利用によるもの」(16,876点)などがあります。これらはいずれも、在院日数が短く、医療資源の投入量が安定している手術です。
既存の対象手術についても、実態を踏まえた点数の見直しが行われます。手術ごとに個別に評価が見直され、引き上げと引き下げの両方があります。引き上げの例として、K007-2経皮的放射線治療用金属マーカー留置術は30,882点から32,768点に、K282水晶体再建術(眼内レンズ挿入・その他・片側)は17,457点から18,001点に引き上げられます。一方、引き下げの例として、K890-3腹腔鏡下卵管形成術は100,243点から95,723点に、K046骨折観血的手術(手舟状骨)は36,240点から35,216点に引き下げられます。
ポイント3|DPC対象病院でも基本料3を算定
短期滞在手術等基本料3は、DPC対象病院においても算定する仕組みに改められます。
従来、基本料3の算定は「DPC対象病院又は診療所ではないこと」が施設基準とされていました。そのため、DPC対象病院のDPC算定病床では、同じ手術であってもDPCの包括評価で算定し、DPC対象病院以外の病院では基本料3で算定するという、異なる算定方式が併存していました。
今回の改定では、この施設基準が「病院であること」に変更されます。DPC対象病院であっても、入院した日から起算して5日以内に対象手術等を行う場合は、基本料3を算定することになります。この変更により、同じ短期滞在手術に対して、病院の類型にかかわらず統一された評価が適用されます。
なお、診療所については引き続き基本料3の算定対象外です。有床診療所で短期滞在手術を入院で実施する場合は、従来どおり出来高で算定します。
ポイント4|外来実施率が高い手術の評価見直しと入院手術対応加算の新設
【令和8年度改定】入院医療の評価見直し3項目|看護補助加算・除外薬剤・DPC/PDPSを解説
令和8年度診療報酬改定の個別改定項目のうち、「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」に該当する⑬~⑮の3項目を取り上げます。これらはいずれも、入院医療における看護体制の強化、高額薬剤への対応、包括払い制度の精緻化を目的とした見直しです。本稿では、各項目の改定内容を概説し、詳細記事へのリンクを掲載します。
今回取り上げる3項目の概要は次のとおりです。⑬「障害者施設等入院基本料における看護補助者に係る加算の見直し」では、看護補助加算と看護補助体制充実加算の算定可能期間が入院31日目以降に拡大されます。⑭「入院料に包括されない除外薬剤・注射薬の範囲の見直し」では、生物学的製剤・JAK阻害薬の追加と別表の一本化が行われます。⑮「DPC/PDPSの見直し」では、DPC標準病院群の細分化や機能評価係数Ⅱの変更など5つのポイントが見直されます。
⑬ 障害者施設等入院基本料における看護補助者に係る加算の見直し
障害者施設等入院基本料(7対1・10対1)の看護補助加算と看護補助体制充実加算に、入院31日目以降の新たな点数区分が新設されます。この見直しは、看護職員と看護補助者の業務分担・協働の推進、および夜間の看護業務の負担軽減を目的としています。
看護補助加算には、入院31日目以降に算定できる「ハ イ及びロ以外」(50点)が追加されます。従来は入院14日以内(146点)と入院15日以上30日以内(121点)の2区分のみでしたが、3区分に拡充されます。
看護補助体制充実加算にも同様に、入院31日目以降の新区分が追加されます。新区分の点数は、加算1が60点、加算2が55点、加算3が51点です。身体的拘束を実施した日は加算3の点数で算定するルールは従来どおり維持されます。
これらの変更により、長期入院患者への看護補助体制が診療報酬上で評価される仕組みが整います。届出を行っている医療機関は、算定可能期間の延長による収益への影響を確認しておくことが重要です。
詳細記事:【令和8年度改定】障害者施設等入院基本料の看護補助加算が拡充|算定期間の延長と点数を解説
⑭ 入院料に包括されない除外薬剤・注射薬の範囲の見直し
入院料に薬剤料が包括される病棟における除外薬剤・注射薬の範囲が大幅に見直されます。この見直しの背景には、生物学的製剤やJAK阻害薬など高額薬剤を使用する患者の増加に伴い、包括払い病棟での受入れが困難になっている現状があります。
今回の改定では、主に7つのポイントが変更されます。第一に、回復期リハビリテーション病棟入院料等の除外薬剤に抗悪性腫瘍剤・医療用麻薬・腎性貧血治療薬が追加されます。第二に、精神病棟の特定入院料にも同じ3種類の薬剤が追加されます。第三に、各入院料に共通する除外薬剤として生物学的製剤とJAK阻害薬が新たに加わります。
このほか、血友病の医薬品の対象が類縁疾患まで拡大されること、複数の別表が一つに統合されること、介護老人保健施設の算定範囲が整理されること、コロナ抗ウイルス剤の経過措置が令和8年5月31日で終了することが定められています。
これらの見直しにより、高額薬剤を使用する患者の円滑な入棟が促進され、病棟間の不合理な格差が解消されることが期待されます。
詳細記事:【令和8年度改定】除外薬剤の範囲拡大と別表統一|生物学的製剤・JAK阻害薬が新たに追加
⑮ DPC/PDPSの見直し
DPC/PDPSについて、医療の標準化・効率化を更に推進する観点から、医療機関別係数、診断群分類、算定ルールの3つの領域にわたる見直しが行われます。主な見直しポイントは5つです。
第一のポイントは、DPC標準病院群の細分化です。救急搬送の受入実績等に基づき、「標準病院群1」と「標準病院群2」に区分されます。標準病院群1に該当するには、救急車搬送入院患者数が年間700人以上であることなど、4つの要件のいずれかを満たす必要があります。
第二のポイントは、機能評価係数Ⅱのうち複雑性係数の変更です。従来は「1入院当たりの包括範囲出来高点数」で評価していましたが、各診断群分類の在院日数25%tile値までの平均包括範囲出来高点数により評価する方式に変更されます。この変更により、入院初期の医療資源投入の密度がより適切に反映されます。
第三のポイントは、地域医療係数の見直しです。定量評価指数では、DPC標準病院群に限り、がん・脳卒中・心筋梗塞等の心血管疾患・周産期の4領域に着目した評価が導入されます。体制評価指数では、認定ドナーコーディネーターの院内配置と地域の需要変動への応答性の2項目が新設されます。
第四のポイントは、入院期間Ⅱの基準変更です。在院日数の変動係数が0.6を下回る診断群分類では、平均在院日数から中央値に移行します。ただし、移行に伴う急激な変化を防ぐため、変動率の上限は10%に設定されています。
第五のポイントは、再転棟時の算定ルールの厳格化です。DPC算定病棟から非DPC算定病棟へ転棟した後に再びDPC算定病棟に戻る場合、従来は転棟後7日以内に限り一連の入院とされていましたが、この期間制限が撤廃されます。
このほか、激変緩和係数は従前の考え方が維持され、退院患者調査の調査項目の見直しも行われます。各医療機関は、自院がどの病院群に分類されるかの確認とともに、新たな係数設定への対応を早期に進めることが重要です。
詳細記事:【令和8年度改定】DPC/PDPSの5つの見直しポイントを徹底解説
まとめ
令和8年度診療報酬改定の個別改定項目⑬~⑮では、入院医療の評価に関する3つの見直しが行われます。⑬では障害者施設等入院基本料の看護補助加算・看護補助体制充実加算に入院31日目以降の新区分が新設され、長期入院患者への評価が拡充されます。⑭では除外薬剤の範囲が拡大され、生物学的製剤・JAK阻害薬が全入院料共通で追加されるとともに別表が一本化されます。⑮ではDPC標準病院群の
【令和8年度改定】DPC/PDPSの5つの見直しポイントを徹底解説
令和8年度診療報酬改定では、DPC/PDPSについて、医療の標準化・効率化を更に推進する観点から複数の見直しが行われます。見直しの対象は、医療機関別係数の設定、診断群分類点数表の改定、算定ルールの変更など多岐にわたります。
今回の改定における主な見直しポイントは5つです。第一に、DPC標準病院群が救急実績等に基づき「標準病院群1」と「標準病院群2」に細分化されます。第二に、機能評価係数Ⅱのうち複雑性係数の評価手法が入院初期重視に変更されます。第三に、地域医療係数について定量評価指数と体制評価指数の双方が見直されます。第四に、入院期間Ⅱが平均在院日数から中央値へ移行する診断群分類が生じます。第五に、再転棟時の算定ルールが厳格化されます。
DPC標準病院群の細分化|「標準病院群1」と「標準病院群2」
DPC標準病院群が、救急搬送の受入実績等に基づき、基礎係数の評価を区別する2つの区分に分けられます。この見直しは、DPC標準病院群において救急搬送受入件数の多い病院ほど、包括点数に対する包括範囲出来高点数が高い傾向にあるという実態を踏まえたものです。
「DPC標準病院群1」に該当するには、以下の4つの要件のいずれかを満たす必要があります。第一の要件は、救急車等による搬送入院患者数が年間700人以上であることです。第二の要件は、救急車等による搬送入院患者数が年間200人以上であり、かつ全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることです。第三の要件は、人口20万人以下の二次医療圏に所在し、当該医療圏内で救急搬送入院患者数が最大かつ年間400人以上であることです。第四の要件は、離島のみで構成される二次医療圏に所在し、当該医療圏内で救急搬送入院患者数が最大であることです。
これらの要件のいずれにも該当しない医療機関は「DPC標準病院群2」に区分されます。なお、令和10年度改定以降は、急性期病院A一般入院料または急性期病院B一般入院料の届出を行う医療機関とすることが念頭に置かれており、今回はデータの収集が行われます。
機能評価係数Ⅱの見直し|複雑性係数と地域医療係数の変更
機能評価係数Ⅱでは、複雑性係数の評価手法と地域医療係数の2つが主に見直されます。
複雑性係数は、入院初期の医療資源投入をより重視する評価手法に変更されます。従来の複雑性係数は「1入院当たりの包括範囲出来高点数」で評価していたため、1日当たりの出来高点数は低くても平均在院日数が長い診断群分類が高く評価される課題がありました。今回の見直しでは、各診断群分類の在院日数25%tile値までの平均包括範囲出来高点数により評価する方式が導入されます。この変更により、急性期入院医療における入院初期の医療資源投入の密度がより適切に反映されます。
地域医療係数のうち定量評価指数については、DPC標準病院群において評価方法が拡充されます。従来は小児(15歳未満)とそれ以外(15歳以上)の2区分で地域シェアを評価していました。今回の改定では、DPC標準病院群に限り、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患及び周産期の4領域に着目した評価に見直されます。具体的には、従来の小児区分に周産期が統合され「小児(15歳未満)及び周産期」となり、15歳以上の区分は更にがん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患の3領域に細分化されます。この見直しにより、全診断群分類の地域シェアは低くても、特定の疾患領域で地域に重要な役割を果たしている医療機関が適切に評価されます。
地域医療係数のうち体制評価指数については、2つの項目が新設されます。ひとつは「認定ドナーコーディネーターの院内配置」です。過去3カ年において法的脳死判定後の臓器提供実績が0件の医療機関が、認定ドナーコーディネーターを配置している場合に0.5Pが付与されます。ただし、この項目の評価は令和9年度以降に開始されます。もうひとつは「地域の需要変動への応答性」です。DPC算定病床数に占める各日の入院患者数の割合のばらつきを評価し、97.5%tile値に満たない場合は-1Pとなります。
診断群分類の見直し|入院期間Ⅱの中央値への移行
診断群分類については、入院期間Ⅱの基準が一部の診断群分類で平均在院日数から中央値に変更されます。この見直しの背景には、多くの診断群分類において平均在院日数が中央値を上回っている実態があります。
中央値への移行対象となるのは、在院日数の変動係数が0.6を下回る診断群分類です。これらの診断群分類は在院日数の標準化が比較的進んでいるため、中央値への移行による影響が限定的と判断されました。ただし、移行に伴う急激な変化を防ぐため、変動率の上限は10%に設定されています。この上限により、入院期間Ⅱが大幅に短縮される事態は回避されます。
このほか、新型コロナウイルス感染症に係る取扱いも見直されます。従来は、医療資源を最も投入した傷病名として新型コロナウイルス感染症が選択された患者を出来高算定としていましたが、この特例的な取扱いが見直されるとともに、診断群分類の設定等の必要な見直しが行われます。
算定ルールと激変緩和措置の見直し
算定ルールでは、再転棟時の取扱いが変更されます。DPC算定病棟から非DPC算定病棟へ転棟した後に、同一傷病等により再びDPC算定病棟に戻る場合、転棟後の期間を問わず、原則として一連の入院として扱うことになります。従来は転棟後7日以内に限り一連の入院とされていましたが、DPC算定病床以外の病床を有する医療機関の割合が増加したことを踏まえ、この期間制限が撤廃されます。
激変緩和係数は、従前の考え方が維持されます。推計診療報酬変動率(出来高部分も含む)が2%を超えて変動しないよう激変緩和係数が設定されます。新たにDPC/PDPSに参加する医療機関については、改定前実績との比較で2%を超えて低く変動した場合に、所属する医療機関群の平均的な係数値を用いた補正計算が行われます。
退院患者調査についても、データに基づく適切な入院医療の評価を行う観点から、調査項目の見直しが行われます。診断群分類の設定に必要な項目の追加や、不要な項目の削除等が実施されます。
まとめ
令和8年度のDPC/PDPS改定は、医療機関別係数、診断群分類、算定ルールの3つの領域にわたる見直しです。DPC標準病院群は救急実績等に基づき「標準病院群1」と「標準病院群2」に細分化され、基礎係数の評価が区別されます。機能評価係数Ⅱでは、複雑性係数が入院初期重視の評価手法に変わり、地域医療係数では定量評価に疾患領域別の評価が導入されるとともに体制評価に2つの新規項目が加わります。入院期間Ⅱは変動係数0.6未満の診断群分類で中央値に移行し、再転棟の算定ル
【令和8年度改定】除外薬剤の範囲拡大と別表統一|生物学的製剤・JAK阻害薬が新たに追加
令和8年度診療報酬改定では、入院料に薬剤料が包括される病棟において、出来高算定が認められる「除外薬剤・注射薬」の範囲が大幅に見直されます。この見直しの背景には、生物学的製剤やJAK阻害薬など高額薬剤を使用する患者の増加に伴い、包括払い病棟での受入れが困難になっている現状があります。本稿では、今回の改定における除外薬剤・注射薬の範囲見直しについて、7つの改定ポイントを解説します。
今回の改定では、主に3つの重要な変更が行われます。第一に、回復期リハビリテーション病棟入院料などの除外薬剤に抗悪性腫瘍剤、医療用麻薬、腎性貧血治療薬が追加され、地域包括ケア病棟入院料等と包括範囲が統一されます。第二に、各入院料共通の除外薬剤として、生物学的製剤とJAK阻害薬が新たに加わります。第三に、複数に分かれていた除外薬剤の別表が一つに整理・統合されます。
改定の背景:高額薬剤が患者の円滑な入棟を阻んでいた
今回の見直しは、入院料ごとの医療機能を適切に評価し、患者の入棟を円滑にする目的で行われます。この背景には、維持期の治療として高額薬剤を使用する患者が増加し、包括払い病棟での受入れに支障が生じていた実態があります。
生物学的製剤やJAK阻害薬は、2010年代半ば頃から新薬の登場や適応拡大が進み、免疫・アレルギー疾患の維持期の治療として使用される機会が増えています。これらの薬剤を使用する患者は高齢化も進んでおり、脳卒中や骨折等の急性疾患を発症した後、回復期リハビリテーション病棟や地域包括ケア病棟に転棟・転院する場面が増えてきました。
こうした患者を受け入れる包括払い病棟では、高額薬剤の費用が入院料に含まれてしまうため、薬剤費が持ち出しとなります。令和7年度の実態調査では、回復期リハビリテーション病棟の約25%が抗がん剤を、約10%がリウマチ治療薬(生物学的製剤含む)を受入困難の理由として挙げていました。さらに、病棟間で除外薬剤の範囲にばらつきがあることも問題でした。たとえば、抗悪性腫瘍剤や医療用麻薬は、地域包括ケア病棟では除外薬剤として出来高算定できる一方、回復期リハビリテーション病棟では包括対象のままでした。
改定ポイント1:回復期リハ病棟等の除外薬剤に3種類の薬剤を追加
改定の第一のポイントは、回復期リハビリテーション病棟入院料をはじめとする複数の入院料の除外薬剤に、3種類の薬剤カテゴリが追加される点です。
追加対象の入院料は、特定入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、回復期リハビリテーション病棟入院料、特殊疾患病棟入院料、認知症治療病棟入院料、特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の6つです。これらの入院料には従来、インターフェロン製剤、抗ウイルス剤、血友病の患者に使用する医薬品のみが除外薬剤として認められていました。
今回追加される薬剤は、抗悪性腫瘍剤(悪性新生物に罹患している患者に対して投与された場合に限る)、疼痛コントロールのための医療用麻薬、エリスロポエチン等の腎性貧血に対して使用する薬剤の3つです。この追加により、これらの入院料の除外薬剤は、地域包括ケア病棟入院料等と同水準になります。
改定ポイント2:精神病棟の特定入院料にも同様の薬剤を追加
改定の第二のポイントは、精神病棟で算定される特定入院料にも、同じ3種類の薬剤カテゴリが追加される点です。
対象となるのは、精神科救急急性期医療入院料、精神科急性期治療病棟入院料、精神科救急・合併症入院料、精神療養病棟入院料、地域移行機能強化病棟入院料です。これらの入院料でも、抗悪性腫瘍剤、医療用麻薬、腎性貧血治療薬が新たに除外薬剤として出来高算定できるようになります。精神科病棟でも高齢化に伴い悪性新生物を合併する患者が増えていることから、身体合併症への対応を円滑にする意図があります。
改定ポイント3:生物学的製剤とJAK阻害薬を全入院料共通で追加
改定の第三のポイントは、各入院料に共通する除外薬剤として、生物学的製剤とJAK阻害薬が新たに追加される点です。この変更は、今回の改定の中でも特に影響の大きい項目といえます。
追加の対象は、免疫・アレルギー疾患の治療のために入院前から投与が継続されている生物学的製剤とJAK阻害薬です。ただし、他の治療薬で代替不能な場合に限定されます。関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患では、生物学的製剤やJAK阻害薬が標準的な維持療法として定着しています。これらの薬剤は高額であるため、包括払い病棟にとって大きな経済的負担となっていました。今回の改定により、すべての包括払い病棟でこれらの薬剤を出来高算定できるようになります。
改定ポイント4:血友病の医薬品の対象を類縁疾患まで拡大
改定の第四のポイントは、除外薬剤のうち、血友病の患者に使用する医薬品の対象範囲が拡大される点です。
従来は「血友病患者における出血傾向の抑制の効能又は効果を有するもの」と規定されていましたが、改定後は「血友病等の患者における出血傾向の抑制」へと対象が広がります。この「等」には血友病類縁疾患が含まれます。実態調査でも、血友病以外の出血傾向の抑制に係る医薬品を受入困難の理由とする病棟は、地域包括ケア病棟で46.5%、回復期リハビリテーション病棟で54.4%に上っていたことから、こうした実態を踏まえた見直しです。
改定ポイント5:除外薬剤の別表を一つに整理・統合
改定の第五のポイントは、複数に分かれていた除外薬剤の別表が一つに統合される点です。
従来、除外薬剤を定める別表は、別表第5の1の2から別表第5の1の5まで、複数のテーブルに分かれていました。入院料の種類ごとに異なる別表が適用されていたため、どの薬剤が除外対象かの確認が煩雑でした。今回の改定では、これらの別表を別表第5の1の2に一本化します。新たな別表第5の1の2は、緩和ケア病棟入院料の除外薬剤(一号)、一般的な包括払い病棟の除外薬剤(二号)、精神科病棟の除外薬剤(三号)の3区分で構成されます。
改定ポイント6・7:介護老健の算定範囲とコロナ抗ウイルス剤の経過措置
改定の第六のポイントは、介護老人保健施設入所者について医療保険で算定できる薬剤の範囲が、新たに整理された別表第5の1の2と揃えられる点です。具体的には、介護老人保健施設入所者について算定できる内服薬・外用薬にJAK阻害薬が、注射薬に生物学的製剤と血友病等の医薬品が追加されます。
改定の第七のポイントは、新型コロナウイルス感染症の抗ウイルス剤に係る経過措置が令和8年5月31日をもって終了する点です。令和6年3月の事務連絡で示された、コロナ抗ウイルス剤を除外薬剤として取り扱う特例が終了します。この経過措置終
【令和8年度改定】障害者施設等入院基本料の看護補助加算が拡充|算定期間の延長と点数を解説
令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料(7対1・10対1)における看護補助加算と看護補助体制充実加算が見直されます。この見直しは、看護職員と看護補助者の業務分担・協働の推進、および夜間の看護業務の負担軽減を目的としたものです。
今回の改定では、看護補助加算と看護補助体制充実加算の2つの加算が変更されます。看護補助加算には、入院31日目以降にも算定できる新区分(50点)が新設されます。看護補助体制充実加算にも同様に、入院31日目以降の新区分(加算1:60点、加算2:55点、加算3:51点)が追加されます。これらの変更により、従来は入院30日以内に限られていた算定可能期間が延長され、長期入院患者への看護補助体制をより手厚く評価する仕組みとなります。
看護補助加算の変更内容
看護補助加算では、入院31日目以降に算定できる新たな点数区分が新設されます。
従来の看護補助加算は、入院14日以内(146点)と入院15日以上30日以内(121点)の2区分のみでした。今回の改定では、これらの既存区分に加えて、入院31日目以降を対象とする「ハ イ及びロ以外」(50点)が新設されます。
この新区分の対象は、7対1入院基本料または10対1入院基本料を算定している患者です。なお、看護補助加算を算定する場合は、看護補助体制充実加算を同時に算定することはできません。この点は従来と同様です。
看護補助体制充実加算の変更内容
看護補助体制充実加算でも、看護補助加算と同様に、入院31日目以降の新区分が追加されます。
従来の看護補助体制充実加算は、入院14日以内と入院15日以上30日以内の2期間について、加算1から加算3の3段階で評価していました。今回の改定では、入院31日目以降を対象とする「ハ イ及びロ以外」が新設されます。この新区分の点数は、加算1が60点、加算2が55点、加算3が51点です。
看護補助体制充実加算における身体的拘束に関するルールも維持されます。身体的拘束を実施した日は、加算1または加算2を届け出ている場合でも、加算3の点数で算定することになります。この取扱いは、令和6年度改定で導入された仕組みを引き継いだものです。
点数の全体像
今回の改定による看護補助加算と看護補助体制充実加算の点数体系を、入院期間ごとに整理します。
看護補助加算の点数は、入院14日以内が146点、入院15日以上30日以内が121点、入院31日目以降が50点(新設)です。
看護補助体制充実加算の点数は、以下のとおりです。入院14日以内は、加算1が176点、加算2が161点、加算3が151点です。入院15日以上30日以内は、加算1が151点、加算2が136点、加算3が126点です。入院31日目以降(新設)は、加算1が60点、加算2が55点、加算3が51点です。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料の看護補助加算と看護補助体制充実加算に、入院31日目以降の新たな点数区分が追加されます。看護補助加算は50点、看護補助体制充実加算は加算1が60点、加算2が55点、加算3が51点です。この見直しにより、障害者施設等入院基本料を算定する病棟では、入院30日を超える長期入院患者についても看護補助体制が診療報酬上で評価されることになります。届出を行っている医療機関は、算定可能期間の延長による収益への影響と、施設基準の充足状況を改めて確認しておくことが重要です。
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【令和8年度改定】入院医療の見直し4項目を総まとめ|地域包括医療・回復期リハ・療養・障害者施設
令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の推進として、入院医療の評価体系が大幅に見直されます。個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」のうち、⑨地域包括医療病棟、⑩回復期リハビリテーション病棟、⑪療養病棟、⑫障害者施設等入院基本料の4項目について、改定のポイントを解説します。
4項目に共通するのは、患者の状態と医療資源投入量をより適切に反映させるという方針です。地域包括医療病棟では入院料が手術・緊急入院の有無で3区分に再編され、回復期リハビリテーション病棟では強化体制加算の新設を含む9つの変更が行われます。療養病棟では感染症処置の併施や非がん緩和ケアに対応した医療区分の見直しが実施され、障害者施設等入院基本料では廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた体系に変更されます。
⑨ 地域包括医療病棟の見直し
地域包括医療病棟入院料は、入院料の再編、加算の2段階化、施設基準の緩和の3つの領域で見直されます。
入院料は、現行の一律3,050点から、「入院料1」(急性期病棟を併設しない医療機関向け)と「入院料2」の2つに分かれます。さらに、各入院料の中にイ・ロ・ハの3区分が設けられ、緊急入院の有無と手術の実施状況に応じて点数が異なります。最高点は入院料1・イの3,367点、最低点は入院料2・ハの3,066点です。手術のない緊急入院の患者は包括範囲内の出来高実績点数が高いという実態を踏まえ、イ(緊急入院かつ手術なし)に最も高い点数が設定されました。
リハビリテーション・栄養・口腔連携加算は、現行の一律80点から、加算1(110点)と加算2(50点)の2段階に見直されます。多職種による包括的な取組を積極的に行う医療機関は加算1を、段階的に体制を整備する医療機関は加算2を算定できます。
施設基準では、85歳以上の患者割合に応じた緩和が行われます。平均在院日数は「20日以内を原則とし、85歳以上の患者割合が2割増すごとに1日を加える」に変更されます。重症度、医療・看護必要度は、評価方法が「割合」から「指数」に変更されます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】地域包括医療病棟が3つの入院料に再編|点数・要件の変更点を解説
⑩ 回復期リハビリテーション病棟入院料等の評価体系及び要件の見直し
回復期リハビリテーション病棟入院料等では、質の高いリハビリテーション医療の推進を目的に、9つの変更が行われました。
第一に、入院料1を対象とした「回復期リハビリテーション強化体制加算」(80点/日)が新設されました。実績指数48以上、退院前訪問指導の十分な実績、排尿自立支援加算の届出が施設基準に含まれます。第二に、重症患者の基準に高次脳機能障害と脊髄損傷の患者が追加され、改善割合の要件は削除されました。第三に、入院料2と4にも実績指数32以上の基準が新設され、全入院料にアウトカム評価が適用されます。
第四に、FIMによる測定が望ましいとされました。第五に、退院前訪問指導料が出来高で算定可能になりました。第六に、FIM研修会の開催が入院料1~4に拡大されました。第七に、地域支援事業への参加が入院料1~4に拡大されました。第八に、口腔管理の体制整備が入院料3・4でも望ましいとされました。第九に、土曜日・休日を含む全日のリハビリテーション提供体制が入院料1~4の基本要件となりました。
全入院料で点数が引き上げられ、入院料1は2,229点から2,346点に、入院料3は1,917点から2,062点になりました。入院料2・4の実績指数基準と入院料3・4の全日リハ提供体制には、令和8年9月30日までの経過措置が設けられています。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】回復期リハビリテーション病棟入院料の9つの変更点を徹底解説
⑪ 療養病棟入院基本料の見直し
療養病棟入院基本料では、医療区分2・3に該当する疾患・状態・処置等の内容が見直されます。
第一に、感染症の治療に係る処置(肺炎治療、尿路感染症治療など)と創傷の治療等の他の処置を併せて行う場合に、医療区分3として評価されるようになります。従来、これらの処置はいずれも医療区分2として評価されていましたが、併施時の医療資源投入量の増加を反映した見直しです。
第二に、非がん疾患に対する緩和ケアとして、末期呼吸器疾患、末期心不全、末期腎不全の3疾患が医療区分2に追加されます。3疾患とも「適切な治療にもかかわらず末期の状態にあること」と「医療用麻薬等による苦痛・症状のコントロールが必要であること」が共通の要件です。
第三に、超重症児(者)に該当する15歳未満の小児が医療区分3に、準超重症児(者)に該当する小児が医療区分2に追加されます。さらに、療養病棟入院料2の医療区分2・3患者割合は5割から6割に引き上げられ、令和8年9月30日までの経過措置が設けられます。
▶ 詳しくはこちら:【令和8年度改定】療養病棟入院基本料の見直し3つのポイント|医療区分の変更点を解説
⑫ 障害者施設等入院基本料等の見直し
障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に変更されます。
この見直しの背景には、障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院する廃用症候群の患者の状態が、療養病棟の患者と類似しているという実態があります。認知症の有無、寝たきり度、医療的な状態のいずれにおいても類似した分布を示す一方、レセプト請求点数は障害者施設等入院基本料の方が高い状況でした。患者の状態が類似しているにもかかわらず評価体系が異なることは、慢性期入院料の役割分担の観点から課題とされていました。
具体的には、障害者施設等入院基本料の注13の対象患者に廃用症候群が追加され、医療区分2または1に相当する患者は療養病棟に準じた点数で算定することになります。ただし、廃用症
【令和8年度改定】障害者施設等入院基本料における廃用症候群の評価が変わる|3つの入院料が対象
令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料等における廃用症候群の患者の評価が見直されます。この見直しは、障害者施設等入院基本料を算定する病棟に入院する廃用症候群の患者の状態が、療養病棟に入院する患者と類似しているという実態調査の結果を踏まえたものです。本記事では、この見直しの背景、具体的な改定内容、対象となる入院料と除外される患者について解説します。
今回の改定では、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、主傷病名が廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に変更されます。ただし、廃用症候群を発症する以前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は、この見直しの対象外です。この変更により、該当する廃用症候群の患者の診療報酬は、療養病棟に準じた評価に切り替わります。
見直しの背景:廃用症候群の患者状態は療養病棟と類似
障害者施設等入院基本料を算定する病棟では、廃用症候群の患者が多く入院しています。令和6年度の実態調査によると、障害者施設等入院基本料の10対1入院基本料では廃用症候群の患者が5.0%を占め、13対1・15対1入院基本料では11.8%を占めていました。これらの患者は「肢体不自由」として対象患者に含まれている割合が高い状況です。
こうした廃用症候群の患者の状態は、療養病棟に入院する患者と類似していることが明らかになっています。認知症の有無、障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)、医療的な状態のいずれにおいても、障害者施設等入院基本料と療養病棟入院料で類似した分布を示しました。一方で、レセプト請求点数は障害者施設等入院基本料の方が高い状況でした。
患者の状態が類似しているにもかかわらず、請求点数に差がある背景には、障害者施設等入院基本料の算定構造の違いがあります。障害者施設等入院基本料は「個別の病態変動が大きく、その変動に対し高額な薬剤や高度な処置が必要となるような患者」を対象としており、投薬・注射・処置等が原則出来高で算定されます。これに対し、療養病棟入院基本料は医療区分とADL区分に応じた包括評価です。同じような状態の患者であっても、入院する病棟によって評価体系が異なることが、慢性期入院料の役割分担の観点から課題とされていました。
これまでの経緯:段階的に進められてきた評価の見直し
今回の廃用症候群に関する見直しは、障害者施設等入院基本料における累次の改定の流れを引き継ぐものです。療養病棟と障害者施設等入院基本料の双方に多く入院している患者については、過去の改定で段階的に療養病棟に準じた評価体系への見直しが行われてきました。
平成28年度改定では、重度の意識障害者(脳卒中の後遺症の患者に限る)のうち、医療区分1または2に相当する患者について、療養病棟入院基本料の評価体系を踏まえた評価が導入されました。続く令和4年度改定では、重度の意識障害を有さない脳卒中の患者についても、同様に療養病棟入院料の評価体系を踏まえた評価が導入されています。さらに令和6年度改定では、透析を実施する慢性腎臓病患者について、療養病棟入院基本料に準じた評価体系とする見直しが行われました。
令和8年度改定における廃用症候群の見直しは、こうした段階的な見直しの延長線上に位置づけられます。脳卒中の後遺症、脳卒中、慢性腎臓病に続き、廃用症候群が療養病棟に準じた評価の対象に加わることになります。
改定の具体的な内容:廃用症候群の患者を療養病棟に準じた評価に
今回の改定では、障害者施設等入院基本料の注13の算定要件が変更されます。現行の注13は、脳卒中または脳卒中の後遺症の患者を対象としていました。改定後は、この対象に廃用症候群の患者が追加されます。
具体的には、注13の対象患者が「脳卒中又は脳卒中の後遺症の患者」から「脳卒中、脳卒中の後遺症又は廃用症候群の患者」に拡大されます。この対象患者のうち、医療区分2または医療区分1に相当する患者については、通常の障害者施設等入院基本料ではなく、療養病棟に準じた点数で算定することになります。
改定後の除外要件も拡充されています。現行では、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等が除外対象でした。改定後は、これらに加えて「脳卒中又は廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)であった患者」が除外対象として明記されます。つまり、もともと重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者が廃用症候群を発症した場合は、引き続き従来どおりの障害者施設等入院基本料(出来高)で算定できます。
対象となる3つの入院料
この見直しは、障害者施設等入院基本料だけでなく、特殊疾患入院医療管理料と特殊疾患病棟入院料にも適用されます。3つの入院料に共通して、主傷病名が廃用症候群の患者について療養病棟に準じた評価が導入されます。
障害者施設等入院基本料は、個別の病態変動が大きく高額な薬剤や高度な処置が必要となる患者を対象とする入院料です。重度の肢体不自由児(者)、脊髄損傷等の重度障害者、重度の意識障害者、筋ジストロフィー患者、難病患者等が7割以上を占めることが施設基準となっています。特殊疾患入院医療管理料と特殊疾患病棟入院料は、処置内容や病態の変動はそれほど大きくないものの、医療の必要性が高い患者を対象としています。
3つの入院料に共通する除外要件として、廃用症候群を発症する以前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は対象外となります。この除外要件が設けられた背景には、実態調査のデータがあります。廃用症候群の患者のうち、身体障害者障害程度等級表の1級・2級に該当する患者は、療養病棟の患者と比べてより頻回な看護提供を必要とする割合が高いことが示されていました。このため、もともと重度の障害がある患者については、従来の評価体系を維持することが適切と判断されたのです。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、障害者施設等入院基本料、特殊疾患入院医療管理料、特殊疾患病棟入院料の3つの入院料において、廃用症候群の患者の評価が療養病棟に準じた評価に見直されます。この見直しは、廃用症候群の患者の状態が療養病棟と類似しているにもかかわらず請求点数に差があるという実態を踏まえたものです。ただし、廃用症候群の発症前から重度の肢体不自由児(者)に該当していた患者は除外されます。対象となる医療機関では、廃用症候群の患者の入院管理体制と算定方法の見直しが必要になります。
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【令和8年度改定】療養病棟入院基本料の見直し3つのポイント|医療区分の変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、療養病棟入院基本料について、患者の病態や医療資源投入量をより適切に反映させるため、医療区分2・3に該当する疾患・状態・処置等の内容が見直されます。あわせて、療養病棟入院料2における医療区分2・3の患者割合の要件も引き上げられます。
今回の見直しのポイントは3つです。第一に、感染症の治療に係る処置と他の処置を併せて行う場合に、医療区分3として評価されるようになります。第二に、非がん疾患に対する緩和ケアとして、末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全が医療区分2に追加されます。第三に、超重症児(者)・準超重症児(者)に該当する小児が、それぞれ医療区分3・2に追加されます。さらに、療養病棟入院料2の医療区分2・3の患者割合は、5割から6割に引き上げられます。
感染症処置と他の処置の併施による医療区分3の新設
第一のポイントは、処置に関する医療区分の引き上げです。従来、感染症の治療に係る処置(肺炎治療、尿路感染症治療など)は、いずれも医療区分2として評価されていました。今回の改定では、これらの感染症処置が創傷の治療等の他の処置と併せて行われている場合に、処置等に係る医療区分3として入院料を算定できるようになります。
この見直しの背景には、処置の複合的な実施に対する評価の適正化があります。医療区分2の処置には、肺炎と褥瘡のように合併しうる病態が含まれています。今回の改定では、これらの処置を「感染症の治療に係る処置」「創傷の治療に係る処置及び器具の管理等を伴う処置」「その他の処置」「リハビリテーション」の4カテゴリーに分類した上で、感染症の治療と創傷の治療等が合併した場合の医療資源投入量の増加を、医療区分3として適切に評価する仕組みが新たに導入されます。
具体的には、新設される「別表第五の三の二」の(1)と(2)の両方に該当する場合が、医療区分3の対象となります。(1)は感染症の治療に係る処置(肺炎治療、尿路感染症治療、脱水治療、頻回の嘔吐治療、経腸栄養)であり、(2)は創傷の治療に係る処置及び器具の管理等を伴う処置(褥瘡治療、末梢循環障害の開放創治療、創傷・感染症治療、中心静脈栄養、人工腎臓等、気管切開等)です。これらの処置をそれぞれ1つ以上同時に実施している場合に、医療区分3の算定が可能となります。
非がん疾患に対する緩和ケアの評価(医療区分2への追加)
第二のポイントは、非がん疾患に対する緩和ケアの評価です。従来、疾患・状態に係る医療区分2の対象は、悪性腫瘍に対する医療用麻薬等の薬剤投与による疼痛コントロールに限られていました。今回の改定では、悪性腫瘍以外の3つの末期疾患が、疾患・状態に係る医療区分2に新たに追加されます。
追加される3つの疾患は、末期呼吸器疾患、末期心不全、末期腎不全です。末期呼吸器疾患は、適切な治療が実施されているにもかかわらずヒュー・ジョーンズの分類がⅤ度の状態に該当し、呼吸困難に対して医療用麻薬の投与によるコントロールが必要な状態をいいます。末期心不全は、器質的な心機能障害により慢性的にNYHA重症度分類Ⅳ度の症状に該当し、頻回もしくは持続的に医療用麻薬の投与またはその他の点滴薬物療法による苦痛・症状のコントロールが必要な状態をいいます。末期腎不全は、慢性的に日本腎臓学会慢性腎臓病重症度分類Stage G5以上に該当し、腎代替療法を必要とする状態であるが透析療法の開始・継続が困難であり、医療用麻薬等の投与による苦痛のコントロールが必要な状態をいいます。
このように、3疾患とも「適切な治療にもかかわらず末期の状態にあること」と「医療用麻薬等による苦痛・症状のコントロールが必要であること」が共通の要件です。この見直しにより、療養病棟においても非がん疾患の終末期患者に対する緩和ケアが適切に評価されることになります。
超重症児(者)・準超重症児(者)の受入れに対する評価
第三のポイントは、医療的ケア児の受入れに対する評価です。今回の改定では、超重症児(者)入院診療加算の基準に該当する小児について、療養病棟入院基本料の医療区分に新たに位置づけられます。
具体的には、15歳未満の小児患者のうち、超重症の状態にある者が疾患・状態に係る医療区分3に追加されます。同様に、15歳未満の小児患者のうち、準超重症の状態にある者が疾患・状態に係る医療区分2に追加されます。ここでいう超重症・準超重症の状態とは、区分番号A212に掲げる超重症児(者)入院診療加算・準超重症児(者)入院診療加算の注1・注2にそれぞれ規定する状態を指します。
この見直しにより、療養病棟における医療的ケアが必要な小児の受入れが、医療区分の仕組みの中で適切に評価されるようになります。
療養病棟入院料2の医療区分2・3患者割合の引き上げ
上記3つの見直しに加え、療養病棟入院料2における施設基準も変更されます。医療区分2・3の患者割合の要件が、現行の5割以上から6割以上に引き上げられます。
この引き上げは、より医療の必要性が高い患者の受入れを推進する観点から行われます。ただし、現に療養病棟入院料2を届け出ている保険医療機関については、令和8年9月30日までの経過措置が設けられます。令和8年3月31日時点で療養病棟入院料2を届け出ている医療機関は、同年9月30日までの間、新たな6割要件を満たしているものとみなされます。
まとめ
令和8年度改定における療養病棟入院基本料の見直しは、3つの柱で構成されています。第一に、感染症処置と他の処置の併施を医療区分3として評価する仕組みが新設されます。第二に、末期呼吸器疾患・末期心不全・末期腎不全の3疾患が非がん緩和ケアとして医療区分2に追加されます。第三に、超重症児(者)・準超重症児(者)に該当する小児がそれぞれ医療区分3・2に追加されます。さらに、療養病棟入院料2の医療区分2・3患者割合は5割から6割に引き上げられ、令和8年9月30日までの経過措置が設けられます。療養病棟を運営する医療機関は、医療区分の変更に伴う算定の見直しと、患者割合要件への対応を早期に進める必要があります。
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【令和8年度改定】回復期リハビリテーション病棟入院料の9つの変更点を徹底解説
令和8年度診療報酬改定では、より質の高い回復期リハビリテーション医療を推進する観点から、回復期リハビリテーション病棟入院料等の施設基準と要件が大幅に見直されました。この改定は、回復期リハビリテーション病棟入院料、回復期リハビリテーション入院医療管理料、および特定機能病院リハビリテーション病棟入院料の3つを対象としています。
今回の改定では、主に9つの変更が行われました。第一に、入院料1を対象とした「回復期リハビリテーション強化体制加算」が新設されました。第二に、重症患者の基準が見直され、高次脳機能障害と脊髄損傷の患者が追加されました。第三に、入院料2と4にも実績指数の基準が新たに設けられました。第四に、FIMによる測定が望ましいとされました。第五に、退院前訪問指導料が出来高で算定可能になりました。第六に、FIM研修会の開催が入院料1~4の要件に拡大されました。第七に、地域支援事業への参加が入院料1~4を対象に拡大されました。第八に、口腔管理の体制整備が入院料3・4でも望ましいとされました。第九に、土曜日・休日のリハビリテーション提供体制が入院料1~4すべてで要件化されました。以下、各変更点と入院料の点数変更を詳しく解説します。
1. 回復期リハビリテーション強化体制加算の新設(80点/日)
入院料1を届け出ている病棟を対象に、回復期リハビリテーション強化体制加算(80点/日)が新設されました。この加算は、質の高いリハビリテーション医療を提供する病棟を評価するものです。
この加算の施設基準は、4つの要件で構成されています。1つ目は、回復期リハビリテーション病棟入院料1の施設基準を満たしていることです。2つ目は、リハビリテーション実績指数が48以上であることです。3つ目は、退院前訪問指導について十分な実績を有していることです。4つ目は、排尿自立支援加算の届出を行っている保険医療機関であることです。
この加算の実績指数48以上という基準は、入院料1の実績指数42以上をさらに上回る水準です。排尿自立支援加算については、入院料1の届出病棟での届出率が30.2%にとどまっていた背景があります。加算の算定を目指す医療機関は、実績指数の向上と排尿自立支援加算の届出の両面で準備が必要です。
2. 重症患者の基準の見直し
重症患者の基準について、対象患者の範囲と要件の両面で見直しが行われました。
対象患者の範囲については、従来の日常生活機能評価10点以上またはFIM得点55点以下に加え、高次脳機能障害と診断された患者および脊髄損傷と診断された患者が新たに重症患者の対象に追加されました。この追加は、回復期リハビリテーション病棟における高次脳機能障害患者が一定数存在し、支援に係る情報提供の不足や障害福祉関連機関とのネットワークの希薄さが指摘されていたことを踏まえたものです。なお、FIM得点については、従来の「55点以下」から「21点以上55点以下」に変更され、FIMの測定により適合していることが望ましいとされました。
重症患者の改善割合に係る要件については、削除されました。従来、入院料1・2では重症患者の3割以上が退院時に日常生活機能またはFIMが改善していることが求められていましたが、この要件は廃止されます。入院料3・4および入院医療管理料においても、同様に改善割合の要件は削除されました。
3. 重症患者割合と実績指数の基準の見直し
入院料1~4、入院医療管理料および特定機能病院リハビリテーション病棟入院料について、重症患者の新規受入割合基準とリハビリテーション実績指数の基準が見直されました。
重症患者の新規受入割合基準は、全体的に引き下げられました。入院料1・2では、従来の4割以上から3割5分以上に変更されました。入院料3・4では、従来の3割以上から2割5分以上に変更されました。入院医療管理料も同様に、3割以上から2割5分以上に変更されました。特定機能病院リハビリテーション病棟入院料では、5割以上から4割5分以上に変更されました。この引き下げは、高次脳機能障害と脊髄損傷の患者を重症患者に追加したことに伴う調整と考えられます。
リハビリテーション実績指数の基準は、引き上げと適用拡大が行われました。入院料1では、従来の40以上から42以上に引き上げられました。入院料3では、従来の35以上から37以上に引き上げられました。特定機能病院リハビリテーション病棟入院料でも、40以上から42以上に引き上げられました。加えて、入院料2には32以上、入院料4にも32以上の実績指数の基準が新たに設定されました。従来、入院料2と4には実績指数の要件がありませんでしたが、これにより全入院料に実績指数の基準が設けられたことになります。
この実績指数の適用拡大は、入院料2・4において実績指数が低い病棟が存在していたことを踏まえた対応です。入院料2と4について、令和8年3月31日時点で届出を行っている病棟には、令和8年9月30日までの経過措置が設けられています。
4. FIM測定の推奨
日常生活機能評価またはFIMの測定が求められているものについて、FIMによる測定が望ましいこととされました。
具体的には、入退院時および定期的(2週間に1回以上)の測定において、FIMを用いることが望ましいとされました。従来の算定要件では、日常生活機能評価またはFIMの測定が求められていましたが、FIMの優先は明記されていませんでした。今回の改定により、入退院時・定期測定のいずれにおいても、FIMの使用が推奨されます。
この変更の背景には、日常生活機能評価表が重症患者の判定と改善度合いの測定のみに用いられていたのに対し、FIMは実績指数の算出にも必須であるという運用上の違いがあります。FIMへの統一を進めることで、現場の負担軽減が期待されます。
5. 退院前訪問指導料の出来高算定と併算定制限
退院前訪問指導料が出来高にて算定できることとされました。従来、回復期リハビリテーション病棟入院料の包括範囲に含まれていた退院前訪問指導料が、出来高で別途算定可能になります。
この見直しの背景には、回復期リハビリテーション病棟における退院前訪問指導の実施割合が3~5%にとどまっていた実態があります。退院前訪問指導は多職種が関わって約半日を費やす負担の大きい業務であり、包括評価では労力に見合わないとの指摘がありました。出来高算定が可能になることで、実施のインセンティブが高まります。
ただし、退院前訪問指導料とリハビリテーション総合計画評価料(H003-2)の注3に規定する入院時訪問指導加算との併算定はできません。この併算定制限は、退院前訪問指導料の算定要件
【令和8年度改定】地域包括医療病棟が3つの入院料に再編|点数・要件の変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、地域包括医療病棟入院料が大幅に見直されます。令和6年度改定で新設されたこの病棟は、高齢者の中等症救急疾患の受け皿として期待されていますが、厳しい施設基準が届出の障壁となっていました。今回の改定では、高齢者の生理学的特徴と診療実態を踏まえ、入院料の体系、施設基準、加算の3つの領域で見直しが行われます。
今回の見直しのポイントは3つです。第一に、入院料が手術・緊急入院の有無と急性期病棟の併設状況に応じて再編されます。第二に、リハビリテーション・栄養・口腔連携加算が2段階(110点・50点)に見直されます。第三に、平均在院日数や重症度、医療・看護必要度の基準が、85歳以上の患者割合を考慮して緩和されます。
入院料の再編:手術・緊急入院の有無と急性期病棟併設状況で区分化
地域包括医療病棟入院料は、現行の一律3,050点から、「入院料1」と「入院料2」の2つに分かれます。さらに、各入院料の中に「入院料1」「入院料2」「入院料3」の3区分が設けられます(以下、混同を避けるため、上位区分をカッコ付きの「入院料1」「入院料2」、下位区分を「イ・ロ・ハ」と表記します)。
「入院料1」は、院内に一般病棟入院基本料を算定する病棟を有していないことが施設基準に含まれます。点数は、イ(入院料1)が3,367点、ロ(入院料2)が3,267点、ハ(入院料3)が3,117点です。急性期病棟を併設しない医療機関は、包括期の病棟のみで救急患者の受入から治療までを一貫して担う必要があります。その負担を考慮し、「入院料2」よりも高い点数が設定されました。
「入院料2」は、「入院料1」のイからネまでの施設基準を満たすものが対象です。「入院料1」と異なり、一般病棟入院基本料を算定する病棟の有無は問われません。点数は、イ(入院料1)が3,316点、ロ(入院料2)が3,216点、ハ(入院料3)が3,066点です。結果として、院内に急性期病棟を持つ医療機関は「入院料1」の要件を満たさないため「入院料2」を算定することになります。
イ・ロ・ハの3区分は、緊急入院の有無と手術の実施状況によって決まります。イ(入院料1)は、緊急入院の患者であって、入院時の主傷病に対して入院中に手術を実施しないものが対象です。ロ(入院料2)は、緊急入院かつ手術を実施するもの、または予定入院かつ手術を実施しないものが対象です。ハ(入院料3)は、予定入院かつ手術を実施するものが対象です。
この区分の背景には、医療資源投入量の実態があります。中医協の審議資料(入院医療等の調査・評価分科会)によると、手術のない緊急入院の患者は手術を行う予定入院の患者と比べて、包括範囲内の出来高実績点数が平均で約440点高いことが示されています。地域包括医療病棟で頻度の高い誤嚥性肺炎や尿路感染症などの内科系疾患は、手術を伴わない緊急入院が大半を占めます。こうした疾患では、包括される点数の割合が高い一方で、出来高で算定できる医療が少ないという構造的な課題がありました。今回の区分化により、この不均衡が是正されます。
リハ・栄養・口腔連携加算の2段階化:加算1は110点、加算2は50点
リハビリテーション・栄養・口腔連携加算は、現行の一律80点から、加算1(110点)と加算2(50点)の2段階に見直されます。
加算1(110点)は、より充実した体制のもとでリハビリテーション・栄養管理・口腔管理を一体的に実施する場合に算定できます。現行の80点から30点の引き上げとなり、多職種による包括的な取組を積極的に行う医療機関の評価が強化されます。
加算2(50点)は、加算1の要件を満たさない場合でも、一定の体制を整備して取り組む医療機関が算定できる区分です。この新設により、段階的に体制を整備しようとする医療機関にも算定の道が開かれました。
算定期間は、リハビリテーション・栄養管理・口腔管理に係る計画を作成した日から起算して14日を限度とする点は、現行と変わりません。栄養サポートチーム加算との併算定ができない点も同様です。
施設基準の緩和:85歳以上の患者割合に配慮した新たな基準
施設基準は、平均在院日数、ADL低下割合、重症度・医療・看護必要度の3項目で見直されます。
平均在院日数は、現行の「21日以内」から「20日以内を原則とし、85歳以上の患者の割合が2割を増すごとに1日を加えた日数以内」に変更されます。中医協の審議資料によると、85歳以上の高齢者は85歳未満の患者と比較して在院日数の中央値が5~6日長く、高齢であること自体が在院日数延長の独立した危険因子とされています。この変更により、85歳以上の患者を多く受け入れる医療機関ほど基準が段階的に緩和されます。たとえば、85歳以上の患者割合が2割の場合は21日以内、4割の場合は22日以内が基準となります。
ADL低下割合についても、85歳以上の患者割合に応じた基準の緩和が行われます。改定資料には「退院時のADLが低下したものの割合について、85歳以上の患者の割合に応じて基準を緩和する」との方針が示されています。ただし、具体的な数値は個別改定項目の資料には記載されておらず、告示・通知で詳細が示される見込みです。中医協の審議資料では、85歳以上の高齢者や要介護認定者はADLが低下する割合が高い傾向にあること、約40%の地域包括医療病棟でADL低下患者が5%を超えていることが報告されており、こうした実態を踏まえた見直しとなります。
重症度、医療・看護必要度は、評価方法が「割合」から「指数」に変更されます。必要度Ⅰは現行の「基準を満たす患者を16%以上入院させる」から「基準を満たす患者の割合に係る指数が19%以上」に変わります。必要度Ⅱは現行の「15%以上」から「指数18%以上」に変わります。地域包括医療病棟で頻度の高い誤嚥性肺炎や尿路感染症などの内科系疾患は、A項目やC項目の点数が低い傾向にあります。指数への変更により、こうした疾患を多く診療する病棟の特性がより適切に反映されるようになります。
まとめ
令和8年度改定では、地域包括医療病棟が3つの観点から見直されます。入院料は手術・緊急入院の有無と急性期病棟の併設状況に応じて区分化され、最高3,367点(入院料1・イ)から最低3,066点(入院料2・ハ)まで、診療内容に応じた評価が行われます。リハ・栄養・口腔連携加算は110点と50点の2段階となり、体制の充実度に応じた評価が可能になります。施設基準では、85歳以上の患者割合に配慮した平均在院日数やADL低下割合の基準緩和、重症度・医療・看護必要度の指数化が実施されます。これらの見直しにより、高齢者の中等症救急疾患の受け皿としての機能がより発揮されるこ
【令和8年度改定】ICU・HCU・救命救急・SCUはこう変わる|区分統合・実績要件・点数を一覧解説
令和8年度診療報酬改定では、高度急性期入院医療を担う4つの管理料が一斉に見直されます。この見直しは、個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」の⑤~⑧に該当するものです。いずれの管理料にも共通するのは、病院が担う医療機能の「実績」に応じた評価を行うという方向性です。
今回の見直しは、4つの管理料にまたがる大きな改定です。特定集中治療室管理料(ICU)は6区分から3区分に簡素化され、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件が新設されます。ハイケアユニット入院医療管理料(HCU)にも同様の実績要件が加わり、点数が引き上げられます。救命救急入院料は4区分から2区分に統合され、番号体系が再編されます。脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU)には、超急性期治療の実績要件が新設されます。以下、各管理料の見直し内容をサマリーとして整理します。
⑤ 特定集中治療室管理料の見直し|6区分から3区分へ、7つの変更点
特定集中治療室管理料の見直しは、7つの変更項目で構成される大幅な改定です。最大の変更は、広範囲熱傷の区分統合による6区分から3区分への簡素化と、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件の新設です。
救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件は、管理料1の施設基準に追加されます(管理料2・3には適用されません)。救急搬送件数年間1,000件以上、全身麻酔手術件数年間1,000件以上、小児関連病床が5割以上の病院では全身麻酔手術件数年間500件以上、のいずれかを満たすことが求められます。医療資源の少ない地域では、救急搬送・全身麻酔手術はそれぞれ年間800件以上、小児関連病院は年間400件以上に緩和されます。
区分の統合では、広範囲熱傷の有無で分かれていた6区分が3区分に整理されます。広範囲熱傷への対応は「広範囲熱傷管理加算」(200点)として独立します。管理料1の点数は、7日以内が14,406点から14,980点に、8日以上が12,828点から13,371点にそれぞれ引き上げられます。
宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準も見直されます。改定後の管理料2では、宿日直医師を含む専任医師が原則として治療室内に常時勤務することが要件となります。管理料1では「治療室勤務の医師」から「治療室専任の医師」に変更され、宿日直を行わないことがより明確になります。
重症度、医療・看護必要度には「蘇生術の施行」「抗不整脈剤の使用」「一時的ペーシング」の3項目が追加されます。SOFAスコアの患者割合要件は1割から2割に引き上げられます。特定機能病院での重症患者対応体制強化加算の算定拡大、遠隔集中治療の地域要件緩和も行われます。実績要件とSOFAスコア要件には令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。
詳しくは「【令和8年度改定】特定集中治療室管理料が6区分→3区分へ|7つの変更点を解説」をご覧ください。
⑥ ハイケアユニット入院医療管理料の見直し|実績要件・必要度・点数の3本柱
ハイケアユニット入院医療管理料の見直しは、実績要件の新設、重症度・医療看護必要度の見直し、点数引き上げの3つで構成されています。
実績要件は、HCU管理料1・2の両方に適用されます。救急搬送件数年間1,000件以上、全身麻酔手術件数年間500件以上、小児系特定入院料の病床が5割以上の病院では全身麻酔手術件数年間250件以上、のいずれかを満たすことが求められます。医療資源の少ない地域では、救急搬送件数は年間800件以上、全身麻酔手術件数は年間400件以上、小児病院は年間200件以上にそれぞれ緩和されます。
重症度、医療・看護必要度では、「抗不整脈剤の使用(注射剤)」と「一時的ペーシング」の2項目が追加されます。基準①の該当患者割合はHCU管理料1・2ともに1割5分から2割に引き上げられます。
点数は、HCU管理料1が6,889点から7,202点に、HCU管理料2が4,250点から4,501点にそれぞれ引き上げられます。実績要件を満たせない既存届出治療室に対しては、注5による救済措置(4,401点を21日限度で算定可能)が新設されました。実績要件と重症度基準の両方に、令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。
詳しくは「【令和8年度改定】HCU入院医療管理料の3つの見直しポイント|実績要件・必要度・点数を解説」をご覧ください。
⑦ 救命救急入院料の見直し|4区分から2区分へ、番号体系を再編
救命救急入院料の見直しは、4区分から2区分への統合と番号体系の再編が最大の変更点です。広範囲熱傷の区分(入院料3・4)が廃止され、「広範囲熱傷管理加算」(200点)に移行します。
番号体系の再編では、現行の入院料2(2対1看護)が新しい「入院料1」に、現行の入院料1(4対1看護)が新しい「入院料2」に再編されます。番号と看護体制の対応関係が変わる点に注意が必要です。
点数は、同じ看護体制で比較するといずれも引き上げられます。2対1看護の体制(現行:入院料2→改定後:入院料1)では、3日以内が11,847点から12,379点に、4日以上7日以内が10,731点から11,240点に、8日以上が9,413点から9,894点に引き上げられます。4対1看護の体制(現行:入院料1→改定後:入院料2)でも、3日以内が10,268点から10,623点に、4日以上7日以内が9,292点から9,629点に、8日以上が7,934点から8,469点に引き上げられます。
現行の入院料1を届け出ている医療機関は改定後「入院料2」に、現行の入院料2を届け出ている医療機関は改定後「入院料1」に移行します。広範囲熱傷の区分(入院料3・4)を届け出ている医療機関は、移行先の入院料に加えて「広範囲熱傷管理加算」の届出に切り替えます。
詳しくは「【令和8年度改定】救命救急入院料が4区分から2区分へ|点数・施設基準の変更点を解説」をご覧ください。
⑧ 脳卒中ケアユニット入院医療
【令和8年度改定】脳卒中ケアユニット入院医療管理料に実績要件が新設|年間20回以上が必須に
令和8年度診療報酬改定において、脳卒中ケアユニット入院医療管理料(SCU管理料)の施設基準が見直されます。今回の見直しでは、脳卒中の超急性期治療に関する実績要件が新たに追加されました。SCU管理料を届け出ている病院、および今後届出を検討している病院は、新要件への対応が必要です。
今回の見直しのポイントは3つあります。第一に、「超急性期脳卒中加算」と「経皮的脳血栓回収術」の算定実績を合計して年間20回以上という要件が新設されます。第二に、この見直しの背景には、SCUを有する病院間で超急性期治療の実績に大きな差がある現状があります。第三に、既存の届出病院には令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。
見直しの背景|SCU病院間で超急性期治療の実績に大きな差
今回の見直しの背景には、SCU管理料を算定する病院間で、超急性期治療の実績に大きな差があるという課題がありました。
脳卒中の医療体制の構築においては、「脳梗塞に対する超急性期の再開通治療」が重要とされています。再開通治療とは、脳梗塞を発症した患者に対して、血栓溶解療法(rt-PA療法)や血栓回収術によって詰まった血管を再開通させる治療のことです。この再開通治療の恩恵を住民ができる限り公平に享受できるようにすることが、脳卒中医療体制の目標とされています。
しかし、SCU管理料を算定する病院を調査したところ、超急性期脳卒中加算や経皮的脳血栓回収術の実績に大きなばらつきがありました。中医協の審議資料(DPCデータ:令和5年4月~令和6年3月)によれば、SCU管理料の算定患者に対する超急性期脳卒中加算の算定がゼロの病院が2施設、経皮的脳血栓回収術の算定がゼロの病院が7施設存在していました。さらに、病院全体でみても、超急性期脳卒中加算の算定がゼロの病院が1施設、経皮的脳血栓回収術の算定がゼロの病院が6施設あり、これらの治療の算定回数が少数にとどまる病院も一定数ありました。
こうした実績の差は、SCU算定患者への医療の質にも影響を与えていました。同じ中医協の審議資料によれば、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の病院全体の算定回数合計が多い病院ほど、SCU算定患者の救急搬送入院患者の割合、1症例1日あたり医療資源投入量、1症例あたり手術・処置の出来高点数がいずれも高い傾向にありました。
こうした状況を踏まえ、中医協では「SCUに求められる機能を果たしている病院が保有すべきユニットであることを明確にし、実績に応じた評価とすべき」との方向性が示されました。
改定の具体的内容|超急性期治療の合計年間20回以上が施設基準に追加
今回の改定では、SCU管理料の施設基準に、超急性期の再開通治療に関する実績要件が新たに追加されます。
新設される施設基準の内容は、「超急性期脳卒中加算(A205-2)」と「経皮的脳血栓回収術(K178-4)」を合計して年間20回以上算定していることです。この2つの算定項目は、いずれも脳梗塞に対する超急性期の再開通治療に関するものです。
超急性期脳卒中加算は、脳梗塞発症後の超急性期にrt-PA(血栓溶解薬)を投与した場合に算定できる加算です。経皮的脳血栓回収術は、カテーテルを用いて脳血管内の血栓を物理的に回収する手術です。これら2つの治療を合算して年間20回以上の実績が求められることになります。
経過措置|既存届出病院は令和8年12月31日まで猶予
既にSCU管理料を届け出ている病院に対しては、経過措置が設けられています。
経過措置の内容は、令和8年3月31日時点で現にSCU管理料の届出を行っている治療室について、令和8年12月31日までの間に限り、新設された実績要件を満たしているものとみなすというものです。つまり、既存の届出病院には約9か月間の猶予期間が与えられます。
この経過措置の期間内に、対象となる病院は年間20回以上の実績を確保するか、届出の継続について判断する必要があります。
まとめ
令和8年度改定では、脳卒中ケアユニット入院医療管理料の施設基準に、超急性期脳卒中加算と経皮的脳血栓回収術の合計年間20回以上の実績要件が新設されます。この見直しの背景には、SCU病院間で超急性期治療の実績に大きな差がある現状があります。既存の届出病院には令和8年12月31日までの経過措置がありますが、この期間内に実績の確保または届出継続の判断が必要です。SCU管理料を届け出ている病院は、自院の超急性期治療の実績を早期に確認し、対応を検討してください。
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【令和8年度改定】救命救急入院料が4区分から2区分へ|点数・施設基準の変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、救命救急入院料の評価体系が大きく見直されます。従来の4区分(入院料1~4)が2区分(入院料1・2)に統合されます。この見直しは、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無で分かれていた区分を簡素化することが目的です。
今回の見直しのポイントは3つです。第1に、入院料3・4が廃止され、広範囲熱傷への対応は新設の「広範囲熱傷管理加算」(200点)に移行します。第2に、番号体系が再編され、2対1看護の体制が新しい「入院料1」、4対1看護の体制が新しい「入院料2」となります。第3に、同じ看護体制で比較すると、いずれの区分も点数が引き上げられます。
区分統合の全体像:4区分から2区分へ
今回の改定では、救命救急入院料1~4の4区分が、入院料1・2の2区分に統合されます。この統合の背景には、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無だけで区分が分かれていた評価体系の複雑さがあります。
現行の救命救急入院料は、看護配置が4対1の入院料1・3と、2対1の入院料2・4の2系統に分かれています。このうち入院料3は入院料1に広範囲熱傷の体制を加えたもの、入院料4は入院料2に同じく広範囲熱傷の体制を加えたものです。つまり、入院料1と3、入院料2と4は、広範囲熱傷への対応の有無だけが異なる関係にありました。
改定後は、この広範囲熱傷の区分が廃止され、番号体系も再編されます。現行の入院料2・4(2対1看護)の体制が新しい「入院料1」に、現行の入院料1・3(4対1看護)の体制が新しい「入院料2」に再編されます。広範囲熱傷患者への対応は、別途新設される加算で評価する仕組みに変わります。番号と看護体制の対応関係が変わる点に注意が必要です。
点数の変更:同じ体制で比較するといずれも引き上げ
新しい入院料1・2の点数は、同じ看護体制で比較すると、いずれも現行より引き上げられます。ただし、番号体系が再編されているため、単純に同じ番号同士で比較すると実態を見誤ります。以下に、看護体制ごとの改定前後の点数を示します。
2対1看護の体制(現行:入院料2 → 改定後:入院料1)の点数は次のとおりです。3日以内は11,847点から12,379点に(+532点)、4日以上7日以内は10,731点から11,240点に(+509点)、8日以上は9,413点から9,894点に(+481点)引き上げられます。
4対1看護の体制(現行:入院料1 → 改定後:入院料2)の点数は次のとおりです。3日以内は10,268点から10,623点に(+355点)、4日以上7日以内は9,292点から9,629点に(+337点)、8日以上は7,934点から8,469点に(+535点)引き上げられます。
改定後は、看護体制の手厚い順に「入院料1(2対1)>入院料2(4対1)」という番号体系になります。この構造は、体制が手厚いほど高い点数が設定されるという原則に沿ったものです。現行では2対1の体制が「入院料2」という番号でしたが、改定後はこれが「入院料1」に変わります。
広範囲熱傷管理加算の新設:入院料3・4に代わる評価
入院料3・4の廃止に伴い、広範囲熱傷患者への対応は「広範囲熱傷管理加算」として新たに評価されます。この加算は、入院日から起算して8日以降60日までの期間に限り、1日につき200点を所定点数に加算するものです。
広範囲熱傷管理加算を算定するには、別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす必要があります。具体的には、広範囲熱傷特定集中治療を行うにふさわしい治療室を有しており、1床当たり15平方メートル以上の広さがあること、当該保険医療機関に広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤の医師が勤務していること、の2点です。これらの要件は、現行の入院料3・4の施設基準から引き継がれたものです。
広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な患者の算定日数上限も変わりません。広範囲熱傷管理加算を算定する患者は、従来どおり入院料の所定点数を最長60日まで算定できます。
施設基準の変更:番号再編に伴う要件の整理
施設基準は、番号体系の再編に合わせて整理されています。重要な変更点は、改定後の入院料1に、特定集中治療室管理料の基準が明示的に求められるようになった点です。
改定後の入院料1(2対1看護)は、現行の入院料2に対応する施設基準をベースとしつつ、新たに「特定集中治療室管理料1の(6)から(8)まで及び(11)並びに特定集中治療室管理料2の(2)及び(5)の施設基準を満たすこと」が要件として明記されました。現行の入院料2でも特定集中治療室管理料1又は3の基準を満たす必要がありましたが、改定後は参照する基準の範囲が整理されています。
改定後の入院料2(4対1看護)は、入院料1の基準の一部を満たした上で、ハイケアユニット用の重症度、医療・看護必要度の測定・評価を行うことが求められます。この要件は、現行の入院料1で求められていた内容と同様です。
また、入院料1の医師配置に関する表現も変更されます。現行の「当該治療室勤務の医師」が「当該治療室専任の医師」に改められ、治療室への専従性がより明確になります。
届出の対応:現行区分ごとの移行先
番号体系が再編されるため、現行の届出区分ごとに、改定後の移行先を正しく把握する必要があります。
現行の入院料1(4対1看護)を届け出ている医療機関は、改定後は「入院料2」に移行します。現行の入院料2(2対1看護)を届け出ている医療機関は、改定後は「入院料1」に移行します。いずれも看護体制は変わりませんが、届出上の番号が変わります。
現行の入院料3(入院料1+広範囲熱傷)を届け出ている医療機関は、改定後は「入院料2」+「広範囲熱傷管理加算」の届出に切り替えます。現行の入院料4(入院料2+広範囲熱傷)を届け出ている医療機関は、改定後は「入院料1」+「広範囲熱傷管理加算」の届出に切り替えます。
まとめ
令和8年度改定における救命救急入院料の見直しは、4区分から2区分への統合と番号体系の再編が最大の変更点です。広範囲熱傷の区分(入院料3・4)は廃止され、代わりに広範囲熱傷管理加算(200点)が新設されます。番号体系は、2対1看護が「入院料1」、4対1看護が「入院料2」に再編されるため、現行の入院料1を届け出ている医療機関は「入院料2」に、現行の入院料2を届け出ている医療機関は「入院料1」に移行する形になります。点数は同じ看護体制で比較するといずれも引き上げとなるため、実質的な引き下げはありません。施設基準の変更内容を確認の上、届出の切り替え準備を進める必要があります。
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【令和8年度改定】HCU入院医療管理料の3つの見直しポイント|実績要件・必要度・点数を解説
令和8年度診療報酬改定では、ハイケアユニット(HCU)を有する病院が担う医療機能の実績に応じた評価を行う観点から、ハイケアユニット入院医療管理料が見直されます。今回の見直しは、救急搬送件数や全身麻酔手術件数の実績要件の新設、重症度、医療・看護必要度の項目追加と基準値変更、点数の引き上げという3つの柱で構成されています。
今回の改定では、HCU管理料1が6,889点から7,202点に、HCU管理料2が4,250点から4,501点にそれぞれ引き上げられます。一方で、救急搬送年間1,000件以上または全身麻酔手術年間500件以上という病院実績の要件が新たに加わります。重症度、医療・看護必要度については、「抗不整脈剤の使用(注射剤)」と「一時的ペーシング」の2項目が追加され、基準①の該当患者割合が1割5分から2割に引き上げられます。なお、実績要件には令和8年12月31日までの経過措置が設けられています。
救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件が新設
今回の改定で最も大きな変更点は、HCU管理料の施設基準に病院の実績要件が新設されたことです。HCUの役割が重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後患者に密度の高い医学的管理を行うことにある、という考え方に基づく見直しです。この実績要件はHCU管理料1・2の両方に適用されます。
具体的な基準値は、次のいずれかを満たすこととされています。1つ目は、救急用の自動車または救急医療用ヘリコプターによる搬送件数が年間1,000件以上であることです。2つ目は、全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることです。3つ目は、小児系の特定入院料の届出病床数が許可病床数の5割以上を占める病院であって、全身麻酔による手術件数が年間250件以上であることです。
これらの基準値には、医療資源の少ない地域への配慮が設けられています。「基本診療料の施設基準等」の別表に掲げる地域に所在する病院では、救急搬送件数は年間800件以上、全身麻酔手術件数は年間400件以上(小児病院は年間200件以上)に緩和されます。
この実績要件が新設された背景には、HCUを有する病院の実態があります。DPCデータの分析によると、HCU管理料1を算定する692病院の年間全身麻酔実施件数の平均値は1,922.5件、中央値は1,524.5件でした。一方、年間全身麻酔実施件数500件未満の病院も87病院存在していました。今回の基準値は、こうした実態を踏まえて設定されたものです。
重症度、医療・看護必要度の項目追加と基準値変更
2つ目の見直しは、HCU用の重症度、医療・看護必要度に関するものです。この見直しは、項目の追加と基準値の変更の2つの内容で構成されています。
項目の追加では、Aモニタリング及び処置等に「抗不整脈剤の使用(注射剤)」と「一時的ペーシング」の2項目が新たに加わります。この2項目は、基準①の対象項目にも含まれます。追加の背景には、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者管理があります。これらの患者は、人工呼吸器の管理等を要さない場合であっても、致死性不整脈等のリスクに備えた厳格なモニタリングが必要です。しかし、現行の評価項目ではこうした管理が適切に反映されていませんでした。
基準値の変更では、基準①の該当患者割合がHCU管理料1・2ともに1割5分から2割に引き上げられます。基準②の該当患者割合は、HCU管理料1が8割、HCU管理料2が6割5分で変更ありません。DPCデータによるシミュレーションでは、基準①を2割に引き上げた場合、HCU管理料1の該当治療室割合は97.8%、HCU管理料2は100%となっており、大多数の治療室が基準を満たす見込みです。
注5の新設と経過措置
3つ目の見直しは、実績要件を満たせない場合の救済措置の新設と経過措置です。これらの措置により、基準を満たさない治療室への段階的な対応が図られています。
注5では、令和8年3月31日時点で改正前の特定集中治療室管理料またはHCU管理料の届出を行っている治療室であって、実績要件のみに適合しなくなった場合に、HCU管理料2のその他の施設基準を満たしていることを条件として、21日を限度に4,401点を算定できる仕組みが新設されました。つまり、注5は既存の届出治療室に限定された救済措置であり、新規に届出する治療室には適用されません。この注5は、実績要件の経過措置終了後も「当面の間」適用されるとされています。
経過措置は2つ設けられています。1つ目の経過措置は、実績要件に関するものです。令和8年3月31日時点で現にHCU管理料の届出を行っている治療室については、令和8年12月31日までの間、実績要件を満たしているものとみなされます。2つ目の経過措置は、重症度、医療・看護必要度に関するものです。令和8年3月31日時点で現にHCU管理料1または2の届出を行っている治療室であって、旧算定方法の基準を満たす治療室については、令和8年12月31日までの間、改定後の基準を満たすものとみなされます。
点数の引き上げ
今回の改定では、HCU管理料の点数も引き上げられています。HCU管理料1は6,889点から7,202点へ313点の増加、HCU管理料2は4,250点から4,501点へ251点の増加となります。この点数引き上げは、実績要件の新設によりHCUに求められる機能が明確化されたことに対応するものです。
まとめ
令和8年度改定におけるHCU入院医療管理料の見直しは、実績要件の新設、重症度・医療看護必要度の見直し、点数引き上げの3つで構成されています。実績要件として救急搬送年間1,000件以上または全身麻酔手術年間500件以上が新たに求められる一方、医療資源の少ない地域への配慮や注5による救済措置も設けられています。重症度、医療・看護必要度では「抗不整脈剤の使用」「一時的ペーシング」の2項目が追加され、基準①の患者割合が2割に引き上げられます。いずれの見直しにも令和8年12月31日までの経過措置が設けられていますので、届出医療機関は自院の実績を早期に確認し、対応を検討する必要があります。
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【令和8年度改定】急性期入院医療の4つの見直し|入院基本料・必要度・加算・特定機能病院を総整理
令和8年度診療報酬改定では、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携を推進するため、急性期入院医療の評価体系が大きく見直されます。個別改定項目「Ⅱ-1-1 患者のニーズ、病院の機能・特性、地域医療構想を踏まえた、医療提供体制の整備」の①~④は、いずれも病院の機能に着目した評価を強化する内容です。この記事では、これら4項目の全体像を解説します。
見直しの柱は4つあります。第1に、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を施設基準に組み込んだ「急性期病院一般入院基本料」がA・Bの2区分で新設されます。第2に、重症度、医療・看護必要度にA/C項目の追加と「救急患者応需係数」の新設が行われ、評価方法が大きく変わります。第3に、総合入院体制加算と急性期充実体制加算が統合され、「急性期総合体制加算」として5区分に再編されます。第4に、特定機能病院入院基本料がA・B・Cの3区分に再編され、病院の役割に応じた点数差が設けられます。
① 急性期病院一般入院基本料等の新設
急性期病院一般入院基本料は、病院の急性期機能を救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績で評価する新たな入院基本料です。従来の急性期一般入院基本料が病棟単位の看護配置や重症度、医療・看護必要度で評価してきたのに対し、今回は病院全体の機能を施設基準に反映させる点が大きく異なります。
急性期病院Aは1日につき1,930点で、高い急性期機能を持つ病院を評価します。体制要件として第二次救急医療体制等の設置と24時間の画像診断・検査体制が必要です。実績要件は、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上であり、いずれも満たす必要があります。看護配置は7対1、平均在院日数は16日以内です。
急性期病院Bは1日につき1,643点で、地域の急性期医療を担う病院を評価します。実績要件は4つの選択肢から1つを満たせばよい点が大きな特徴です。救急搬送年間1,500件以上、救急搬送年間500件以上かつ全身麻酔手術年間500件以上、人口20万人未満の医療圏で搬送件数最大かつ年間1,000件以上、離島医療圏で搬送件数最大のいずれかを選択できます。看護配置は10対1、平均在院日数は21日以内です。
精神病棟向けにも同様の枠組みで入院基本料が新設されます。経過措置として、地域包括医療病棟や地域包括ケア病棟の既存届出に対する猶予措置が設けられているほか、令和9年3月31日までは介護保険施設からの搬送を含めた全搬送件数を実績に算入できます。
詳細は、【令和8年度改定】急性期病院一般入院基本料が新設|A・Bの2区分と施設基準を解説をご覧ください。
② 重症度、医療・看護必要度の見直し
重症度、医療・看護必要度の見直しは、A/C項目の対象治療等の追加、救急患者応需係数の新設、B項目測定の柔軟化の3点が柱です。これらの見直しにより、従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更されます。経過措置は令和8年9月30日までです。
第1の見直しは、A項目・C項目の対象治療等の追加です。A項目「専門的な治療・処置」のうち「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)」にカルフィルゾミブ等の薬剤が追加されるほか、C項目では「救命等に係る内科的治療」「別に定める検査」「別に定める手術」の3区分で対象が拡充されます。内科系症例の適正評価を進めることが狙いです。
第2の見直しは、救急患者応需係数の新設です。病床あたり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数(上限10%)が基準該当割合に加算されます。割合指数は「従来の該当患者割合+救急患者応需係数」で算出されるため、救急搬送受入件数の多い病棟ほど割合指数が高くなります。シミュレーションでは、救急搬送数が多く手術なし症例の多い病棟で約9.2ポイントの上昇が見込まれています。
第3の見直しは、B項目の測定日の柔軟化です。毎日測定しない場合のルールとして、入院初日から4日目までの各日、5日目以降は7日ごとに1回以上、退院日の測定が認められます。測定日以外は直近の測定結果で代替できるため、看護師の事務負担が軽減されます。
詳細は、【令和8年度改定】重症度、医療・看護必要度の3つの見直しポイント|救急搬送加算・A/C項目追加・B項目測定をご覧ください。
③ 急性期総合体制加算の新設
急性期総合体制加算は、総合入院体制加算と急性期充実体制加算を統合して新設される5区分の加算です。旧2加算の施設基準が多くの点で重複しながら別々に運用されていた課題を解消し、「総合性」と「集積性」を一体的に評価します。
新設される5区分には、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入されます。加算1は14日間合計5,500点(7日以内530点、8~11日290点、12~14日210点)で、最も高い総合性と集積性が求められます。加算2は14日間合計4,660点、加算3は4,240点、加算4は3,390点と設定されています。旧制度では総合性の高い病院(旧総合入院体制加算1:14日間合計3,640点)が手術実績重視の加算(旧急性期充実体制加算1:4,240点)より低い評価となる逆転現象がありましたが、新制度ではこれが解消されます。
加算5は、人口20万人未満の地域への配慮を目的とした新設区分です。14日間合計2,760点で、地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料に関する届出制限が一部免除されます。人口の少ない地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院が、拠点的な機能を適切に評価されるための受け皿となります。
詳細は、【令和8年度改定】急性期総合体制加算を新設|5区分の点数・施設基準を解説をご覧ください。
④ 特定機能病院入院基本料の見直し
特定機能病院入院基本料は、全88病院に適用されていた一律の評価から、A・B・C(いずれも仮称)の3区分に再編されます。この見直しは、特定機能病院の承認基準が「基礎的基準」の有無に応じて3類型に変更されることに連動しています。
特定機能病院A(仮称)は、基礎的基準を満たす大
【令和8年度改定】特定集中治療室管理料が6区分→3区分へ|7つの変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、特定集中治療室管理料について大幅な見直しが行われます。この見直しは、特定集中治療室(ICU)を有する病院が担う医療機能の実績に応じた評価を行う観点から実施されるものです。現行の6区分体制では、広範囲熱傷の有無による区分分けが複雑な構造を生んでいました。今回の改定では、この構造を簡素化するとともに、病院の実績を反映した新たな要件が追加されます。
今回の見直しは、大きく7つの項目で構成されています。第1に、救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件が新設されます。第2に、宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準が見直されます。第3に、広範囲熱傷の区分が統合され、6区分から3区分に簡素化されます。第4に、重症度、医療・看護必要度の評価項目が追加されます。第5に、SOFAスコアの患者割合要件が1割から2割に引き上げられます。第6に、特定機能病院でも重症患者対応体制強化加算が算定可能になります。第7に、遠隔集中治療の支援加算における地域要件が緩和されます。以下、それぞれの変更点を詳しく解説します。
救急搬送件数・全身麻酔手術件数の実績要件の新設
特定集中治療室管理料1の施設基準に、救急搬送件数および全身麻酔手術件数に関する実績要件が新たに追加されます。この要件は、ICUを有する病院が重症の救急搬送患者や全身麻酔手術後患者に密度の高い医学的管理を行うという本来の役割を反映したものです。
具体的な要件は、以下のいずれかを満たすことです。1つ目は、救急搬送件数が年間1,000件以上であることです。2つ目は、全身麻酔による手術件数が年間1,000件以上であることです。3つ目は、小児関連の届出病床数が許可病床数の5割以上を占める病院であって、全身麻酔による手術件数が年間500件以上であることです。
これらの件数要件には、地域への配慮もなされています。「基本診療料の施設基準等」別表に掲げる地域(医療資源の少ない地域)に所在する病院では、1つ目と2つ目の要件は年間800件以上に、3つ目の要件は年間400件以上に緩和されます。
なお、この実績要件には経過措置が設けられています。令和8年3月31日時点で特定集中治療室管理料の届出を行っている治療室は、令和8年12月31日までの間、この要件を満たすものとみなされます。
宿日直医師を含む治療室の範囲・施設基準の見直し
医師配置に関する施設基準が見直されます。この見直しの背景には、令和6年度改定以降、宿日直医師を含む区分(旧管理料5・6)に届出を変更する医療機関が大幅に増加した実態があります。変更理由の約9割が「専任医師が宿日直勤務を行っており、交代勤務体制が組めないため」でした。
改定後の管理料2では、宿日直を行う医師を含む専任の医師が、原則として治療室内(離れる場合は院内の速やかに診療を開始できる場所)に常時勤務していることが要件となります。現行の管理料3では「治療室内」への常時配置が厳格に求められていましたが、改定後の管理料2では「速やかに診療を開始できる場所」も含まれるため、医師の配置場所はやや緩和されています。一方、宿日直医師の参加を認めた点が、現行の管理料3との大きな違いです。
また、管理料1では、専任の医師に関する規定が「当該治療室勤務の医師」から「当該治療室専任の医師」に変更されます。この変更により、管理料1の専任医師は宿日直を行わないことがより明確になります。改定後の管理料2の専任医師についても、治療室に勤務している時間帯は治療室以外での勤務を併せて行わないことが求められます。
改定後の管理料3についても注意が必要です。改定後の管理料3は、管理料2の施設基準(医師配置を含む)を満たすことが要件とされています。現行の管理料5では「宿日直医師を含む専任の医師が常時、保険医療機関内に勤務」すれば足りましたが、改定後の管理料3では「原則として治療室内」への勤務が求められます。現行の管理料5から改定後の管理料3に移行する医療機関にとっては、医師の配置場所に関する要件が厳しくなる可能性があるため、早めの体制確認が重要です。
6区分から3区分への簡素化と点数の変更
現行の6区分から3区分への統合が行われます。この統合は、広範囲熱傷特定集中治療管理料の有無によって分かれていた区分を整理するものです。
現行制度では、管理料1と管理料2(広範囲熱傷対応)、管理料3と管理料4(広範囲熱傷対応)、管理料5と管理料6(広範囲熱傷対応)の3ペア・6区分が存在していました。改定後は、広範囲熱傷の区分が独立した加算(広範囲熱傷管理加算:200点)として切り出され、管理料本体は3区分に整理されます。
改定後の点数は以下のとおりです。管理料1は、7日以内が14,980点(現行14,406点)、8日以上が13,371点(現行12,828点)です。管理料2は、7日以内が10,390点、8日以上が8,773点です。管理料3は、7日以内が9,390点、8日以上が7,770点です。管理料1では、7日以内で574点、8日以上で543点の増点となります。
広範囲熱傷管理加算は、広範囲熱傷特定集中治療管理が必要な患者に対し、入院日から起算して8日以降60日までの期間に限り、200点が所定点数に加算されます。この加算を算定するには、広範囲熱傷特定集中治療を行うにふさわしい治療室(1床当たり15平方メートル以上)と、広範囲熱傷特定集中治療を担当する常勤医師の配置が必要です。
なお、管理料本体の算定上限日数にも変更があります。現行制度では、広範囲熱傷の区分(管理料2・4・6)に入室した患者であれば60日まで管理料を算定できました。改定後は、「広範囲熱傷管理加算を算定する患者に限り」60日まで算定可能とされています。広範囲熱傷管理加算の届出がない治療室では、広範囲熱傷患者であっても管理料の算定上限は原則14日となる点に注意が必要です。
重症度、医療・看護必要度の評価項目の追加
特定集中治療室用の重症度、医療・看護必要度に3つの項目が追加されます。この追加は、急性冠症候群の治療後や心停止蘇生後の患者に必要な処置を適切に評価する観点から行われるものです。
追加される3項目は、「蘇生術の施行」「抗不整脈剤の使用」「一時的ペーシング」です。これらの項目は、ICUに入室する重症患者の状態をより正確に把握するために導入されます。特に、心停止蘇生後の患者や急性冠症候群の治療後の患者は、これらの処置を必要とする頻度が高いにもかかわらず、現行の評価項目では十分に反映されていませんでした。
SOFAスコアの患者割合要件の引き上げ
入室時のSOFAスコアが一定以上である患者割合の要件が、現行の1割
【令和8年度改定】特定機能病院入院基本料がA・B・Cの3区分に再編|点数と施設基準を解説
令和8年度診療報酬改定では、特定機能病院入院基本料の評価区分が見直されます。現行では特定機能病院88病院すべてに同一の入院基本料が適用されていますが、改定後は「特定機能病院A」「特定機能病院B」「特定機能病院C」(いずれも仮称)の3区分に再編されます。この見直しは、特定機能病院の承認基準の変更に連動したものです。
今回の見直しのポイントは3つあります。第一に、特定機能病院が果たす役割や機能の違いに応じて、入院基本料が3区分に分かれます。第二に、3区分すべてで現行より点数が引き上げられますが、区分間で最大130点の差が設けられます。第三に、各区分の施設基準は、医療法施行規則の改正による新たな承認要件と連動します。なお、A・B・Cの名称は仮称であり、正式名称は令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定です。
見直しの背景:特定機能病院の承認要件が3類型に
今回の入院基本料の見直しは、特定機能病院の承認要件の変更がきっかけです。現行制度では、特定機能病院88病院はすべて同じ承認要件で運用されています。しかし、実際には大学病院本院(79病院)、ナショナルセンター等(4病院)、その他の病院(5病院)の3類型が存在し、果たす役割や機能は病院ごとに異なっています。
この役割の違いを評価するため、承認要件に新たな「基礎的基準」が設けられました。基礎的基準は、大学病院本院を念頭に、現在の承認要件に加えて「地域医療への人的協力」や「政策医療向上の取組」などの要件を求めるものです。ナショナルセンター等は、全国の医師等に対する高度な教育・研修を行っていることから、大学病院本院に準ずる役割を果たしていると評価されます。
こうした承認要件の3類型化に対して、入院基本料の方は従来どおり一律の点数設定のままでした。果たす役割が異なるにもかかわらず同じ入院基本料を算定できる状態は、機能に応じた適切な評価とは言えません。そこで、令和8年度改定では入院基本料の区分も3つに分けることになりました。
改定内容:入院基本料がA・B・Cの3区分に(いずれも仮称)
改定後の特定機能病院入院基本料は、「特定機能病院A入院基本料」「特定機能病院B入院基本料」「特定機能病院C入院基本料」(いずれも仮称)の3区分になります。中医協の審議資料をもとに、各区分の想定される対象病院と一般病棟7対1入院基本料の点数を整理すると、以下のとおりです。
特定機能病院A入院基本料(仮称) は、基礎的基準を満たす大学病院本院が主な対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,146点(現行1,822点、+324点)、10対1は1,771点(現行1,458点、+313点)に設定されます。
特定機能病院B入院基本料(仮称) は、基礎的基準に準ずるナショナルセンター等が主な対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,136点(現行1,822点、+314点)、10対1は1,760点(現行1,458点、+302点)です。A区分との差は7対1で10点です。
特定機能病院C入院基本料(仮称) は、A・Bに該当しないその他の特定機能病院が対象になると見込まれています。一般病棟7対1の点数は2,016点(現行1,822点、+194点)、10対1は1,642点(現行1,458点、+184点)です。A区分との差は7対1で130点になります。
結核病棟と精神病棟についても同様に3区分化され、すべての区分で現行より点数が引き上げられます。結核病棟の7対1は、A区分2,125点、B区分2,115点、C区分1,995点です。精神病棟の7対1は、A区分1,851点、B区分1,841点、C区分1,721点です。
施設基準:承認要件との連動
各区分の施設基準は、医療法施行規則に基づく承認要件と連動します。個別改定項目の施設基準では、特定機能病院A入院基本料(仮称)の算定要件として「医療法施行規則第●条に規定する特定機能病院A(仮称)であること」と記載されています。具体的な省令の条文番号は、関係省令の公布後に確定します。
特定機能病院B入院基本料(仮称)についても同様に、「医療法施行規則第●条に規定する特定機能病院B(仮称)であること」が通則として定められています。看護配置や平均在院日数などの個別の施設基準は、A区分の基準と同じ内容を満たすことが求められます。
特定機能病院C入院基本料(仮称)は、「A及びBに定める特定機能病院以外の特定機能病院であること」が通則です。C区分もA区分と同一の個別施設基準を満たす必要があります。つまり、3区分の違いは個別の施設基準ではなく、承認要件の類型に基づくものです。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、特定機能病院入院基本料が一律の評価からA・B・C(いずれも仮称)の3区分に再編されます。大学病院本院を中心とするA区分が最も高い点数を、その他の病院であるC区分が最も低い点数を算定する仕組みが見込まれています。この見直しは、特定機能病院の承認基準の3類型化に連動し、病院が果たす役割や機能の違いを入院基本料に反映させるものです。各区分の正式名称や具体的な省令の条文番号は、令和7年度を目途に公布される関係省令で確定する予定のため、今後の通知等をあわせて確認する必要があります。
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【令和8年度改定】急性期総合体制加算を新設|5区分の点数・施設基準を解説
令和8年度診療報酬改定では、地域の拠点的な医療機関を評価する仕組みが大きく変わります。これまで別々に運用されていた「総合入院体制加算」と「急性期充実体制加算」が統合され、新たに「急性期総合体制加算」が創設されます。この見直しの背景には、両加算の評価体系が複雑になっていたこと、そして人口の少ない地域で拠点病院が加算を算定しづらかったことがあります。
今回の改定のポイントは3つです。第一に、旧2加算が「総合性」と「集積性」の両面で一体的に評価される5区分の体系に再編されます。第二に、入院日数に応じた3段階の逓減制が導入され、入院期間の短い段階ほど高い点数が設定されます。第三に、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院に対し、一部の施設基準が緩和されます。本稿では、これら3つのポイントについて順に解説します。
改定の背景:なぜ2つの加算が統合されたのか
急性期総合体制加算が新設された背景には、旧制度の3つの課題があります。総合入院体制加算と急性期充実体制加算は施設基準の多くが共通していたにもかかわらず、評価の仕組みが異なっていたため、拠点病院の評価が複雑になっていました。加えて、総合性の高い病院が点数面で不利になるケースも生じていました。さらに、人口の少ない地域では実績要件を満たせず、地域の拠点病院が加算を算定できないという問題もありました。
1つ目の課題は、2加算の施設基準の重複です。総合入院体制加算1と急性期充実体制加算1は、救命救急センター等の救急体制整備や全身麻酔手術件数2,000件以上といった基準で共通していました。一方、総合的な診療体制(7診療科の標榜・入院体制など)は総合入院体制加算のみ、高度な手術実績(消化管内視鏡手術600件以上など)は急性期充実体制加算のみで求められていました。このように基準が重複しながらも評価軸が異なるため、両方の要件を満たす病院であっても、いずれか一方しか届け出ることができませんでした。
2つ目の課題は、点数の逆転現象です。14日間で算定できる点数の総額を比較すると、総合入院体制加算1は3,640点であったのに対し、急性期充実体制加算1は4,240点でした。総合入院体制加算1は7診療科の入院体制や精神科の24時間対応など、より幅広い総合性が求められていたにもかかわらず、手術実績を重視する急性期充実体制加算よりも低い評価となっていました。
3つ目の課題は、人口の少ない地域での算定困難です。人口規模の小さな二次医療圏では、地域の救急搬送の大部分をカバーしている病院であっても、症例数や医療従事者を集約してなお、実績要件を満たすことが難しい状況にありました。実際に、総合入院体制加算3の届出病院の約15%は人口の少ない地域に属しており、こうした地域では上位区分の加算を届け出ている病院はほとんどありませんでした。
新設される5区分の点数体系
急性期総合体制加算は、旧2加算の合計5区分(総合入院体制加算1~3、急性期充実体制加算1~2)を再編し、新たに5区分の体系となります。各区分には入院日数に応じた3段階の逓減制が導入され、7日以内の期間が最も高い点数に設定されています。なお、新制度は旧2加算の「総合性」と「集積性」を一体的に再編した新しい評価体系であり、旧制度の各区分とは求められる基準が異なります。
加算1は、最も高い総合性と集積性を持つ病院を対象とする区分です。点数は7日以内530点、8~11日290点、12~14日210点で、14日間の合計は5,500点です。7診療科の入院体制や精神科の24時間対応体制といった総合性に加え、手術実績でも十分な水準が求められます。旧制度では総合性の高い病院(旧総合入院体制加算1:14日間合計3,640点)が手術実績重視の加算(旧急性期充実体制加算1:14日間合計4,240点)よりも低い評価となっていましたが、新制度ではこの逆転が解消されています。
加算2は、加算1に次ぐ水準の総合性と集積性を持つ病院を対象とする区分です。点数は7日以内470点、8~11日230点、12~14日150点で、14日間の合計は4,660点です。加算1の基準のうち総合性に関する一部の要件が緩和されていますが、手術実績については一定程度高い水準が求められます。
加算3は、地域で総合的かつ専門的な急性期医療を提供し、高度かつ専門的な医療の実績が高い水準にある病院を対象とする区分です。点数は7日以内440点、8~11日200点、12~14日120点で、14日間の合計は4,240点です。加算1のような7診療科の入院体制は必須ではありませんが、地域における総合的な急性期医療の提供体制と、高い手術実績が施設基準として求められます。
加算4は、加算3と同等の体制を備えつつ実績水準がやや下回る病院を対象とする区分です。点数は7日以内360点、8~11日150点、12~14日90点で、14日間の合計は3,390点です。
加算5は、新たに創設された区分であり、人口の少ない地域の拠点病院への配慮を目的としています。点数は7日以内300点、8~11日120点、12~14日60点で、14日間の合計は2,760点です。加算5の詳細は次のセクションで説明します。
人口の少ない地域への配慮:加算5の特例
加算5は、人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている病院を対象とした新設区分です。この区分の最大の特徴は、上位区分で求められる一部の施設基準が緩和されている点にあります。
具体的には、加算5を届け出る病院には、地域包括ケア病棟入院料や療養病棟入院基本料に関する届出制限が一部免除されます。人口20万人未満の地域で救急搬送を最も多く受け入れている保険医療機関については、地域包括ケア病棟入院料、地域包括ケア入院医療管理料、療養病棟入院基本料に係る届出制限が適用されません。この緩和は、地方の拠点病院が急性期病棟と回復期・慢性期病棟を併せ持つ実態に配慮したものです。
この特例の背景には、人口の少ない地域の医療事情があります。人口規模の小さな二次医療圏では、救急搬送件数自体は大規模な医療圏と比較して多くないものの、地域の救急搬送の大部分を1つの病院がカバーしているケースが少なくありません。こうした病院では、へき地医療や救急搬送の受入れで地域を支えていても、従来の実績要件を満たすことが困難でした。加算5は、これらの病院が拠点的な機能を適切に評価されるための新たな受け皿となります。
主な施設基準の変更点
急性期総合体制加算の施設基準には、旧制度から引き継がれた要件に加え、いくつかの新たな要件が追加されています。ここでは、加算1を中心に主な変更点を整理します。
第一に、「総合的か
【令和8年度改定】重症度、医療・看護必要度の3つの見直しポイント|救急搬送加算・A/C項目追加・B項目測定
令和8年度診療報酬改定では、急性期入院医療における重症度、医療・看護必要度の評価方法が大きく見直されます。今回の見直しは、救急搬送症例や手術なし症例における評価の適正化を進める観点から行われるものです。この記事では、個別改定項目「Ⅱ-1-1 ② 重症度、医療・看護必要度の見直し」の内容を解説します。
見直しのポイントは3つあります。第1に、A項目「抗悪性腫瘍剤の使用」やC項目「救命等に係る内科的治療」「別に定める検査」「別に定める手術」の対象治療等が追加されます。第2に、病床あたり救急搬送受入件数に応じた「救急患者応需係数」が基準該当割合に加算される仕組みが新設されます。第3に、B項目の測定日が柔軟化され、毎日測定しない場合の運用ルールが明確になります。これらの見直しに伴い、従来の「基準該当割合」は「割合指数」に変更され、各入院料の基準値も改められます。経過措置は令和8年9月30日までです。
A項目・C項目の対象治療等の追加
第1の見直しは、A項目・C項目の対象治療等の追加です。内科系症例の適正評価を進めるため、4つの分野で対象が拡充されます。
A項目「専門的な治療・処置」のうち「抗悪性腫瘍剤の使用(注射剤のみ)」では、カルフィルゾミブ、シクロホスファミド水和物、フィルグラスチム(遺伝子組換え)などの注射薬剤が対象に追加されます。これらの薬剤は、内保連(内科系学会社会保険連合)が提案した候補のうち、入院での使用割合が高く、モラルハザードが起きにくいものとして選定されました。
C項目では、3つの区分で対象治療等が追加されます。「救命等に係る内科的治療」には、中心静脈注射用カテーテル挿入、脳脊髄腔注射(腰椎)、吸着式血液浄化法、持続緩徐式血液濾過などの処置が加わります。「別に定める検査」には、経食道心エコー法、経気管肺生検法、EBUS-TBNAなどが加わります。「別に定める手術」には、内シャント設置術、経皮的胆管ドレナージ術、内視鏡的胃・十二指腸ステント留置術などが加わります。
これらのA項目・C項目の追加は、次に述べる救急患者応需係数と組み合わせることで、手術なし症例の多い病棟における必要度該当割合を大きく改善する効果があります。この効果については、救急患者応需係数のセクションであわせて解説します。
救急患者応需係数の新設
第2の見直しは、救急患者応需係数の新設です。基準該当割合に救急搬送受入件数に応じた加算を行う仕組みが導入されます。この仕組みにより、従来の「基準該当割合」は「基準患者割合に係る指数(割合指数)」に変更されます。割合指数は「従来の該当患者割合+救急患者応需係数」で算出されるため、救急搬送受入件数の多い病棟ほど割合指数が高くなります。
救急患者応需係数の算出方法は、3つのステップで構成されます。まず、「救急搬送受入件数」とは、救急用の自動車または救急医療用ヘリコプターにより搬送された患者を受け入れた件数をいいます。次に、「病床当たり年間救急搬送受入件数」を算出します。この計算では、医療機関全体の直近1年間の救急搬送受入件数(全救急搬送受入件数)に、救急搬送により当該医療機関に入院した患者のうち対象病棟に入院した患者の割合を乗じ、届出病床数で除します。つまり、全救急搬送受入件数をそのまま使うのではなく、対象病棟への入院割合で按分する点に注意が必要です。最後に、この病床当たり年間救急搬送受入件数に0.005を乗じた数が救急患者応需係数となり、上限は1割(10%)です。
具体的な計算例を示します。ある医療機関の全救急搬送受入件数が年間2,000件で、そのうち急性期一般入院料の届出病棟(100床)に入院した患者の割合が50%であった場合、病床当たり年間救急搬送受入件数は「2,000件×50%÷100床=10件/床/年」となります。この10件に係数0.005を乗じると5%が得られ、この5%が基準該当割合に加算されます。たとえば、元の該当患者割合が22%であった場合、割合指数は27%(=22%+5%)となります。
A/C項目の追加と救急患者応需係数を組み合わせた場合の効果は、シミュレーション(DPCデータ2025年1~3月)で示されています。急性期一般入院料1の基準①該当割合は、平均28.3%から35.4%へ約7.1ポイント上昇します。とくに注目すべきは、救急搬送数が多く手術なし症例の多い病棟です。これらの病棟では約9.2ポイントの上昇となり、全体平均と同程度の水準に改善されます。従来の評価方法では、手術なし症例の多い病棟は手術あり症例の多い病棟と比べて該当患者割合が低くなる傾向がありましたが、今回の見直しにより、この格差が大きく是正されることになります。
B項目の測定日の柔軟化
第3の見直しは、B項目の測定日の柔軟化です。従来の毎日測定に加え、毎日測定しない場合のルールが新たに設けられます。
毎日測定しない場合の測定日は、入院初日から入院4日目までの各日、入院5日目以降は直近の測定日から少なくとも7日ごとに1回以上、そして退院日の3つの時点です。ただし、患者の状態に明らかな変化が生じた場合には、7日を待たずに測定を実施することが望ましいとされています。
測定日以外の日におけるB項目の評価は、直近の測定日における評価をもって代替できます。この取扱いにより、毎日のB項目測定に要する看護師の事務負担が軽減されます。
基準値の変更
A/C項目の追加と救急患者応需係数の導入に伴い、各入院料の基準値は変更されます。基準値の数字は引き上げられていますが、新たに導入される救急患者応需係数が割合指数に加算されるため、実質的な影響は病院ごとの救急搬送受入件数によって異なります。ここでは、主な入院料の新基準値を「割合指数」として整理します。
急性期一般入院料1(必要度Ⅱ)は、基準①が27%、基準②が34%です(現行は基準①20%、基準②27%)。急性期一般入院料2(必要度Ⅱ)は27%です(現行21%)。急性期一般入院料3(必要度Ⅱ)は23%です(現行18%)。急性期一般入院料4(必要度Ⅱ)は19%です(現行15%)。急性期一般入院料5(必要度Ⅱ)は14%です(現行11%)。
なお、必要度Ⅰを用いる場合は、必要度Ⅱよりも1ポイント高い基準が設定されます。たとえば、急性期一般入院料1(必要度Ⅰ)の基準①は28%、基準②は35%です。
7対1入院基本料(特定機能病院・一般病棟)については、必要度Ⅱで基準①が割合指数20%から27%に、基準②が27%から34%に変更されます。7対1入院基本料(専門病院)も同様に、必要度Ⅱで基準①が20%から21%に、基準②が27%から28%に変更されます。
急性期総合体制加算に
【令和8年度改定】急性期病院一般入院基本料が新設|A・Bの2区分と施設基準を解説
令和8年度診療報酬改定では、病院が地域で果たしている急性期機能に着目した新たな入院基本料が新設されます。従来の急性期一般入院基本料は、病棟単位の看護配置や重症度、医療・看護必要度で評価してきました。しかし、同じ入院料を算定する病院であっても、救急搬送の受入件数や手術件数には大きな差があり、病院としての機能の違いが十分に反映されていませんでした。この課題を解消するため、今回の改定では病院の急性期機能を施設基準に組み込んだ「急性期病院一般入院基本料」と「急性期病院精神病棟入院基本料」が新たに設けられます。
新設される急性期病院一般入院基本料は、急性期病院Aと急性期病院Bの2区分で構成されます。急性期病院A一般入院料は1,930点(1日につき)で、救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上の実績が求められます。急性期病院B一般入院料は1,643点(1日につき)で、救急搬送年間1,500件以上などの複数の要件から選択できます。このほか、精神病棟向けの入院基本料も同時に新設され、人口の少ない地域や離島に対する特例措置も設けられています。
急性期病院一般入院基本料の基本的な考え方
急性期病院一般入院基本料は、地域ごとの急性期医療を確保する観点から、病院の機能に着目して新設されます。この入院基本料の背景には、2040年頃を見据えた医療機関の機能分化・連携の推進があります。
従来の急性期一般入院基本料では、病棟単位の看護配置比率や重症度、医療・看護必要度が主な評価指標でした。この仕組みでは、7対1看護配置の急性期一般入院料1を算定する病院同士でも、救急搬送受入件数が数百件の病院と数千件の病院が同じ評価を受けていました。全身麻酔手術件数についても同様に、500件未満の病院から5,000件を超える病院まで幅広く存在していました。
今回の改定では、こうした病院機能の違いを診療報酬に反映させるため、救急搬送件数や全身麻酔手術件数などの実績を施設基準に組み込みます。この仕組みにより、地域の急性期医療を支える病院の体制整備を促し、必要な機能の確保につなげることが狙いです。
急性期病院Aの施設基準と点数
急性期病院A一般入院料は1日につき1,930点で、高い急性期機能を持つ病院を評価します。施設基準は、体制に関する要件と実績に関する要件の2つに大別されます。
体制に関する要件として、まず救急医療の提供体制が求められます。具体的には、第二次救急医療体制、救命救急センター、高度救命救急センター、総合周産期母子医療センターのいずれかを設置しているか、これらと同様に24時間の救急患者を受け入れている必要があります。また、画像診断及び検査を24時間実施できる体制の確保も必要です。
実績に関する要件として、救急搬送件数が年間2,000件以上、かつ全身麻酔手術件数が年間1,200件以上であることが求められます。この2つの条件はいずれも満たす必要があります。
そのほかの主な施設基準として、看護配置7対1(入院患者7人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数16日以内、自宅等への退院割合8割以上、常勤医師数が入院患者数の10%以上が必要です。さらに、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟の届出を行っていないことも条件となります。
重症度、医療・看護必要度については、必要度Ⅱを用いた評価が原則です。特に高い基準を満たす患者割合の指数が27%以上、一定程度高い基準を満たす患者割合の指数が34%以上であることが求められます。許可病床数200床未満で正当な理由がある場合に限り、必要度Ⅰの使用が認められ、その場合は28%以上・35%以上の基準が適用されます。
急性期病院Bの施設基準と点数
急性期病院B一般入院料は1日につき1,643点で、地域の急性期医療を担う病院を評価します。急性期病院Aとの主な違いは、体制と実績の基準が緩和されている点です。
体制に関する要件として、医療計画に記載された第二次救急医療機関であるか、救急病院等を定める省令に基づく救急病院であることが求められます。急性期病院Aと異なり、地域包括ケア病棟の届出は制限されていません。ただし、地域包括医療病棟の届出を行っていないことは必要です。
実績に関する要件は、以下の4つの選択肢から1つを満たせばよい点が大きな特徴です。第1の選択肢は、救急搬送件数が年間1,500件以上です。第2の選択肢は、救急搬送件数が年間500件以上かつ全身麻酔手術件数が年間500件以上です。第3の選択肢は、人口20万人未満の二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大かつ年間1,000件以上です。第4の選択肢は、離島のみで構成される二次医療圏に所在し、当該医療圏で救急搬送件数が最大であることです。
第3・第4の選択肢は、人口の少ない地域や離島における急性期医療の確保を意図した特例措置です。対象となる地域は告示の別紙4(人口20万人未満の二次医療圏)と別紙5(離島のみの二次医療圏)に詳細が定められています。
そのほかの施設基準として、看護配置10対1(入院患者10人に対し看護職員1人以上)、平均在院日数21日以内が求められます。急性期病院Aと同様に、重症度、医療・看護必要度Ⅱでの評価が原則です。
急性期病院精神病棟入院基本料の概要
急性期病院精神病棟入院基本料も、一般病棟と同様にA・Bの2区分で新設されます。精神病棟においても、病院の急性期機能を反映した評価が導入されます。
急性期病院A精神病棟入院料は、看護配置に応じた3段階の点数設定です。10対1は1,519点、13対1は1,162点、15対1は966点となります。急性期病院B精神病棟入院料も同様に3段階で、10対1は1,502点、13対1は1,145点、15対1は949点です。
精神病棟特有の基準として、10対1入院基本料では平均在院日数40日以内・GAF尺度30以下の新規入院患者が5割以上、13対1入院基本料では平均在院日数80日以内・GAF尺度30以下又は身体合併症を有する新規入院患者が4割以上であることが求められます。15対1入院基本料では、看護職員の4割以上が看護師であることが必要です。
急性期医療に係る体制・実績の基準は、一般病棟と共通の枠組みです。急性期病院Aは救急搬送年間2,000件以上かつ全身麻酔手術年間1,200件以上、急性期病院Bは一般病棟と同じ4つの選択肢から1つを満たす必要があります。
救急搬送件数の算定ルール
救急搬送件数の算定には、いくつかの重要なルールがあります。特に、介護保険施設からの搬送と夜間帯の受入に関する規定を正しく理解する必要があります。
介
【令和8年度改定】医療従事者の人材確保・働き方改革|5つの施策を総まとめ
令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足と働き方改革への対応として、賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取り組みが大幅に強化されます。全産業で賃上げ率が高水準となる中、医療分野では事業収益の悪化を背景に賃上げ水準が乖離しており、人材確保が困難な状況にあります。本記事では、個別改定項目「Ⅰ-2 賃上げや業務効率化・負担軽減等の業務改善による医療従事者の人材確保に向けた取組」に含まれる5つの施策の全体像を解説します。
今回の改定では、5つの施策で人材確保と働き方改革が推進されます。第1に、ベースアップ評価料の大幅拡充と夜勤負担軽減の計画要件明確化により、医療従事者の処遇が改善されます。第2に、ICT・AI・IoT等の利活用により、看護配置から事務簡素化まで4分野の業務効率化が図られます。第3に、急性期病棟における多職種協働を評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。第4に、外科医の処遇改善や休日等加算1の要件緩和など、医師の働き方改革と診療科偏在対策が講じられます。第5に、看護配置の猶予や専従要件の緩和など、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。
Ⅰ-2-1 医療従事者の処遇改善
令和8年度改定における医療従事者の処遇改善は、賃上げに向けた評価の見直しと、夜勤を含む負担軽減計画の明確化の2本柱で構成されています。令和8年度および令和9年度にそれぞれ3.2%(看護補助者・事務職員は5.7%)のベースアップ実現を目指し、賃上げの実効性を高める仕組みが導入されます。
賃上げに向けた評価の見直しでは、ベースアップ評価料が3つの柱で拡充されます。対象職員が「当該保険医療機関に勤務する職員」全体に拡大され、40歳未満の勤務医師・勤務歯科医師等も新たに対象に加わります。点数は、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の初診時が6点から17点に引き上げられるなど、大幅に増額されます。継続的な賃上げを実施していない医療機関に対しては、入院基本料等の減算規定も新設されます。
夜勤負担の軽減については、急性期総合体制加算や看護職員夜間配置加算等の施設基準において、夜勤に関する事項を「負担の軽減及び処遇の改善に資する計画」に含めることが要件として明確化されます。
詳しくは「【令和8年度改定】医療従事者の処遇改善|賃上げ評価の拡充と夜勤負担軽減の2本柱」をご覧ください。
Ⅰ-2-2 業務の効率化に資するICT、AI、IoT等の利活用の推進
ICT・AI・IoT等の利活用による業務効率化は、4つの分野で改定が行われます。看護現場の人手不足や医師の事務負担、煩雑な届出業務など、医療機関が長年抱えてきた課題に対応するものです。
第1に、ICT機器の活用により看護配置基準が1割以内で柔軟化されます。見守り・記録・情報共有の3領域すべてにICT機器を導入した病棟が対象であり、看護職員の配置数が基準の9割以上であれば入院基本料等の所定点数を算定できます。第2に、生成AIの導入により医師事務作業補助者の配置人数が最大1.3人換算で算入可能となります。第3に、各種様式の統一や届出のオンライン化など5つの分野で事務の簡素化が進みます。第4に、様式9の勤務時間算入要件が2つ追加され、小数点処理も統一されます。
詳しくは「【令和8年度改定】ICT・AI・IoT活用で変わる4つの業務効率化|看護配置から事務簡素化まで」をご覧ください。
Ⅰ-2-3 タスク・シェアリング/タスク・シフティング、チーム医療の推進
急性期病棟における多職種協働の取り組みを評価する「看護・多職種協働加算」が新設されます。生産年齢人口の減少により医療従事者の確保が難しくなる中、看護職員と他の医療職種が協働する新たな病棟運営モデルを提示するものです。
対象は、急性期一般入院料4と急性期病院B一般入院料のうち、急性期一般入院料1と同等の重症度を満たす病棟です。点数は加算1が277点(1日につき)、加算2が255点(1日につき)です。配置要件として、看護職員と他の医療職種(PT・OT・ST・管理栄養士・臨床検査技師)を合わせて25対1以上の配置が求められます。看護職員をさらに手厚く配置する方法でも、他の医療職種を組み合わせる方法でも要件を満たせます。施設基準では、重症度・医療・看護必要度の基準、平均在院日数16日以内、自宅等退院割合80%以上などの要件が定められています。
詳しくは「【令和8年度改定】看護・多職種協働加算を新設|急性期病棟の多職種連携が点数化」をご覧ください。
Ⅰ-2-4 医師の働き方改革の推進/診療科偏在対策
医師の働き方改革と診療科偏在対策は、外科医を中心とした処遇改善・勤務環境改善と、チーム制の施設基準緩和の2つの施策で構成されます。外科医師の減少が全国的な課題となる中、診療報酬上の新たな評価の導入と既存の施設基準の見直しが行われます。
処遇改善・勤務環境改善の施策は3つの柱で構成されます。地域医療体制確保加算が2段階化(加算1:620点、加算2:720点)され、医師確保が必要な診療科への特別な配慮を行う医療機関が高く評価されます。外科医療確保特別加算が新設され、高度手術を実施する基幹的な医療機関が手術の所定点数の15%を加算できます。特定地域医療提供医師等の時間外・休日労働時間の上限基準が、令和8年度は1,635時間以下、令和9年度は1,560時間以下へと段階的に引き下げられます。
チーム制の施設基準緩和では、処置・手術の休日等加算1について、緊急呼出し当番の人数要件の緩和、勤務間インターバルの選択肢追加、手当支給要件の整理が行われます。
詳しくは「【令和8年度改定】医師の働き方改革と診療科偏在対策|外科医処遇改善と休日等加算1の要件緩和」をご覧ください。
Ⅰ-2-5 診療報酬上求める基準の柔軟化
施設基準における人員配置の要件が、5つの項目で幅広く柔軟化されます
【令和8年度改定】診療報酬上求める基準の柔軟化|5つの見直し項目を総まとめ
令和8年度診療報酬改定では、医療現場の深刻な人手不足に対応するため、施設基準における人員配置の要件が幅広く柔軟化されます。この柔軟化は、質の高い医療提供体制の維持と人材確保の取組の両立を図ることを目的としています。
今回の柔軟化は、5つの項目で構成されています。第一に、看護職員の一時的な不足時に届出猶予を認める仕組みが新設されます。第二に、感染対策向上加算等の専従者が他業務に従事できるようになります。第三に、常勤職員の所定労働時間要件が週32時間から週31時間に引き下げられます。第四に、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。第五に、療法士の専従要件が大幅に緩和され、業務範囲と兼任ルールが見直されます。
① やむを得ない事情における施設基準等に関する取扱いの見直し
看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する猶予ルールが新設されます。平時から公的職業紹介を活用した採用活動を行っている医療機関が、突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。この猶予は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。コロナ特例として運用されていた仕組みが、突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。
→ 詳しくは「【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説」をご覧ください。
② 感染対策向上加算等における専従要件の見直し
感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で見直されます。第一の柱は、専従者が介護保険施設等へ赴いて助言できる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム・抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者が、所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が、退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。いずれも、専門人材が支援業務と院内業務をより柔軟に両立できるようにするための改定です。
→ 詳しくは「【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和」をご覧ください。
③ 常勤職員の常勤要件に係る勤務時間数の見直し
常勤職員の所定労働時間要件が、週32時間以上から週31時間以上に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)との整合性を図るものです。対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。
→ 詳しくは「【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点」をご覧ください。
④ 質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組の推進
摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が3つのポイントで見直されます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていた課題に対応するものです。
→ 詳しくは「【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント」をご覧ください。
⑤ 疾患別リハビリテーション料や特定入院料において配置された療法士による専門性を生かした指導等の更なる推進
療法士の専従要件が5つの観点から大幅に緩和されます。第一に、専従の従事者がリハビリテーション以外の業務に従事した時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士の業務範囲が明確化され、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士に業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。特に、兼任ルールの緩和と回復期リハビリテーション病棟における「全ての患者」への対象拡大は、人員配置や病棟運営に直結する変更です。
→ 詳しくは「【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説」をご覧ください。
まとめ
令和8年度診療報酬改定における「診療報酬上求める基準の柔軟化」は、5つの項目で構成されています。看護職員の一時的不足時の届出猶予の新設、感染対策向上加算等の専従者の業務範囲の拡大、常勤要件の週31時間への引下げ、摂食嚥下機能回復体制加算等の要件緩和、そして療法士の専従要件の大幅な緩和です。これらの見直しに共通するのは、医療の質を担保しつつ、限られた人材をより柔軟に活用できる仕組みを整備するという方向性です。各医療機関においては、自院に該当する項目を確認し、施設基準の届出や運用体制の見直しを早めに進めることが重要です。
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【令和8年度改定】療法士の専従要件が大幅緩和|5つの変更点を解説
令和8年度診療報酬改定では、リハビリテーション提供体制の柔軟化が進められます。疾患別リハビリテーション料や特定入院料において、専従の理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が従事できる業務の範囲が広がります。この改定は、療法士の専門性を病棟内に限らず発揮させることを目的としています。
今回の改定では、主に5つの変更が行われます。第一に、疾患別リハビリテーションを担当する専従の従事者について、リハビリテーション以外の業務時間を実施単位数に算入できるようになります。第二に、疾患別リハビリテーション料の専従療法士が従事できる業務の範囲が明確化されるとともに、兼任ルールが大幅に見直されます。第三に、地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟の専従療法士にも業務内容が追加されます。第四に、病棟外・屋外での指導等が明確に認められます。第五に、入院医療管理料における専従療法士の兼任が可能になります。
変更点1:専従の従事者について、リハビリ以外の業務時間を実施単位数に算入可能に
疾患別リハビリテーションを担当する専従の従事者が、リハビリテーション以外の特定の業務に従事した時間を、実施単位数としてカウントできるようになります。この変更の対象は、すべての療法士ではなく、疾患別リハビリテーション料の施設基準で求められる「専従の従事者」に限られます。
従来、専従の従事者1人あたりの実施単位数は1日18単位が標準とされていました。この18単位は、疾患別リハビリテーションと集団コミュニケーション療法の合計で計算していました。
改定後は、この計算方法が変わります。専従の従事者が、施設基準通知(別添1の第38、第40等)で規定された業務のうち、疾患別リハビリテーション及び集団コミュニケーション療法以外の特掲診療料に係る業務に従事した時間を合算します。この合算した時間が20分以上の場合、20分を1単位とみなして実施単位数に加えることができます。たとえば、専従の従事者が対象となる業務に60分従事した場合、3単位分を実施単位数に加算できます。この変更により、専従の従事者がリハビリテーション以外の専門業務に時間を割いても、1日18単位の基準を満たしやすくなります。
変更点2:専従療法士の業務範囲の明確化と兼任ルールの大幅見直し
疾患別リハビリテーション料の専従療法士について、従事できる業務の範囲が明確化されるとともに、兼任ルールが大幅に見直されます。この変更は、業務範囲の拡大と兼任制限の緩和という2つの側面を持っています。
まず、業務範囲の明確化について説明します。従来は、リハビリテーション実施時間以外に専従の療法士が従事できる業務が必ずしも明確ではありませんでした。改定後は、従事できる業務が具体的に列挙されます。専従の療法士は、医科点数表の「第1部 医学管理」「第2部 在宅医療」「第7部 リハビリテーション」「第8部 精神科専門療法」の業務に従事できます。さらに、その他のリハビリテーション及び患者・家族等の指導に関する業務(専任として配置が求められるものを含む)、介護施設等への助言業務にも従事可能です。ただし、入院料等において配置が求められている従事者(専任の者を除く)として従事することはできません。
次に、兼任ルールの見直しについて説明します。現行では、たとえば脳血管疾患等リハビリテーション料(Ⅰ)の専従PTは、リハビリテーション・栄養・口腔連携体制加算、地域包括医療病棟入院料、回復期リハビリテーション病棟入院料及び地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟の常勤PTとの兼任ができませんでした。改定後は、この制限が撤廃されます。具体的には、第7部リハビリテーション第1節(心大血管疾患リハビリテーション料を除く)において配置が求められている常勤PT(専従の者を含む)について、兼任が可能になります。OTやSTについても同様の取扱いです。この変更により、限られた療法士の人員をより柔軟に配置できるようになります。
これらの変更は、心大血管疾患リハビリテーション料をはじめ、脳血管疾患等リハビリテーション料、廃用症候群リハビリテーション料、運動器リハビリテーション料、呼吸器リハビリテーション料など、すべての疾患別リハビリテーション料に適用されます。
変更点3:病棟専従療法士の業務内容の追加と対象患者の拡大
地域包括医療病棟・回復期リハビリテーション病棟・地域包括ケア病棟に配置された専従療法士について、従事できる業務が追加されます。あわせて、地域包括医療病棟と回復期リハビリテーション病棟では、専従療法士の業務の対象や位置づけに関する重要な変更も行われます。
地域包括医療病棟では、2つの変更があります。1つ目は、専従療法士の業務が「ADLの維持、向上等を目的とした指導」から「ADLの維持、向上等を目的とした評価・指導」に変更されることです。「評価」が追加されたことで、指導だけでなく、患者の機能や状態を評価する業務が明確に位置づけられます。2つ目は、当該評価・指導において必要な場合に、「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」「リハビリテーション料」のうち、療法士が行うこととして認められている業務に従事できるようになることです。なお、疾患別リハビリテーション料の上限は、引き続き1日6単位相当とされています。
回復期リハビリテーション病棟でも、2つの変更があります。1つ目は、算定要件(5)の対象が変わることです。現行の「必要に応じて病棟等における早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法」が、改定後は「当該病棟の全ての患者に対して、早期歩行、ADLの自立等を目的とした理学療法又は作業療法」に変更されます。「必要に応じて」から「全ての患者に対して」への変更は、病棟運営の方針に影響する重要な変更です。2つ目は、新設される(6)において、専従の療法士等が「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」の業務に従事できることが明記されることです。
地域包括ケア病棟では、新たに算定要件(4)が新設されます。専従療法士がADLの維持及び向上等を目的とした評価・指導を行うこと、その際に「入院基本料等加算」「医学管理等」「生体検査料」「リハビリテーション料」のうち療法士が行える業務に従事できることが規定されます。
変更点4:病棟外・屋外での業務が明確に認められる
病棟専従の療法士が、配置された病棟以外の場所でも業務を行えることが明確化されます。従来の規定では、病棟専従の療法士が屋外やリハビリテーション室などの病棟外で指導等を行ってよいかどうかが不明確でした。
改定後は、
【令和8年度改定】摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の3つの見直しポイント
令和8年度診療報酬改定では、質の高い摂食嚥下機能回復に係る取組を推進するため、摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算の要件が見直されます。この見直しは、「中心静脈栄養の実施が前提となっている要件では、経腸栄養や経口摂取への移行に取り組む医療機関の努力が評価されにくい」という現場の課題を踏まえたものです。
今回の見直しは、大きく3つのポイントに整理できます。第1に、摂食嚥下機能回復体制加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されます。第2に、加算3の実績要件に、経腸栄養から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。第3に、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大され、入院前から中心静脈栄養で管理されていた患者や、経口摂取不可となり経腸栄養を選択した患者も算定対象となります。
見直しの背景:届出・算定が伸び悩む現状
摂食嚥下機能回復体制加算と経腸栄養管理加算は、いずれも届出・算定の伸び悩みが課題となっていました。回復期リハビリテーション病棟入院料1の届出病棟のうち、摂食嚥下機能回復体制加算1または2を届け出ている施設は約13%にとどまっています。現場からは「専従の言語聴覚士の確保が難しい」という声が上がっていました。
療養病棟で算定される加算3についても、届出94施設のうち約6割が算定回数ゼロでした。この背景には、実績要件が「中心静脈栄養を実施していた患者」に限定されていたことがあります。中心静脈栄養を行わない方針の施設では、そもそも実績を積むことができませんでした。
経腸栄養管理加算は、令和6年度改定で新設されましたが、届出910施設のうち約9割弱が算定回数ゼロという状況でした。「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者は算定できない」という除外規定や、「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」という要件が、対象患者の範囲を狭めていました。
見直し①:言語聴覚士の配置要件を「専従」から「専任」に緩和
第1の見直しは、摂食嚥下機能回復体制加算1・2における言語聴覚士の配置要件の緩和です。従来、摂食嚥下支援チームの構成員である言語聴覚士は「専従の常勤」が求められていました。今回の改定では、この要件が「専任の常勤」に変更されます。
専従と専任の違いは、他の業務との兼務の可否にあります。専従は当該業務に専ら従事することを意味し、原則として他の業務を兼務できません。一方、専任は当該業務に主として従事しつつ、他の業務を兼務することが認められます。この変更により、言語聴覚士が摂食嚥下支援チームの業務を行いながら、疾患別リハビリテーション等の他業務にも従事できるようになります。
この緩和は、限られた言語聴覚士の人材を効率的に活用することを目的としています。回復期リハビリテーション病棟では、言語聴覚士が摂食嚥下支援と疾患別リハビリテーションの両方に関与するニーズが高く、専従要件がボトルネックとなっていました。この見直しにより、加算の届出施設数の増加が期待されます。
見直し②:加算3の実績要件に経腸栄養からの回復患者を追加
第2の見直しは、療養病棟で算定される摂食嚥下機能回復体制加算3の実績要件の拡大です。従来の実績要件は、「中心静脈栄養を実施していた患者のうち、嚥下機能が回復し中心静脈栄養を終了した者が前年に2名以上」に限定されていました。今回の改定では、この実績に加え、経腸栄養(鼻腔栄養や胃瘻)から経口摂取へ回復した患者も算入可能となります。
具体的には、実績要件が次のアとイの合計で2名以上に変更されます。アは、従来どおり中心静脈栄養を終了した患者です。イは、鼻腔栄養を実施していた患者または胃瘻を造設していた患者のうち、嚥下機能評価と嚥下リハビリテーション等を経て、経口摂取のみの栄養方法に回復した患者です。
この見直しの背景には、中心静脈栄養を実施しない施設では実績要件を満たせないという課題がありました。経腸栄養から経口摂取への移行も、質の高い摂食嚥下機能回復の成果です。この成果を実績に含めることで、より多くの療養病棟が加算3を届出・算定できるようになります。
見直し③:経腸栄養管理加算の対象患者を拡大
第3の見直しは、経腸栄養管理加算の対象患者の要件変更です。この変更には、対象患者の拡大と除外規定の撤廃という2つの内容が含まれます。
対象患者の要件は、次のように見直されます。アの要件は、従来の「長期間、中心静脈栄養を実施している患者」から「入院前から又は入院後2週間以上、中心静脈栄養による栄養管理を実施しており、経腸栄養への移行を目的とするもの」に変更されます。この変更により、入院前から経腸栄養を行っておらず中心静脈栄養で管理されていた患者も算定対象に含まれます。イの要件は、従来の「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなった患者」から「経口摂取が不可能となった又は経口摂取のみでは必要な栄養補給ができなくなり、入棟後に経腸栄養を開始したもの」に変更されます。このイの要件変更により、経口摂取が不可となった場合に、適切なプロセスを経て中心静脈栄養ではなく経腸栄養を選択した場合についても算定可能であることが明確化されます。
もうひとつの重要な変更は、従来あった「入棟前の1か月間に経腸栄養が実施されていた患者については算定できない」という除外規定が撤廃される点です。従来はこの除外規定があったため、入棟前にすでに経腸栄養を実施していた患者は算定対象外でした。この撤廃により、対象患者の範囲がさらに広がります。
まとめ
令和8年度診療報酬改定における摂食嚥下機能回復に係る見直しは、3つのポイントに集約されます。加算1・2の言語聴覚士の配置要件が「専従」から「専任」に緩和されること、加算3の実績要件に経腸栄養からの経口摂取回復患者が追加されること、経腸栄養管理加算の対象患者が拡大されることです。いずれも、中心静脈栄養の実施を前提とした要件が現場の取組を評価しにくくしていたという課題に対応するものです。該当する医療機関は、施設基準の変更内容を確認し、届出の準備を進めることをお勧めします。
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【令和8年度改定】常勤要件が週32時間から31時間に緩和|3つの対象項目と実務上の注意点
令和8年度診療報酬改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が見直されます。これまで「週32時間以上」とされていた常勤の所定労働時間要件が「週31時間以上」に引き下げられます。この見直しは、一般職の国家公務員の1日当たり勤務時間(7時間45分)を踏まえたものです。
今回の見直しでは、主に3つのポイントがあります。第一に、対象となる施設基準は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。第二に、常勤換算の計算に用いる分母(所定労働時間の下限)は、従来どおり週32時間のまま据え置かれます。第三に、育児・介護休業法に基づく短時間勤務者の常勤要件(週30時間以上)は変更ありません。
見直しの背景|公務員の勤務時間と診療報酬の常勤要件にズレがあった
今回の見直しの背景には、国家公務員の勤務時間と診療報酬上の常勤要件との間に生じていた不整合があります。
診療報酬の施設基準では、常勤職員の要件として、従来から「週4日以上の常態勤務」かつ「所定労働時間が週32時間以上」であることが求められてきました。この週32時間という基準は、1日8時間×週4日=32時間を根拠としています。
一方、一般職の国家公務員の勤務時間は、平成20年の人事院勧告を受けて、平成21年4月1日から1日当たり8時間から7時間45分へと改定されています。この改定により、週4日勤務の公務員の所定労働時間は、7時間45分×4日=31時間となりました。
この結果、公務員として週4日・31時間勤務する常勤医師が、診療報酬上の常勤要件(週32時間以上)を満たせないという問題が生じていました。とりわけ過疎地等では、退職した常勤医師を再任用職員として確保せざるを得ない状況にあり、週31時間勤務の医師が常勤として算定できないことが、地域医療の確保に支障をきたしていました。こうした状況を踏まえ、令和7年の地方分権改革に関する提案でも、常勤要件の緩和が求められていました。
改定の内容|所定労働時間の要件を週32時間から週31時間に引き下げ
今回の改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数の基準が、週32時間から週31時間に引き下げられます。対象となる施設基準は、以下の3項目です。
1つ目は、急性期一般入院料1等に係る常勤医師の要件です。 急性期一般入院料1及び7対1入院基本料(特定機能病院入院基本料及び障害者施設等入院基本料を除く)に係る常勤医師の定義が、「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。あわせて、非常勤医師の常勤換算に関する規定が追加され、常勤職員の所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算する旨が明記されます。
2つ目は、有床診療所の医師配置加算に係る常勤医師の要件です。 医師配置加算の施設基準における常勤医師の定義も、同様に「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。この項目でも、常勤換算に関する規定が新たに追加され、所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算するルールが明確化されます。
3つ目は、医師事務作業補助体制加算に係る常勤職員の要件です。 医師事務作業補助者の勤務時間に関する常勤職員の定義も、「所定労働時間が週31時間以上」に変更されます。この項目では、従来から常勤換算自体は認められていましたが、今回の改定で常勤換算の計算方法が新たに明記され、所定労働時間(32時間未満の場合は32時間)をもって常勤1名として換算することとされます。
実務上の注意点|常勤換算の分母は週32時間のまま変わらない
今回の見直しでは、常勤換算の計算方法に関して注意すべき点があります。
常勤換算数を算出する際の分母となる所定労働時間の下限は、従来どおり週32時間のまま据え置かれます。つまり、常勤の「定義」は週31時間以上に緩和される一方、非常勤職員を常勤換算する際の計算式では、所定労働時間が32時間未満の場合は32時間を用いて計算します。この点を混同しないよう注意が必要です。
育児・介護休業法に基づく短時間勤務者の取扱いについても確認が必要です。正職員として勤務する者が、育児・介護休業法第23条第1項、同条第3項又は同法第24条の規定による措置を受けて所定労働時間が短縮された場合は、所定労働時間が週30時間以上であれば常勤として扱われます。この週30時間の基準は、今回の改定でも変更されていません。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、常勤職員の常勤要件に係る所定労働時間数が週32時間から週31時間に引き下げられます。対象は、急性期一般入院料1等の常勤医師、有床診療所の医師配置加算、医師事務作業補助体制加算の3項目です。常勤換算の分母は週32時間のまま据え置かれるため、常勤の「定義の緩和」と「換算方法」を区別して運用する必要があります。
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【令和8年度改定】感染対策向上加算等の専従要件が3つの柱で大幅緩和
令和8年度診療報酬改定では、医療現場の人手不足と業務効率化への対応として、感染対策向上加算等における専従要件が見直されます。今回の見直しは、専門人材が介護保険施設等への支援と院内業務をより柔軟に両立できるようにすることを目的としています。
見直しの内容は、3つの柱で構成されています。第一の柱は、介護保険施設等又は指定障害者支援施設等(以下「介護保険施設等」)への助言に携われる時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されることです。第二の柱は、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになることです。第三の柱は、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者への外来栄養食事指導等を行えるようになることです。
介護保険施設等への助言時間が月10時間から月16時間に拡大
第一の柱は、専従者が介護保険施設等に赴いて助言できる時間の上限拡大です。対象となる加算は、感染対策向上加算、緩和ケア診療加算、小児緩和ケア診療加算、外来緩和ケア管理料、褥瘡ハイリスク患者ケア加算の5つです。
これらの加算の施設基準では、各チームの専従者が介護保険施設等からの求めに応じて助言を行う場合、専従業務とみなすことができます。この助言に携われる時間の上限が、現行の月10時間以下から月16時間以下に引き上げられます。
この拡大の背景には、介護保険施設等における専門的支援のニーズの高まりがあります。今回の時間拡大により、施設間連携がさらに促進されることが期待されます。
感染制御チーム等の専従者に月16時間までの他業務従事を容認
第二の柱は、専従者の業務時間が所定労働時間に満たない場合に、他業務への従事を認める仕組みの新設です。この仕組みの対象は、感染対策向上加算における感染制御チームの専従者、抗菌薬適正使用支援チームの専従者、医療安全対策加算1に規定する専従の医療安全管理者の3者です。
具体的な運用方法は以下のとおりです。これらの専従者について、加算に係る業務への従事時間が所定労働時間に満たない場合には、月16時間までに限り、当該業務の実施時間以外に他の業務に従事することが認められます。なお、感染制御チームの専従者については「病院内の」他の業務と場所が限定されている一方、抗菌薬適正使用支援チームの専従者と医療安全管理者については場所の限定がない点に留意してください。
感染制御チームの専従者については、この月16時間の枠と介護保険施設等への助言時間が調整される点に注意が必要です。介護保険施設等に赴いて助言に係る業務を行った時間がある場合、月16時間からその時間を差し引いた残りの時間が、院内の他業務に従事できる上限となります。
この見直しの背景には、中医協での議論があります。従来、医療安全対策加算や感染対策向上加算の専従者については、加算に係る業務のない時間に実施可能な業務が明示されていませんでした。病床規模によって業務量に差があるにもかかわらず、空き時間の活用方法が不明確だったのです。今回の改定で、月16時間という具体的な基準が設けられたことで、現場の運用が明確になります。
入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援に従事可能に
第三の柱は、入院栄養管理体制加算における専従管理栄養士の業務範囲の拡大です。特定機能病院入院基本料の入院栄養管理体制加算では、病棟に専従の常勤管理栄養士を1名以上配置することが求められています。
今回の改定では、この専従の管理栄養士が、病棟での栄養管理業務に影響のない範囲において、当該病棟から退院した患者の外来栄養食事指導等の継続的な支援を行って差し支えないこととされます。
この見直しは、入院から外来への栄養管理の切れ目ない提供を可能にするものです。従来の基準では、専従の管理栄養士は当該病棟の退院患者に対する支援であっても、病棟外での業務を行うことができませんでした。今回の改定により、入院中に把握した患者の栄養状態や食事の課題を、退院後の外来指導に直接つなげることが可能になります。
まとめ
令和8年度診療報酬改定における感染対策向上加算等の専従要件の見直しは、3つの柱で構成されています。第一に、介護保険施設等への助言時間の上限が月10時間から月16時間に拡大されます。第二に、感染制御チーム等の専従者が所定労働時間に満たない場合に月16時間まで他業務に従事できるようになります。第三に、入院栄養管理体制加算の専従管理栄養士が退院患者の外来支援を行えるようになります。いずれも医療現場の人手不足に対応し、専門人材をより柔軟に活用するための改定です。届出医療機関においては、施設基準の変更内容を確認し、運用体制の見直しを進めてください。
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【令和8年度改定】看護職員が一時的に不足しても届出不要に?施設基準の柔軟化を解説
令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応するため、施設基準の届出に関する新たな柔軟化ルールが設けられました。医療現場の約8割が看護職員の配置に困難を感じている状況を踏まえ、平時から採用活動を行っている医療機関が突発的な事情で看護職員を確保できない場合に、届出の猶予を認める仕組みです。
この柔軟化ルールのポイントは3つあります。第一に、看護要員数について暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動があった場合、最長3か月間、届出区分の変更が不要になります。第二に、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターなどの公的職業紹介を活用した採用活動を平時から行っていることが条件です。第三に、猶予の適用は年1回に限られ、地方厚生局への報告義務があります。
改定の背景:深刻化する看護職員不足と従来の取扱い
今回の改定は、医療現場における看護職員不足の深刻化を背景としています。令和7年度の実態調査によると、入院料の施設基準を満たす看護職員の配置について、「困難を感じる」と回答した医療機関は約8割に上りました。また、令和6年度の実態調査では、勤務シフトの組み方について、すべての勤務形態で「組みにくくなった」との回答が3割を超えています。
従来、看護要員数の一時的な変動に対する届出猶予は、新型コロナウイルス感染症の特例措置として運用されていました。この特例では、コロナ患者の受入れによる入院患者の急増や、職員の感染による一時的な人手不足が生じた場合に、3か月を超えない期間に限り届出区分の変更を不要としていました。この特例の期限は令和8年5月31日までとされていましたが、今回の改定で、コロナに限らず突発的な事情全般に対応する恒久的な制度として新たに規定されました。
柔軟化の具体的な内容:対象となる変動と猶予期間
新たに設けられた柔軟化ルールは、看護要員に関する3つの指標を対象としています。対象となる指標は、1日当たり勤務する看護要員の数、看護要員の数と入院患者の比率、そして看護師及び准看護師の数に対する看護師の比率です。
これらの指標について、猶予が認められる条件は2つあります。ひとつは、突発的で想定が困難な事象によるやむを得ない事情が原因であることです。もうひとつは、暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であることです。
この2つの条件を満たす場合、3か月を超えない期間に限り、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予の適用は1年に1回に限られます。
猶予を受けるための4つの要件
届出猶予の適用を受けるには、以下の4つの要件すべてに該当する必要があります。
要件1:公的職業紹介の活用。ハローワーク(公共職業安定所)または都道府県ナースセンター等の無料職業紹介事業を活用して、看護職員の確保に係る取組を行っていることが必要です。なお、やむを得ない事情が生じていない平時においても、看護職員の求人を行う際にこれらを活用することが望ましいとされています。
要件2:適正認定事業者の利用。民間の有料職業紹介事業者を利用する場合は、医療・介護・保育分野における適正な有料職業紹介事業者認定制度による適正認定事業者を含めることが求められます。
要件3:自主的な採用活動の推進。公的職業紹介を活用している場合でも、医療機関自らが採用情報をウェブサイトで公表する等、看護職員確保に積極的に取り組んでいることが望ましいとされています。
要件4:看護要員の労働時間管理。一時的に看護職員を確保できない場合には、一部の看護要員へ過度な業務負担とならないよう、適正な労働時間管理を行い、体制の整備を図るよう努めることが求められます。
報告の手続き:届出が不要でも報告は必要
届出区分の変更は猶予されますが、地方厚生局等への報告は必要です。報告は、やむを得ない事情が生じた日の属する月の翌月までに、速やかに行わなければなりません。
報告にあたっては、所定の様式に、看護職員の確保に係る取組の内容と、一時的に看護職員を確保できないやむを得ない事情を記載します。この様式には、報告する時点で有効な求人票を添付することが必要です。
まとめ
令和8年度診療報酬改定では、看護職員の一時的な不足に対応する施設基準の柔軟化ルールが新設されました。暦月で1か月を超える1割以内の一時的な変動であれば、最長3か月間、届出区分の変更が不要となります。ただし、この猶予を受けるには、ハローワークやナースセンターの活用を含む平時からの採用活動が前提条件です。届出は不要でも報告義務はありますので、手続きの準備を怠らないよう注意が必要です。
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